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Spotifyの「Jam」はみんなの“好きな音楽”を楽しめる! 友達とリアルタイムで曲を共有し合える新機能の使い方

Jamの使い方

 Spotifyは、パーソナライズされたリアルタイムセッション機能である「Jam」の提供を世界中のSpotifyプレミアムおよび無料プランのユーザーを対象に開始しました。

 Jamを利用すると、プレミアムユーザーは、ホストとして、他のSpotifyユーザーを招待し、リアルタイムのリスニングセッションをお楽しみいただけます。

 同機能では、ホストが選曲するだけでなく、他の参加者も全員好きな楽曲を共有キューに追加できます。また、参加者全員の聴取履歴に基づいたAIによるレコメンドも受け取ることができます。

 現段階では、Jamのセッションをホストできるのはプレミアムユーザーだけとなり、無料ユーザーはホストから招待を受けることでJamに参加いただけます。

▼使い方を解説動画でも確認▼

Jamの利用方法は以下のとおりです。

1.プレミアムユーザーは誰でもJamを始めることができます。まず接続が完了したら再生するプレイリスト、曲、またはアルバムを選んで、「Jamを開始」を選択します。スマートフォンまたはスピーカーなどの再生するデバイスを選択したら、プレイリストか楽曲の上部にある3つの「…」をタップします。

2.JamのホストになったらSpotifyユーザーを招待することができます。以下3つの中から用途に合わせた方法を選択してください。

・リンクをシェア(「共有」をクリック、SNS、テキスト、SMSなどで送信)

・スマートフォンを近づける(Bluetoothをオンにして、携帯電話を一緒にタップ)

・QRコードをスキャン(友達にホスト画面のQRコードをスキャンしてもらう)

※Spotify無料ユーザーは、同じBluetooth上でのみセッションに参加することができます。

3.Jamに参加したら、各自のデバイスから共有キューに楽曲を追加してみましょう。プロフィール写真も一緒に表示されるので、誰がどの楽曲を追加したのかも確認できます。AIによるレコメンドを参考に、グループの好みに基づいたおすすめから追加する曲を選ぶこともできます。

4.ホストはJamの参加者を決定したり、楽曲の削除や順番を変更できる権限を持っています。ホストは「ゲストコントロール」をオンにすることで、セッションに参加する全員に楽曲の削除や順番の変更を許可できます。

Jamの機能を使ってあなたのおすすめの音楽を友達と一緒に楽しんでみませんか。まずはホストになってゲストを招待してみましょう。

Spotify広告事業部門リーダーに聞く “デジタル音声広告の可能性とビジョン”

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 Spotifyは昨年8月に国内でデジタル音声広告事業を拡大するために、人材増強をはじめ投資を強化する発表を行いました。実際にこの一年で積極的に採用を行い、専門性の高いチームづくりに取り組んできました。今回はそんな広告事業部門のリーダーである立石ジョーに、Spotifyへ入社した理由から、今後の広告事業に関するビジョン、リーダーシップに対する考え方などについて話を聞きました。

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▷まずはこれまでの経歴を伺えればと思います。

立石:前職はTwitter(現在のX社)でパフォーマンス広告に関するアジア太平洋地域全体の営業統括をしていました。それ以前は、NIKEで日本のeコマースチームを立ち上げたり、ウィメンズの営業部長を担当していました。

▷Spotifyには2022年の8月に入社しました。Spotifyへの入社を決めた理由は?

立石:Spotifyは国内でサービスを開始する以前の2015年ごろよりユーザーとして愛用していた、自分にとってもすごく愛着のあるサービスなんです。Spotifyがないと1日が始まらないといえるくらい毎日の生活に欠かせないサービスが、日本国内で広告事業を拡大していく重要なフェーズにあることを知り、「これは運命だ!」と思って入社を決めました。

▷ユーザーとして元々接していたというのは大きいですね。普段はどういったジャンルの音楽を聴くのでしょう?

立石:プレイリストで聴くことが多いです。ジムに行く時は「ワークアウトプレイリスト」や通勤中はハッピーなプレイリストで気分を上げて、夜には「Chill Out Music」のような落ち着くプレイリストが好きですね。Spotifyにはその時の気分や生活場面にマッチしたプレイリストがたくさんありますし、使うほどにどんどん自分の好みに合った曲が提案してくれるのが醍醐味です。

  アーティストではボーカルが強くてしなやかな洋楽の女性アーティストが特に好きです。ホイットニー・ヒューストンリアーナアデルとか。最近はテイラー・スウィフトを小学生の娘と一緒に聞いていて、来年初めてコンサートに連れて行くつもりです。

▷Spotifyが作り上げたプレイリスト文化への愛情を感じます。国内ではサービス開始から今年で7年になりますが、ビジネス全般の状況はいかがでしょうか?

立石:おかげさまで大変好調でユーザー数も順調に伸び、日本でも代表的なオーディオストリーミングサービスとして認知されるようになりましたし、国内のデジタルオーディオ消費の成長を牽引してきたと自負しております。Spotifyは「パーソナライズされたリスニング体験」をお届けすることに力を入れているため、リスナーは自分好みの、生活場面やその時の気分にあった音楽やポッドキャストと日々自然に出会うことができるのが醍醐味ですし、一方でアーティストやクリエイターはこれまでにない方法で新たなリスナーを獲得し、つながりを強めることができるようになったと考えています。

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▷広告プラットフォームとしてのSpotifyについてはどのように変化してきたと考えていますか?

立石:国内で利用が広がるに従い、企業やブランドから広告やマーケティングを展開するプラットフォームとして注目も増しているように思います。広告事業を今後大きく成長させていくための強い基盤がすでに作られていると感じています。

▷国内でのデジタル音声広告市場の可能性についてどのように考えていますか? また、どのような戦略で実際に成長を実現する予定でしょうか?

立石:日本におけるデジタル広告市場の成長には可能性を感じており、Spotifyが広く浸透したこのタイミングに投資を強化することで、オーディオストリーミングサービスのリーダーとしてデジタル広告市場の成長に寄与していきたいと考えています。採用の強化はそのための第一歩ですね。

 これを推進するために国内の広告代理店とより有意義なパートナーシップを結び、Spotifyは日本の若い消費者とエンゲージメントを深められる媒体であることについてブランドや企業の理解を深め、利用を促していきたいと考えています。

 また、一部海外では既に実装済みの革新的なアドテクやポッドキャスト広告ソリューションのローカライズを進め、日本においても効果的にリーチできるようにサポートすることも重要だと思います。実際に私たちは世界に5億人超のリスナーを抱えており、日本のブランドはSpotifyに広告を出すことでこれらのリスナーにもリーチすることができますから。

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▷Spotifyのデジタル広告を利用する最大のメリットは何だと考えますか?

立石:スマートフォンが普及した社会において、あらゆるコンテンツで可処分時間の奪い合いが起こっています。ゲームや映像コンテンツ、SNSなどの視覚情報に関しては現状かなりのレッドオーシャンとなっていますが、耳から入る情報は“他のことをしながらできる”というメリットが大きいんです。実際に通勤中やリラックス時も含め、一日を通して使っていただいているユーザーも多いので、広告主は、その時々のモーメントに合ったメッセージをお届けすることができ、大きな効果を生めると考えています。実際に聴取後の広告想起は他メディアより5倍高いというデータもございます。また、自分の好きな音楽や気分に合った音楽を聴いているなかで、間に挟まれる広告というのはブランドメッセージが伝わりやすく、エンゲージも高いです。エンゲージメントについては、あらゆるメディアより19%高いと言われています。

 加えて、ブランドと関連性のあるオーディエンスをターゲティングできますし、基本的にライセンス契約をしている楽曲や、社内チームが制作するハイクオリティなSpotify上のコンテンツに対して配信されるため、安心してブランドセーフティな環境でメッセージを届けることができます。ちなみに、Spotifyが実施したSpotifyへの広告出稿によって得られるブランドリフト結果に関する調査(「Spotify Brand Lift」)では、ユーザーの70%がSpotifyというブランドを信頼できると考えているようです。

▷国内で出稿が増えているクライアントの業種・製品・サービスなどはありますか?

立石:業種やサービスにおいては、広く様々な業種業界の広告主様に出稿いただいていますが、国内で特に最近増えているのがテック業界および消費財、食品や飲料などです。

▷デジタル音声広告に向いている業種・製品・サービスというのはあるのでしょうか。

立石:業種に限らずオーディオプラットフォームの特性を活用してユニークかつクリエイティブなキャンペーン施策を展開できるので、あらゆる業種と相性がいいと考えています。あえて言うなら、今後さらに日系企業やブランドの皆様にご出稿を増やしていただきたいですね。

▷昨年8月に入社し、1年が経過しました。改めて「働く場」としてのSpotifyの魅力はどのようなところにあると感じていますか?

立石:私自身がSpotifyに来て本当に良かったと思うのは、社風がフラットで、風通しがよく、とても働きやすい点です。これまでの働いた外資系のどの会社よりも立場やチーム、部署なども関係なく、話しやすくてコミュニケーションを取りやすい企業文化が魅力です。まさにバリューのひとつである“Playful”を体現しているなと感じますね。

▷Spotifyは日本でも音楽やカルチャー好きな人々の間でかなり浸透したように思います。Spotifyをこの先どのようなブランドにしていきたいですか?

立石:私自身の目標としては、音楽は人の気分を明るくしたりモチベーションを上げたり、幸せな気持ちにさせる力があるので、そういったことにより多くの方に気づいていただきたいと思っています。Spotifyは音楽ファンに高く支持され、広く浸透している認識ではありますが、今後さらにビジネスを拡大していく上で、最近あまり音楽を聴いていてなかった方々や受動的に聴いているといったような方々にも、音楽のある生活の楽しさを改めて感じていただけるきっかけを提供できるようなブランドに育てていきたいです。

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▷第一線で活躍するリーダー、特に女性リーダーとして大事にしている考え方や日頃意識していることがあれば教えてください。

立石:リーダーはあくまでもチームがあってこそのものだと思っていますので、チームをどうエンパワーするか、チームメンバーの一人ひとりが最大限のパワーを発揮するために、自分に何ができるのかを常に考えています。また、メンバーにとってなにが障壁となっているかをいち早く把握し、それを取り除くことを補助するのもミッションだと思います。

▷尊敬している女性リーダーとその理由を教えてください。また、そのリーダーを表すような音楽があるとしたらどんな曲になるでしょうか?

立石:ニュージーランドの元首相のジャシンダ・アーダーンを尊敬しています。リーダーにしては比較的若く、母親である点がクローズアップされがちですが、コロナ禍や銃撃事件など様々な危機を通して強いリーダーシップを発揮しつつも、常にエンパシーと思いやりを心がけるリーダーだからです。そんな彼女をイメージすると、ホイットニー・ヒューストンがカバーした「I’m Every Woman」が頭に浮かびます。

▷これからキャリアを形成していく後進に対して、なにかアドバイスはありますか?

立石:障壁はキャリアにおいて大事なチャレンジだと考えているので、壁にぶつかってもめげずに乗り越えられるように色んな人の力を借りながら頑張ってみてほしいです。私もメンバーには常に「大丈夫だよ、失敗してもいいんだよ」「私が責任を取るから大丈夫」と伝えるようにしています。

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▷最後に、チームメンバーの採用にあたって「こういった人と一緒に働きたい」というビジョンはありますでしょうか。

立石:「とにかくチャレンジしてみたくて、そのようなカルチャーを愛する人」でしょうか。すでにあるビジネスを上手く回していくのではなく、新しいものを作りたいと思っている人や、過去の体験にあまりとらわれずに挑戦してみたいという人が向いている仕事でもあると思うので、一緒に楽しみながらチャレンジしていける仲間に巡り会いたいです!

カウントダウンページでアーティストのニューアルバムリリースを盛り上げよう!

カウントダウンページ

 みなさんは、自分の好きなアーティストの新曲が配信と同時にマイライブラリに追加されるように事前に予約できるプリセーブ機能(Pre-save)を知っていますか?

 Spotifyは、そんなプリセーブ機能をさらに発展させた機能として「カウントダウンページ」を今年3月に開催されたグローバルイベントStream Onにて発表しました。

Stream On 2023: Countdown Pages

 カウントダウンページは、ファンがお気に入りのアーティストのリリース予定のアルバムを事前にプリセーブしたり、トラックリストをプレビューしたり、新しいグッズを予約注文したり、Clips(30秒未満のショートビデオ)やリリースまでのカウントダウンタイマーをすべて1ヶ所で見ることができる新しい機能です。

 この機能は、アーティストがニューアルバムの宣伝効果を高め、リリース初週のストリーミングを促進するために導入されたものです。グローバルではすでにEd Sheeran、Taylor Swift、Karol G、Florence and the Machine、Quevedo、Paramoreなどのアーティストが試験的に導入したり、日本でもずっと真夜中でいいのに。が今年6月のニューアルバム『沈香学』(2023年6月6日リリース)リリース時に利用しています。これまでにSpotifyでプリセーブしたリスナーの80%以上が、リリース初週にニューアルバムを再生したという結果も出ており、新譜の再生促進に大きな効果を生み出しています。

ZUTOMAYOのビデオ

 カウントダウンページは展開期間中、常にアーティストページ上で表示され、ファンはホーム画面やプッシュ通知によってカウントダウンページについて認知することができるほか、SNSにシェアすることで他のフォロワーにプリセーブをおすすめすることも可能です。

ZUTOMAYO シェア

 カウントダウンページはアルバムがリリースされる国と地域のユーザーであればどなたでもモバイル(iOS/Android)、デスクトップアプリ、WEBプレイヤーでご利用いただけますが、Clips機能については日本を含む76の国と地域の対象ユーザーのみ視聴可能です。

 9月27日にニューEP『NEW DNA』をリリースするXGも、現在カウントダウンページを実装しており、ファンはプリセーブやClips機能、カウントダウンタイマーなどを1つのページの中で見ることができます。

XG Spotifyアーティストページ

XGカウントダウンページ

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 カウントダウンページを実装することで、アーティストはアルバムごとにプラットフォーム内で独自の戦略を立てることができます。カウントダウンページの設定方法は、Spotifyで楽曲を配信するアーティストや関係者向けのツール「Spotify for Artists」で必要な詳細情報を入力するだけです。本機能を利用してアルバムを待つ時間も楽しめるコンテンツをファンに届けてみませんか?

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※同機能は現在パイロットローンチ期間中です。

Spotify、月9ドラマ『真夏のシンデレラ』の公式スピンオフポッドキャスト番組『真夏の海斗ーク』を独占配信中

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Spotifyは、7月10日より放送がスタートした月9ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)の制作陣が手掛ける同ドラマの公式スピンオフポッドキャスト番組『真夏の海斗ーク』を、8月7日よりSpotifyで独占配信しています。

本ドラマは、海辺で一緒に生まれ育った女性3人組と一流大学出身の男性3人組という交わるはずがなかった男女が、真夏の海で運命的に出会い、恋愛へと発展していく様を描いています。彼らの青春群像劇がどう展開していくかも注目したいポイントですが、本作にはそれぞれの俳優がキャラクターを背負う形で“キャラクターのオフ“を演じるポッドキャスト番組『真夏の海斗ーク』があることも、これまでのドラマとは違った仕掛けとなっています。

今回、『真夏の海斗ーク』のMCを務めるのは、夏海の弟の蒼海斗(大西利空)。学校でSpotifyのポッドキャストがブームになっていることをきっかけに配信を始め、記念すべき第1回目のゲストには「水島健人」を迎えました。真面目な健人と末っ子の海斗の掛け合いが魅力的な初回となっています。

トークでは、健人の好きな食べ物から高校時代の恋愛遍歴、親友である修と守との出会いのきっかけなど、ドラマ視聴者に耳寄りな裏話が語られています。時折、「早く宿題しないと夏海に叱られるよ」といった真面目な健人らしいセリフだったり、毒舌な修のことを「率直なタイプ」と優しく表現したりなど、人柄が滲み出ている部分も感じることができます。

最後には、健人の夏に聴きたい曲であるBUMP OF CHICKENの「天体観測」を紹介。選曲した理由については「学生のころからよく聴いてて、夜1人で散歩しながら聴くのが好きなんだ」と明かしました。

「天体観測」を含む「水島健人のプレイリスト」がSpotifyには公開されているので、ぜひチェックしてみてください。健人らしいセレクトのプレイリストになっているので、よりドラマを身近に感じることができます。ぜひ、ポッドキャストと合わせてプレイリストもお楽しみください。

SpotifyとSUMMER SONICがプロデュースするスペシャルステージ「Spotify RADAR: Early Noise Stage」に注目の新進アーティストが集結

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 Spotifyは、日本最大級の都市型音楽フェスティバル『SUMMER SONIC(以下、サマソニ)』とのコラボレーションにより、国内の新進気鋭のアーティストをサポートするプログラム「RADAR: Early Noise」を体現する特別なステージ『Spotify RADAR: Early Noise Stage』を8月19日(土)と20日(日)の2日間にわたり幕張メッセ内で開催しました。

 Spotifyは、「RADAR: Early Noise」の一環となるライブイベント『Early Noise Night』を2017年5月より定期的に開催しており、これまであいみょんやSIRUPなど、多数のアーティストがブレイク前に出演を果たしてきました。今年3月にはTOMOO、ヤングスキニーら5組を迎えた第15回をSpotify O-EASTにて開催。オンラインとオフラインをつなぐイベントを通して、「RADAR: Early Noise」選出アーティストをサポートしています。

 その流れも汲んだ本公演では、春ねむり、chilldspot、Skaai(yonawo x 鈴木真海子 x Skaai名義によるコラボステージ)、Daichi Yamamoto、Bialystocks、DURDN、CHAI、LANA、tonun、ao、新しい学校のリーダーズ、imaseの計12組がパフォーマンスを行いました。ここでは2日間のライブの模様を振り返っていきます。

■8月19日(土)

chilldspot
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 初日のトップバッターを飾ったのは、全員2002年生まれの4人組バンド・chilldspot。比喩根(Vo、Gt)は「去年に続いてサマソニ2回目、嬉しい!」と喜びを爆発させ、「素敵なアーティストしか出ない中、ここに来てくれてありがとうございます。次はみんなに知ってもらうきっかけになった曲を」と告げて「ネオンを消して」を演奏。Honda VEZEL e:HEV CMソングでお馴染みのロックチューン「BYE BYE」、アッパーな「Like?」ではナイスな煽りを受けてジャンプする人が続出。ラストのアンセミックな「Don’t lose sight」まで、高い熱量の30分を走り抜けました。

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<セットリスト>
1. supermarket
2. full count
3. ネオンを消して
4. Groovynight
5. BYE BYE
6. Like?
7. Don’t lose sigh

Bialystocks
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 甫木元空(Vo)、菊池剛(Key)からなる音楽ユニット・Bialystocksがサポートメンバーとともに登場。力強いドラムが地響きを起こしたかと思えば、いきなり甫木元のトップノートで始まる「雨宿り」でスタートしました。高い歌唱力と演奏スキルで圧倒したあとは軽快な「Upon You」「差し色」で和ませます。「サマーソニック、初出演でこんなに集まっていただいてありがとうございます! 一日、楽しんでいきましょう」と甫木元が笑顔で呼びかけると、菊池の柔らかなエレピの響きで「Over Now」へ。スリリングな「I Don’t’ Have a Pen」の披露など、初見のオーディエンスも含め大いに魅了しました。

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<セットリスト>
1. 雨宿り
2. Upon You
3. 差し色
4. 灯台
5. Over Now
6. I Don’t Have a Pen
7. Nevermore

DURDN
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 シンガーのBaku、トラックメイカーのSHINTAとトップライナーのyaccoによるプロデュースデュオ・tee teaによるプロジェクト、DURDN。ベース、ドラム、キーボードを従えたバンドスタイルで、ダンサブルなR&Bナンバー「TOKIDOKI」や「WARUNORI」、「Vacation」をテンポよく披露していきます。強いグルーヴとワードを持つ新曲「Runner’s High」では、自由に体を動かし踊るオーディエンスの姿も。キャッチーなナンバーをスピーディに演奏し続け、フロアをロックした彼らのラストはフェスにぴったりな「Drink!」。夕方に向かう時間を楽しく彩りました。

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<セットリスト>
1. TOKIDOKI
2. WARUNORI
3. Vacation
4. Apart
5. Runner’s High
6. All of You (Remix)
7. Drink!

yonawo×鈴木真海子×Skaai
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 今回、唯一のコラボレーションであるyonawo×鈴木真海子×Skaai。yonawoの「矜羯羅がる」の曲中で鈴木真海子とSkaaiを招き入れます。それぞれの曲をyonawoのバンドサウンドで披露することが最大の見どころであるこのスタイル。特にフロアが沸いたのはSkaaiの「FLOOR IS MINE」でした。鈴木真海子の「じゃむ」の歌い出しでは、荒谷翔大(Vo)とのデュエットでグッとオーディエンスの心を掴みます。意表を突いたのは「夏の終わりのハーモニー」カバーでのSkaaiの熱唱。そして、この3組ならではの一曲「tokyo」をラストにドロップ。笑顔が絶えない貴重なコラボステージとなりました。

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<セットリスト>
1. 矜羯羅がる
2. FLOOR IS MINE
3. じゃむ
4. 夏の終わりのハーモニー(カバー)
5. tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai

Daichi Yamamoto
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 Daichi Yamamotoがサポートメンバーとともにステージに登場すると、観客からは大きな拍手が巻き起こりました。冒頭はノリのいいヒップホップナンバー「Let it be」「One Way」、コーラスのソウルフルなアカペラが響き渡るターンを挟み、リリックがこの場所にしっくりハマる「Paradise」などを披露。ステージが進むごとに、Daichiのバックボーンが窺えるナンバーがオーディエンスを深いところへ誘います。約30分のセットリストでも物語性を感じさせるステージは「EVERYDAY PEOPLE」、自分の内面を見つける「ATHENS」と続き、Daichi Yamamotoと仲間が一つの旅のような体験を残してくれました。

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<セットリスト>
1. Let it be
2. One Way
3. interlude
4. Paradise
5. MYPPL
6. Blueberry
7. Wanna Ride
8. Power
9. EVERYDAY PEOPLE
10. Athens

春ねむり
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 初日の大トリは海外フェスでも常に注目を浴びるシンガーソングライター/ポエトリーラッパーの春ねむり。バンド形態で臨む1曲目「Kick In the World」から、春のスクリームとバンドの生音が入った瞬間の凄まじい音像に圧倒されます。「Riot」や「森が燃えているのは」に続いて投下されたのは、SiNNER MOONとPeatleが参加した「Old Fashioned」。終盤はギリギリの精神状態を思わせる「あなたを離さないで」、現在の春ねむりを代表する「春火燎原」を体の中の全てを吐き出すように歌い切る絶唱を見せ、初日のステージを終了しました。

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<セットリスト>
1. Kick in the World(déconstructed)
2. Riot
3. 森が燃えているのは
4. Old Fashioned feat. SiNNER MOON & Peatle
5. あなたを離さないで
6. 春火燎原

■8月20日

ao
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 2日目の一番手には17歳の高校生アーティスト・aoが登場。MCでは「現役高校生なので夏休みフェス」といって笑いを生んだり、自分を知っていてステージを見に来てくれた人の数の多さにテンションが上がるなど、aoの素直なキャラクターにふれてオーディエンスも笑顔に。ラテンテイストのR&Bナンバー「余所見」や10代のリアルな心情を聴かせる「幻想」など、気がつけば会場はすっかり彼女の世界観に染まりました。新曲の「ENCORE」、ハーゲンダッツCMに起用された「月の光」を経て、aoの声と曲の良さが広く知られるきっかけになった「you too」で締めくくりました。

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<セットリスト>
1. チェンジ
2. リップル
3. 余所見
4. 幻想
5. ENCORE
6. 月の光
7. 4ever
8. you too

tonun
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 昼下がりの幕張メッセを宵のムードに塗り替えたのはtonun。腕ききのメンバーがセッションする中で登場し「東京cruisin’」からスタート。「Sweet My Lady」ではtonunもギターを奏でます。ダンサブルな「d.s.m」はオーディエンスの腰を揺らすグルーヴが心地よく、サビでは多くの手が上がりました。曲の認知度の高さを実感した「Sugar Magic」での歓声、「Friday Night」では思い思いに踊る人たちでフロアが華やぎます。最後は残りの夏を愛おしむようなニュアンスの「琥珀色の素肌」で幕を閉じました。

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<セットリスト>
1. 東京cruisin’
2. Sweet My Lady
3. d.s.m
4. Sugar Magic
5. Friday Night
6. 琥珀色の素肌

LANA
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 場内が暗転しただけで壊れんばかりの歓声が起き、ステージに現れたLANA。ほとんどビートのみで、その圧倒的なラップの力を証明していくナンバーが続きます。ブロンドの三つ編みツインテールもビキニトップスのワイルドな衣装も、全てが彼女流で堂々とした佇まいがカッコかわいい。ダンサーとのパフォーマンスはセクシーかつパワフル。ほとんどのナンバーをショートアレンジにして、次々と間髪入れずに披露していきます。“うちら令和のBad bitches!”と強めのヴァースをキックする「Huh?」など、曲のおいしいところを惜しげもなく畳み掛け、令和ギャルズのリアルなアンセム「L7 Blues」では最高の盛り上がりを見せました。

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<セットリスト>
1. FLAME
2. Twerk Jersey Remix
3. PULL UP
4. Huh?(Solo)
5. HATE ME
6. Somebody to you
7. Makuhari
8. TURN IT UP(Solo)
9. What’s Poppin(Solo)
10. BASH BASH
11. L7 Blues

imase
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 幅広い年齢層のオーディエンスで溢れかえったimaseのステージ。まずは「みなさん、imaseです! サマソニは去年初めて見せてもらっていつか出たいなと思ってたら、翌年出させていただいて、ありがとうございます」と挨拶。短期間のうちに飛躍を遂げたimaseの自然と音に乗るようなパフォーマンスの魅力に、オーディエンスは一気に引き込まれていきます。歌い出しから大歓声があがった代表曲「NIGHT DANCER」では、柔らかな声がいきるファルセット、思わず口ずさみたくなるサビメロでフロアは一体に。鳥山明の名作アニメ化で話題の『SAND LAND』への書き下ろし曲「ユートピア」でフェスらしい祝祭的な空間が広がりました。

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<セットリスト>
1. Nagisa
2. 僕らだ
3. Pale Rain
4. Have a nice day
5. NIGHT DANCER
6. ユートピア

CHAI
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 この日初となるバンドは、タフな海外ツアーも重ね、さらに進化したパフォーマンスが期待されるCHAI。マナ(Vo、Key)とカナ(Gt、Vo)のマイクパフォーマンスで魅せる「END」や、彼女たちのキャッチフレーズを冠し、サウンドをグッとアップデートした「NEO KAWAII, K?」などを披露。マナもユウキ(Ba、Cho)もサンプリングパッドを叩き、ゲームミュージックのようなトラックをプレイした「PING PONG! feat. YMCK」では、会場が一気にダンスフロアに。パワフルな音圧でオーディエンスを大いに沸かせた「クールクールビジョン」は、圧倒的なヒューマンパワーでフロアをロック。よりいっそうスケールの大きなバンドになったCHAIの魅力を存分に堪能できるステージでした。

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<セットリスト>
1. END
2. NEO KAWAII, K?
3. N.E.O.
4. PING PONG! feat. YMCK
5. クールクールビジョン
6. PARA PARA

新しい学校のリーダーズ
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 暑く熱い2日間もいよいよ大詰め。トリには海外フェスでも大きな反響を呼んでいる新しい学校のリーダーズが登場。チャイムが鳴ると騎馬でステージに登場し、全力という言葉が生ぬるいほど強烈なダンスで「青春を切り裂く波動」を投下。「最終人類」はキレの良いフォーメーションに圧倒されます。背中に“青春日本代表”の刺繍を施した長ラン姿で臨んだのはハードコアトランスな「Pineapple Kryptonite(Yohji Igarashi Remix)」。汗だくの長ランを脱いだあとは大ヒット曲「オトナブルー」が続きます。誰にも似ていないオリジナルなパフォーマンスに満場のオーディエンスは興奮気味に会場を後にしたのでした。

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<セットリスト>
1. 青春を切り裂く波動
2. 最終人類
3. Free Your Mind
4. マ人間
5. Pineapple Kryptonite(Yohji Igarashi Remix)
6. オトナブルー
7. NAINAINAI
8. 迷えば尊し

    国内のみならず海外でも注目を集める12組が、それぞれ唯一無二の個性や圧倒的な才能を惜しみなく見せつけた2日間のステージ。Spotifyはさらなる躍進の可能性に満ちた彼らをこれからも引き続きサポートしていきます。出演アーティストの演奏曲は、プレイリスト「RADAR:Early Noise Stage in SUMMER SONIC 2023」にてお楽しみいただけます。

Spotifyで聴く、季節に寄り添う公式プレイリスト【夏編】

Spotifyで聴く、季節に寄り添う公式プレイリスト【夏編】

 季節は夏に差し掛かりました。様々なイベントを予定している人たちも多いのではないでしょうか。Spotifyでは季節にぴったりの楽曲を楽しむことのできるプレイリストが充実しており、話題の夏うたから懐メロまで、夏のプレイリストは特にバリエーション豊かです。

(※公式プレイリスト内の曲は日々更新されます。取り上げた曲は、2023年5月10日時点のものです)

■気分を高める定番/最新サマーソング

 「Summer Time – 夏のサウンドトラック」はこれを聴けば間違いなく夏の気分になれるど真ん中のプレイリスト。スピッツ「渚」やRIP SLYME「楽園ベイベー」といった定番の楽曲から藤井風「きらり」、DURDN「Drink! feat. YonYon」など近年のヒットソングも満載。「夏の日の花火」というプレイリストはその名の通り、花火をテーマにした様々な楽曲を網羅。aiko「花火」やフジファブリック「若者のすべて」といった定番曲に加え、くるり「花火」やBase Ball Bear「senkou_hanabi」といったマニアックな楽曲も勢揃い。花火大会を観ている時間、はたまた余韻に浸るひと時に活用してはいかがでしょうか。

 海岸沿いのツーリングや夜のドライブにぴったりなのは「City Pop:シティ・ポップの今」でしょう。Kidella「Pacific Line」やNelko「Loose」といった軽快なナンバーや、Tokimeki Records「そして僕は途方に暮れる(feat.黒川沙良)」、PAPER MOON PROJECT「フライディ・チャイナタウン feat.脇田もなり」といったカバー曲も充実。HipHopに特化した「JUICE」では、鈴木真海子「Come and Go」やちゃんみな「Never Grow Up」といったトレンドナンバーが、気分を高めてくれるはずです。


■充実のサマーソングをジャンル別プレイリストで

 夏フェスの季節に聴きたくなる、海外のロックバンドを押さえるにはリアム・ギャラガーやThe Strokesが名を連ねた「Summer Rock」やWeezerやThe Libertinesを収めた「Summer Rock Vibes」がオススメです。また世界のトレンドを席巻するK-POPで夏を彩る「Summer K-Pop Hits」では、BLACKPINKやRed Velvetのサマーチューンが楽しめます。

 本格的なレゲエナンバーが揃う「Sunshine Reggae」や、ラテンナンバーが詰まった「Summer Vibes」など、ビーチをさらに熱くさせるプレイリストも。また時には「Summer Chill」や「lofi summer haze」、「Summer Jazz」に収録されている軽やかで切ないインスト曲で、夏日を涼しげに演出するのも素敵ではないでしょうか。カントリー調の楽曲を集めた「Summer Cocktail」を聴けばノスタルジックな気分になること間違いなしで、「Hawaiian Dreams」は一気に南国へと誘います。

 ひとしきり遊んだ後は、「Sunny Beats」や「Summer House 2023」といったエレクトロ・ソングが蒸し暑い夜に寄り添ってくれるでしょう。まだまだ盛り上がり足りない人には、キャンプファイヤーに適した「Country Nights」というプレイリストもあります。



 気分やシーンに合わせたプレイリストがSpotifyには盛りだくさん。1日中、どんな時間にもぴったりな最高のサウンドトラックを提供してくれるはず。

日本のクールなポップカルチャーや音楽を新たなコンセプトで世界にプレゼンテーションするSpotify公式プレイリスト「Gacha Pop」誕生

Spotifyプレイリスト「Gacha Pop」

 Spotifyは2023年5月にSpotifyオリジナルプレイリスト「Gacha Pop」を公開しました。アニメやゲーム、ボカロ、VTuberなど独自に発展をとげた日本のポップカルチャーを象徴する多様でカラフルな日本の音楽の魅力を「Gacha Pop」というユニークなネーミングのもと編集し、世界のリスナーに紹介する目的で生まれたこのプレイリストは、SNSで早くも話題を呼び、国内外でフォロワーを増やしています。「Gacha Pop」立ち上げの経緯や本プレイリストが目指す役割について、Spotify Japan 音楽企画推進統括 芦澤紀子氏が語ります。

■プレイリスト「Gacha Pop」を立ち上げた経緯

 数年前からストリーミングが日本でも広く浸透し、国内アーティストのカタログも充実してくる中で、世界最大級のオーディオストリーミングサービスであるSpotifyの役割の一つとして、日本の音楽やポップカルチャーをボーダレスに海外リスナーに発信・紹介することが重要なのではと考えるようになりました。

 実際にここ数年、アニメやゲーム関連(および関連音楽)はもちろん、シティポップやLo-Fi HipHop、ボカロ、VTuberなど、日本のアーティストや音楽が海外で注目を集めたり、話題となるケースが増えてきたように感じます。それらは日本の視点から見るとそれぞれバラバラな事象に見えるものの、海外オーディエンスから見るといずれも「クールな日本のポップカルチャー」という同じ文脈の中で捉えられています。

 海外で注目を集める昨今の日本の音楽やポップカルチャーは非常に多様化していますが、これらに共通する感覚や魅力を世界のオーディエンスにとってわかりやすい形でコンセプチュアルに紹介することが大切だと思い企画しました。

■「Gacha Pop」という言葉を生み出した理由

 日本の伝統的な食文化である寿司が文化背景の異なる海外で愛されるようになった背景を考えると、日本のオーセンティックな寿司をそのまま海外に持って行ったのではなく、「カリフォルニアロール」のような日本にはなかった見せ方、プレゼンテーションで寿司の魅力を紹介できたことが考えられると思います。

 日本のポップカルチャーや音楽もそれと同様で、日本人が考える「こうであるべき」という固定概念にとらわれすぎることなく、海外で理解・受容されやすい形で発信するためにも、J-POPに変わる新しい言葉が必要だと考えました。

■「Gacha Pop」が意味するもの、プレイリストの選曲基準

 「Gacha Pop」は日本発のポップでカラフルなカプセルトイ(=ガチャガチャ)から着想を得ています。玩具箱をひっくり返したような、何が出るかわからない、ポップで雑多な楽しさを表現したワードです。プレイリストのディスクリプションには「What pops out!? Roll the gacha and find your Neo J-Pop treasure. (何が出るかな?ガチャを回して新しいJ-Popのお宝を見つけてね)」というリスナーへのメッセージを記しています。

 「Gacha Pop」は音楽ジャンルではないため、アニメ関連曲、ボカロ、ネットカルチャー、hyperpop、VTuberなどボーダレスに選曲していますが、データを見ながら海外比率の高い楽曲、海外バイラルチャートで反応のある楽曲などを常に優先的にプログラミングしています。特定のジャンルに固執するのではなく、その時々で日本のポップカルチャーを象徴するような楽曲を柔軟性を持って提示していきます。

 いずれの楽曲もコアな部分に共通性はあるものの、それぞれの表現方法は多様であり、こうしたカラフルな雑多さこそ日本的で楽しいと感じます。

■「Gacha Pop」が海外で聴かれることのメリット

 「Gacha Pop」のプレイリストに入ることで、新たなオーディエンス層に発見され広くリーチすることができる、という流れができることを期待しています。

 あらゆる楽曲が日本のポップカルチャー(アニメ、VTuber、ボカロ、ゲーム、シティポップ、 Lo-Fi HipHopなど)との関連性を持ってプレゼンテーションされることによって、リスナーとの出会いの機会や可能性を広げ、単体ではリーチできなかったかもしれない広いオーディエンスの興味を喚起することができるかもしれません。

■日本の音楽やポップカルチャーの海外進出の可能性

 「Gacha Pop」はリリースした直後から反響が大きく、実際に海外での再生回数やリスナー数も急増し、非常に手応えを感じています。新しい日本のポップカルチャーの捉え方として「Gacha Pop」という視点・概念が広がり、日本の音楽やカルチャーがより広く世界で人気やムーブメントを起こしていくことを願っています。

 これまで日本人の中には「日本のエンターテインメントやカルチャーは特異・特別であるため、海外ではウケないのではないか」という先入観や心理的なバイアスを持っていた方も少なからずいらっしゃったように思います。「Gacha Pop」やここで紹介される音楽が早くもこれだけ海外のリスナーたちに響き、話題になっていることから、アーティストやクリエイターの皆さんや業界関係の方々だけでなく、日本の私たち一人ひとりが自らの文化に自信や誇りを強く持って欲しいと感じています。

最新のアプリ内体験で、BTSのお気に入りソングTOP5をシェアしよう!

My Top 5 BTS Songs

この10年間で、BTSは世界的な現象となり、K-POPは世界中で注目を集める存在になりました。BTSは最も熱狂的なファンベースを持ち、ファンは彼らの音楽と特別な関係を築いています。Spotifyは、グループの10周年を祝うために、BTSと共に「My Top 5: BTS Songs」という特別なラブレター体験を企画しました。

My Top 5 BTS Songs Experience 2

このインタラクティブな体験では、リスナーはBTSのディスコグラフィーから自分のお気に入りの楽曲を選び、シェアカードを作成し、それをSNS上で友人と共有することができます。BTSはSpotifyと協力して、彼らの過去10年間のディスコグラフィーを称えるための特別な選曲リストを作りました。

BTSは、「私たちが共に歩んできた道のりはすべて類稀なもので、進むにつれて変化していきました。私たちは、多くのリスナーにSpotifyと共に企画した『My Top 5: BTS Songs』を楽しんでいただきたいと願っており、ぜひお気に入りの曲を私たちと共有してほしいです」と述べています。

「My Top 5: BTS Songs」の使い方

My Top 5 BTS Songs Experience 1
  1. サービスのご利用地域が、この体験の対象地域であることをご確認ください。また、iPhoneのバージョンが8.8.40.xに最新であることを確認してください。
  1. あなたのデバイスで、下記のサイトにアクセスしてください。
    https://spotify.com/top5
  2. BTSの楽曲リストが表示されますので、お気に入りの5曲を選んでください。選んだ5曲は、ビジュアル表示にてドラッグして並び替え、自分のトップリストを作成することができます。
  3. 作成を終えたら、自身の選曲が表示されたシェアカードを受け取れます。シェアカードの背景は選ぶことができ、中にはBTSのグループバイアス(つまり、お気に入りのメンバー)をアピールするオプションもあります。
  4. 自分の選曲を反映したパーソナライズされたデジタルカードを作成したら、#spotifymytop5 を使ってソーシャルメディアで共有したり、友達と比較して楽しみましょう。

「My Top 5: BTS Songs」は、Spotify上でのインタラクティブな体験の進化系であり、これまでに実施してきたThe Weeknd、Kendrick Lamar、ROSALÍAなどのトップアーティストたちの「My Top 5 moments」に続くものです。こちらよりご体験ください。

本体験では、BTSがフィーチャリングされた他のアーティストの楽曲をはじめ、一部のカタログは選択できません。

「My Top 5: BTS Songs」の体験は、以下の48のマーケットで利用可能です:アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、ポーランド、トルコ、イギリス、アイルランド、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、香港、台湾、インド、イラク、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト、カタール、ヨルダン、オマーン、レバノン、クウェート、モロッコ、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン、ボツワナ、ブラジル、メキシコ、ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ。また、15の言語で利用できます:英語、英語-GB、フランス語-CA、フランス語、日本語、タイ語、ベトナム語、アラビア語、スペイン語-LATAM、韓国語、ポルトガル語、ポーランド語、トルコ語、ドイツ語、バハサ・インドネシア語

女性たちの活躍を継続的にサポートする『EQUAL』Music Programが果たす役割

EQUAL Japan 2023年6月カバー(あっこゴリラ)

 Spotifyの『EQUAL』Music Programは、音楽におけるジェンダーの公平性を促進するためのグローバルな取り組みです。2021年3月8日、国際女性デーであるこの日、オーディオ分野における女性の地位向上を推進するとともに、女性クリエイターの世界的な活躍を称える目的で立ち上がりました。

 Spotify Japan 音楽企画推進統括 芦澤紀子氏は、本プログラムの立ち上げ経緯と内容について以下のように説明します。

「アメリカの財団・アネンバーグの2020年調査結果によると、女性アーティストの数は男性アーティストの5分の1程度でしかありません。ストリーミングにもその状況は反映されており、チャートにランクインしたアーティストの中で女性の割合は5人に1人程度になります。Spotifyではオーディオ分野におけるジェンダー格差を是正するため、女性アーティストの作品をより多くの人に楽しんでもらえるように本プログラムをスタートしました」

 Spotify Japanでは、今年の国際女性デーにおいても女性クリエイターの活躍を称え、女性たちにインスピレーションをお届けするような施策を展開しました。

 グローバルプレイリスト「EQUAL」では、世界中で活躍する女性アーティストによる音楽をSpotifyがセレクトし、全世界で年間を通して発信しています。また、日本でも「EQUAL Japan」も展開しており、ヒップホップやR&Bなどを中心に自らの強い信念を歌で届ける国内アーティストを多数ピックアップ。女性ならではのパワーや可能性が感じられる豊富な楽曲を楽しむことができます。同プレイリストでは毎月『EQUAL』のメッセージ性を体現するアンバサダーアーティストを選出しており、カバーアートへの起用やSpotify JPのソーシャルメディアで展開するショート動画の制作なども行っています。3月には、Superorganism・Oronoをアンバサダーに選出しました。

 さらに国際女性デーの当日は、「Teen Culture」、「Japan Hot Hits」、「Women’s Voice」などSpotifyの主要プレイリストやポッドキャストのカバーを女性アーティストやクリエイターが一斉に飾りました。またその模様をSNSでも紹介し、リスナーたちと一緒にこの日を祝いました。

 また、ハイライトビデオには女性アーティスト9組が登場し、クリエイティブな活動を通じて女性として感じている課題感や、ジェンダーを超え個人が尊重される社会の実現に対する願いなどについてそれぞれが自らの言葉で語りました。最後に、力強い彼女たちの声を一部ご紹介します。

「女性のミュージシャンがどんどん多くなっていく中で、みんな自分の意思や『もっとこうしたい』『私はこうなんだ』というのを音楽で伝えやすくなっていると思うので、音楽は自分の意思や『社会を変えていこうぜ』っていう意思を表すための大きな一つの手段じゃないかと思っています。『みんな平等でありたいね』って私も思っているタイプ。『ピースでいこうぜ』っていうタイプなので、私が前に立つことで誰かの自信につながったり、どんな女の子たちもみんな『私たちって可愛いね』って一緒に言えるような、そんな生活を送れるように明日からも毎日一緒にがんばっていきましょう」(水曜日のカンパネラ・詩羽)

「私は女で良かったです。生まれ変わっても女がいいです。たくさんの女性アーティストに影響を受けて音楽がやれて幸せ」(Chara)

「音楽を再生するときの『再生』って『再び生まれる』って日本語で書くんですけど、今まで社会的に抑圧されてなかったことにされてきた声に力をもたらすことができる、命をもたらすことができるというところが、音楽の記録媒体としてのすごく良いところだと思うので、自分はそういう音楽をやっていきたいと思います」(春ねむり)

「私たちおとぼけビ〜バ〜は、ジェンダー関係なくみんなが幸せに尊重し合える社会を望んでいます」(おとぼけビ〜バ〜)

「そもそも私たちは、性別関係なくそれぞれ個人が輝ける時代になることを願っているので、この日がいつか意識されなくなることが本当のゴールなのかなと思っています。私たちはこれからも自分たちが面白いと思うことに挑戦して夢を叶えていきたいです」(Perfume)

SEVENTEENをSpotifyで楽しもう!『Spotify x SEVENTEEN ‘FML’ THE POP-UP EXPERIENCE』をレポート

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■『FML』の世界が凝縮された空間に

 Spotifyでは、韓国の13人組グループ・SEVENTEENの10thミニアルバム『FML』リリースを記念して、参加無料の『Spotify x SEVENTEEN ‘FML’ THE POP-UP EXPERIENCE』を開催。5月25日から31日までの期間、渋谷 MAGNET by SHIBUYA109で実施中のミニポップアップの模様をお伝えします。

 会場は、3色・3種類で展開されている『FML』パッケージ盤のカラーイメージを踏襲した3つのセクションに分かれています。

淡いピンクの壁で区切られた1つ目のセクションは、整理券制の「FATED MONO LIFE」です。受付で整理券を受け取ると、「メンバーの直筆メッセージ」「4CUTフォトブース」や「FMLロゴ」での記念撮影などを楽しむことができます。その場で印刷してプレゼントされる4CUTフォト下にプリントされているコードをSpotifyで読み込むと、「SEVENTEEN Album Experience – playlist by Spotify」収録のJEONGHANからのメッセージを聴くことができます。また、本ブース内にはメッセージの日本語訳も展示されています。

 グレーの壁面いっぱいに飾られているのは、CARAT(SEVENTEENファン)からメンバーへ向けた愛のこもったメッセージの数々です。受付で渡される正方形の用紙にメッセージを書くと、期間中会場内に展示されます。会場では、一生懸命韓国語を調べながら真剣にメッセージをしたためるCARATのみなさんの姿も見られました。このメッセージウォールにはメンバー13人のソロ写真も展示されており、お気に入りのメンバーの近くにメッセージを掲示することもできます。

 そしてもう一つのセクションは、アイスグリーンの巨大ブックレット。アルバムのトラックリストやSpotifyコードが書かれた面と、曲名やアルバム名が印字された円形ミラーが設置された面があり、どちらもフォトスポットとしても最適です。

 来場者全員にポストカードのプレゼントも行われ、アルバムの世界が凝縮された空間となりました。

■Spotifyで楽しむSEVENTEENのコンテンツ

 Spotifyではこのポップアップ開催を記念し、SEVENTEENメンバーが一緒に聴いてもらいたい楽曲をセレクトした「SEVENTEEN Album Experience – playlist by Spotify」を公開中です。自らの楽曲に加え、J-POPからK-POP、グローバルポップまで幅広い選曲のプレイリストをお楽しみください。

 SEVENTEENのアルバム『FML』は、4月24日に配信リリース。4月25日には、収録曲「Super」が、Spotifyの日本のデイリーソングチャート31位にランクイン。また、K-POPアルバム歴代初動販売量最高記録を打ち立てた彼らの勢いが感じられる1枚です。ダブルタイトル曲の「F*ck My Life」と「Super」をはじめ、それぞれのユニット曲である「Fire」(HIPHOP TEAM)、「I Don’t Understand But I Luv U」(PERFOMANCE TEAM)、「Dust」(VOCAL TEAM)とグループ曲「April shower」の計6曲を収録しています。

連載「Chat with Spotify」 Spotify日本法人代表 トニー・エリソン×東宝株式会社 林原祥一対談 パートナーシップの鍵は“良いコンテンツをユーザーに届けたい”という想い

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 スポティファイジャパン株式会社 代表取締役を務めるトニー・エリソンが、ライフスタイルやカルチャー、ビジネスにおいて音楽や音声が果たす役割や可能性について各界のキーパーソンと語り合う対談連載「Chat with Spotify」。

 第二回のゲストとしてお招きしたのは、東宝株式会社 宣伝プロデューサー 林原祥一さん。映画『すずめの戸締まり』の公開にあわせて展開した小説版の朗読コンテンツ『聴く小説・すずめの戸締まり』やプレイリスト『新海誠 音楽の扉 -Songs from Makoto Shinkai’s Movies-』、SpotifyのブランドCMでのコラボレーションなど、多面的な連携が実現した経緯やここから生まれたシナジー、両社の今後の可能性などについて、じっくり話し合いました。

▷まずは両社がコラボレーションを開始したきっかけや経緯について教えてください。

林原:2021年公開の映画『竜とそばかすの姫』でSpotifyさんとスタジオ地図のコラボレーションがあり、その際、私が映画の宣伝プロデューサーを担当させていただきました。音楽が作品の重要な要素になっていることもあり、Spotifyさんとのコラボレーションがすごく良いものになったな、という記憶が残っていて。それがひとつのきっかけですね。

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東宝株式会社 宣伝部 宣伝プロデューサー 林原祥一さん

 その後、2022年公開の映画『すずめの戸締まり』の担当になったんですが、僕はそのとき初めて新海誠監督の作品を受け持ったんです。『天気の子』や『君の名は。』が記録的なヒットしたあとに新参者として『すずめの戸締まり』の担当をすることになったので、「このタイミングだからこそ、なにか新しいことを仕掛けよう」という思いがありました。新海監督の映画は映像だけでなく音楽もすごく重要で、それならと『竜とそばかすの姫』でのSpotifyさんとのコラボレーションを思い出し、お声掛けをさせていただきました。

トニー:こちら側のバックグラウンドもお話させていただくと、僕が入社して現在のポジションに就任したのが2021年2月で、Spotifyの日本法人が立ち上がってから5年目にあたる年なんです。それまでの5年は、日本でのSpotifyの普及に向けて、まずはとにかくSpotifyというブランドの基盤を作る期間だったんです。僕が就任した頃には日本においても熱心な音楽ファンの間では信頼や支持を得ることができてきていたので、さらに拡大していくにはどのようにしたら良いだろうと考えました。音楽は主軸として変わらず大切にしつつ、少しずつユーザーの幅を広げていかないといけないと思ったんです。

 私は音楽はほとんど誰もが好きだと思いますが、30歳位を過ぎると生活の変化などもあり徐々に音楽離れする人も増えてくる。そんな方々に対し、どうすればかつての“音楽愛”を思い出してもらうことができるのか考えていました。Spotifyが再び“音楽愛“を実感する瞬間やきっかけを創り、そのハブになることで、Spotify自体もより認知され、さらに普及していくのではないかという発想がありました。

 僕は前職でスタジオ地図さんとご縁をいただいた経緯もあり、まずは音楽が中心的な役割を担った映画『竜とそばかすの姫』でコラボレーションをさせていただきました。これはSpotifyとして、「音楽とアニメって、ひょっとしたら相性がいいかもしれない」という仮説のもとで行った、新しい挑戦でもあったんです。そして実際にスタジオ地図さんと東宝さんとSpotifyの3社でパートナーシップを組んで展開してみたところ、予想以上の反響があったんです。東宝さんやスタジオ地図さんにも喜んでいただき、次もやりたいということになって。ただSpotifyはアニメの専門ではありませんので、次にどのような作品が来て、どのような段階や方法で関与していけばいいのかが分からなかった。そう思っているうちに、林原さんの方からお話をいただいたので、すごくありがたかったんです。

林原:いいタイミングでしたね。

一口に「ストリーミングサービス」と言っても、映像ストリーミングサービスは映画会社と密接な繋がりがあるかと思いますが、音声・音楽のストリーミングサービスとは距離があるようにも感じます。コラボレーションする前の時点で、林原さんから音楽・音声ストリーミングサービス、とりわけSpotifyはどう見えていたのでしょうか。

林原:まず、個人的にSpotifyさんのいちファンなので、いつもありがとうございますと感謝を申し上げたいです。印象に関してはトニーさんが以前の対談でおっしゃっていた、「生活のサントラである」という言葉にすごく感銘を受けたんですよね。生活の中に音楽が溶け込んでいるってすごく素晴らしいことだなと思って。生活に溶け込むのも音楽だし、現実から離してくれるのも音楽。「音楽って多様な楽しみ方があるんだ」というのをSpotifyさんに教えてもらいました。

反対に、トニーさん側の印象として東宝さんはどう見えていたのでしょうか?

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スポティファイジャパン株式会社 代表取締役 トニー・エリソン

トニー:それを聞かれると、もうファンとしての気持ちしか出てこないです(笑)。ビジネスの視点から語ると当然、日本最大手の映画会社ですよね。でもそれだけでは語りきれない。自分は子供の頃から黒澤映画のファンだし、ゴジラのファンだし。初めて東宝さんの本社にお邪魔したとき、ゴジラが立っていてドキドキしましたよ。東宝さんとお仕事ができるなんて、本当に幸せです。

林原:映画会社というと、ゴジラをはじめ様々な映画を作っているという風に見られがちなのですが、個人的な立場で言うと宣伝プロデューサーという役割なので、実際に自分が映画を作るわけではないんです。Spotifyさんは「いかなる形で音楽をお客様に届けるか」ということを追及される会社さんだと思っているので、そこに関してとても共感するものがあります。僕らも映画の届け方というか、どう届けたらもっといろんな人に映画を楽しんでもらえるかということを常日頃考えているので、シンパシーを感じる部分がありました。

トニー:お互いに会社として何を成し遂げたいかという部分でも、すごく共感でき、呼吸が合ったんだと思います。良いパートナーシップを実らせるためには目指す着地点が共通していることが大切だと思います。Spotifyのミッションはアーティストやコンテンツ(作品)と、ファンを繋ぐこと。1人でも多くの人が大好きなコンテンツを発見するきっかけになるということはプラットフォームの使命じゃないですか。なので素晴らしいコンテンツが東宝さんにあり、それを音楽や音声を通じて1人でも多くの方に見つけていただくきっかけを創れるのであれば、Spotifyとしてもパートナーシップに良い形で価値を生み出せるのではないかと思います。

▷互いの取り組んでいる内容だけでなく、新しくやりたいことやそのタイミングも合ったからこそのパートナーシップですよね。

林原:そうですね。日本の企業はあまりパートナーシップという言葉を使わないと思うんです。僕らもよくタイアップとかコラボレーションという言い方をするんですが、今回は特にパートナーシップという表現が適しているなと思っています。

トニー:今回は点と点が線に繋がっていったので、これぞ良いパートナーシップという気がします。これまでの蓄積を活かせる場面もたくさんありましたし、前回の取り組みを越えようといった思いも双方にありましたから、ワンチームになって取り組めたかと思います。

良きパートナーとの出会いが呼び込んだ“幸せな偶然”

『竜とそばかすの姫』で得た知見を踏まえた上で実施した『すずめの戸締まり』のコラボレーションでは新しいチャレンジもされていました。改めて今回の『すずめの戸締まり』に関する施策で目指したあり方やそれぞれの狙い、どういった戦略を立てて取り組んでいったのかをお伺いできればと思います。

林原:前提として、『すずめの戸締まり』という映画を『君の名は。』や『天気の子』よりも多くの方に届けたいという思いがありました。新海監督作品を観たことがある人だけでなく、観たことがない人も映画館に足を運んでもらえるようにしなければいけない。そうなったときに、音楽が非常に重要な要素のひとつになるのではないか、という風に考えていたんです。

 なので今回「新海誠 音楽の扉」というプレイリストを作ることによって、音楽をひとつの切り口にしていろんな方にまさに「扉」から入ってきていただくという取り組みをしました。『君の名は。』以前の『秒速5センチメートル』や『言の葉の庭』、『星を追う子ども』など、多彩な楽曲をひとつのプレイリストにまとめさせていただいて「新海作品の映像の素晴らしさは知っていたけど、音楽もこんなにいいものなんだ」ということを知っていただくことがひとつ、大きな狙いだったかなと思います。

 そこから派生して非常にキャッチーな取り組みができたなと思うのは、プレイスメントです。劇中の後半で、芹澤というキャラクターがドライブ中にある意図を持って音楽をかけるシーンがあるんですが、そこで芹澤はSpotifyを使って音楽を流すんです。音楽が必要なシーンでSpotifyを使うというのは観ている方にとっても自然な流れで、生活や映画に溶け込んでいる印象を与えられたかなと思います。そのシーンで流れる楽曲はいわゆる懐メロと言われるもので、荒井由実さんの「ルージュの伝言」、松田聖子さんの「SWEET MEMORIES」、河合奈保子さんの「けんかをやめて」、井上陽水さんの「夢の中へ」などなど。そこはトニーさんも非常に気に入ってくださいましたよね。

トニー:そうですね。僕はまさにその世代ですから。Spotifyから見れば、アニメ作品とパートナーシップを組むことは、一日中音楽のことしか考えていないような熱心な音楽ファン以外の、もう少しカジュアルな音楽リスナーの人たちとの接点を作るための取り組みでもあったんです。映画を観て本当に感動しているときに懐メロが流れてきて、しかもそれがSpotifyから流れているというのは、Spotifyを知らなかった人や自分にとって音楽配信はあまり関係ないと思っていた人にとっても印象に残ったと思います。映画が終わってから「もう一度あの瞬間を体験したい」と思われる方はたくさんいたかと思いますが、Spotifyにアクセスすれば実際にその楽曲を聴いて、映画のシーンを追体験することができる。そういった循環を作ることはお互いに意味があるのではという考えがありました。

 そして今回の施策にあたってSpotifyとしては、まずは新海監督作品を知っている人や『すずめの戸締まり』を既に観に行った人など、まずは内側にいる人にアピールをして、その方たちをより深く満足させたいと考えました。そこで、『すずめの戸締まり』を観たいと思っている人たちや、『すずめの戸締まり』を観て感動の余韻に浸っている人たちに向けて、「聴く小説」という朗読コンテンツを配信しました。

林原:新海監督が執筆された『すずめの戸締まり』の小説がありまして、それが非常に素晴らしく、映画に描かれていない部分の心情や風景も描写されていたのが面白かったんです。すずめ役を演じられた原菜乃華さんの声もとても素敵だったので、それを掛け合わせることができないかと思って「聴く小説・すずめの戸締まり」をご提案しました。個人的にも映画の楽しみ方が増えたなと感じましたね。

▷一度映画を観たあと、その体験を覚えておきたい、増幅させたいと思ったときにもう一度観に行く以外の選択肢があるのは、映画というコンテンツの楽しみ方を広げるという意味でも重要なのかなと感じました。

林原:最近はIMAX上映や4D上画、応援上映などもあるじゃないですか。スクリーンの中のコンテンツは増えているのですが、スクリーン外のコンテンツも増やさないといけないと思っていて。そういう意味では「聴く小説」などの施策は今後もチャンスがあるのかなと思っています。

トニー:スクリーン外の体験やコンテンツを増やすことでリピーターが増えるという効果も見込めますね。

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確かに、「聴く小説」を聴いた後、もう一度映画を観に行きたいと思いましたし、実際に観に行きました。林原さんがおっしゃったように、小説では情景描写が映画とは全然違うので、小説をさらってから見直してみると新しい気付きもありました。

林原:あれは映画を作りながら小説を書くという、新海監督の恐ろしさが詰まった一冊でもあるんですよね(笑)。

トニー:『竜とそばかすの姫』を展開した後、ここまで音楽が中心テーマとなり、さらに大ヒットするような映画はなかなかないし、こういう取り組みは今回が最初で最後だろう、と社内で話していたんですよ。しかも偶然に、我々は映画に関連するアーティストの選定に全然関わっていないのに、Spotifyが「RADAR: Early Noiseプログラム」で積極的にサポートし続けてきたアーティストたちが声優やサントラの中心となり、うちがブッキングしたのではないかというくらいでした。稀なことがたくさんあったので、本当に二度とないと思っていましたそして『すずめの戸締まり』も、Spotify上でも国内外で大変フォロワーの多いRADWIMPSが音楽の柱となっているという相性の良さもあり、制作会社、配給会社、プラットフォームのそれぞれが皆同じ方向を見ているように感じられましたね。

 そしてSpotifyのアプリが実際の映画の中で登場したシーンで流れた音楽が懐メロだったじゃないですか。実はちょうどその頃から社内的には、大人になって少し音楽から遠ざかってしまったけど若い頃に音楽が大好きで熱心に聞いていた世代の人たちにSpotifyを試していただくにはどうしたら良いかなどと話し合っていたんです。そんなときにこのコラボレーションがあり、蓋を開けてみたらSpotifyの登場シーンで懐メロが選曲されていたという素敵な偶然もありました。

林原:良いパートナーシップができると運もついてくるというか、良い偶然がたくさん起きるじゃないですか。すごく幸せな関係性ですよね。

▷『すずめの戸締まり』も『竜とそばかすの姫』も日本のコンテンツではあるものの海外のファンに広く認知されています。海外に向けた施策もかなり行われたとは思いますが、その中でもSpotifyと連携して良かったポイントというと?

林原:先程お話しした、「聴く小説」が海外でかなり聴かれているんです。朗読は日本語なので不思議なのですが、それがすごく嬉しかったですね。成績的なところで言うと、『すずめの戸締まり』は海外での興行収入が日本映画史上No.1という世界的なメガヒットになりました。もちろんそれは新海監督がこれまでずっと積み重ねていらっしゃったことが最も大きな理由ですが、今回Spotifyさんとご一緒させていただいたことも、よりグローバルにキャッチしてもらえた要素なのかなとは思います。今回、音楽にはRADWIMPSさんだけでなく、陣内一真さんというハリウッドでも活躍される映画音楽作曲家の方が入ったんです。より多様な音楽制作体制になっていたので、そういったことも含めて新海監督がより世界に広まった『すずめの戸締まり』での体験は非常に貴重でした。

海外でも「聴く小説」が聞かれているのは面白い現象ですね。

林原:日本語で喋っているので、内容を分からない方もいるはずなんですけどね。作品が好きだからというのもあると思いますし、アニメーションを見ながら日本語を勉強したという話もよくあるじゃないですか。そのきっかけになっているのだとしたら、そういう意味でもいい仕事になったのではと思いますね。

トニー:意外なところにファンがいることが可視化されてくると、次の作品を作るときにクリエイターが意識するかもしれないですよね。アーティストの場合はツアーで訪れる場所として選ぶかもしれないですし、映画であれば、その地域で公開するという判断にも繋がるかもしれない。じつは、今回の「聴く小説」はインドで多くの方々から聴かれているんです。関連楽曲も映画のおかげですごく再生されています。また『すずめの戸締まり』は韓国でもヒットしたので、韓国でのRADWIMPSの再生回数が増えたりとか、映画をきっかけに韓国の方達がSpotifyの存在を知るようになったりとか、そういったことも起きています。なので、お互いにグローバル規模で成果を感じられていると思います。

「聴く小説」がインドで聴かれているなどの反響があった上で、東宝さん側としてはプロモーション、マーケティング的に次以降の作品に活かせる発見もありましたか?

林原:映画の楽しみ方×音楽って、いろんなことができるんだという気付きがありました。「聴く小説」もそうですし、プレイリストもそうですし。たとえば僕らは映画を初めてお客さんに見せる完成披露試写会をやりますけど、極端に言えば「試写」じゃなくて完成披露“試聴”会のようなアクションも面白いのかもしれません。あ。映画の楽しみ方も千差万別で、音楽という側面をどうアレンジしていくのかといった発想の仕方はたくさんあると思うので、そこは是非Spotifyさんの力を借りながら色々と練っていきたいなと思っています。

▷両社は現在公開中の劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影』でもコラボレーションしていますが、『すずめの戸締まり』の経験も活かされている部分もありますか?

林原:『名探偵コナン』に関しても同様にプレイリストを作らせていただいたり、Spotifyのオリジナルポッドキャスト番組の「ANIZONE」で声優さんの対談をやらせていただいたり。改めて「名探偵コナン」という作品の魅力を、「音」の力をお借りしてお届けできたのではと思います。

トニー:『名探偵コナン』は、もはや日本のカルチャーの象徴となっている作品ですよね。そんな日本のカルチャーを象徴する『名探偵コナン』と、Spotifyがタッグを組めるのは光栄です。そして、今回の『名探偵コナン』の主題歌は僕が大好きなスピッツが歌っているんですよ! もちろんスピッツは国民的な人気を誇るレジェンドグループですが、CDが最も売れていた時代からヒット曲がたくさんあったので、あまり音楽配信のイメージはなかったように思います。ですが、映画の主題歌となった最新曲はSpotifyの再生回数ランキングでも上位を維持し続けているんですよ。Official髭男dism、YOASOBIといった若い世代の人気アーティストに並んでスピッツがチャートインする。曲と『名探偵コナン』の掛け算があった上で、従来のスピッツファンはもちろん、新たにスピッツを能動的に聴き始める若い人たちも増え、アーティスト側にも良い形になったのかなと思っています。

今後、ここまでの取り組みを踏まえて新たにやってみたいことがあれば教えてください。

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林原:今はパートナーシップを組ませていただいてマーケティングやプロモーションの域でやっていますが、ゆくゆくは一緒に、それこそ映画のようなプロジェクトを作ったりすることもできるかもしれないですよね。

トニー:僕個人としてはそれはすごくやりたいですね。『竜とそばかすの姫』のパートナーシップから始まり、『すずめの戸締まり』に膨らみ、こちらからすると東宝さんの出すもの全てに協力していきたいというくらいの思いがあります。さらにいえば、林原さんがおっしゃっていたようにより深い関係を築きたい思いもありますよ。マーケティングの次はクリエイティブなのか、Spotifyと東宝さんでどのような新しいことを生み出せるのかなど、妄想はいくらでも膨らみますね。

(撮影=はぎひさこ)

Spotifyで聴く、季節に寄り添う公式プレイリスト【春編】

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 春は出会いと別れの季節であり、不安と期待が織り交ざった様々な変化が訪れます。そんな春を心地よく過ごすにはやはり音楽の力は欠かせないでしょう。Spotifyではそんな季節にぴったりの楽曲を楽しむことのできるプレイリストを多数用意しており、シチュエーションやその日の気分に応じてバリエーション豊かに音楽を楽しむことができます。

 本記事では、春をテーマにした、Spotifyの人気プレイリストをご紹介いたします。

(※公式プレイリスト内の曲は日々更新されます。取り上げた曲は、2023年4月20日時点のものです)

■切なくも愛おしい卒業のサウンドトラック

 学生たちにとって3月は卒業のシーズン。プレイリスト『卒業のサントラ -Your Generation-』には、レミオロメン「3月9日」やKiroro「Best Friend」など定番の卒業ソングのほか、恋慕を1人で噛み締めるにしな「春一番」や友と別れ歩んできた日々に想いを馳せるDURDN「何年後も」など新たな楽曲も多く収録されています。また洋楽による同コンセプトのプレイリスト『Graduation Songs』はABBA「Dancing Queen」やジョン・デンバー「Take Me Home,Country Road」などエバーグリーンな名曲たちを中心としており、様々な世代に切なくも愛おしい3月の空気感を運んでくれるでしょう。

 また『Grad Party』ではArctic Monkeys「Fluorescent Adolescent」やThe Beatles「Strawberry Fields Forever」など青春を感じさせるロックバンドの名曲たちから、Snail Mail「Pristine」やDua Lipa「New Rules」といった気鋭のダンスチューンも数多くラインナップ。仲間と歌って盛り上がるのもよし、1人で思い出に浸るのもよし。

 懐かしの定番曲から、新曲まで、卒業をテーマにジャンルを超えて選曲したプレイリストをぜひ、お楽しみください。

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWSRMIm8fJ5L7?si=250e86588e254369

■新たな始まりの季節を盛り上げる

 4月は新たな始まりの季節でもあります。そんなワクワクした気分を盛り上げるのにうってつけのプレイリストが『元気booster』です。煌びやかな高揚感たっぷりのYOASOBI「アドベンチャー」、心地よく駆け抜けるズーカラデル「シアン」など、いま人気の曲も充実。また、攻撃的なテンションで気持ちを鼓舞する春ねむり「Old Fashioned feat.PIZZALI & SiNNER MOON & Peatle」など、ひと味違うナンバーもセレクトしています。

 プレイリスト『春のうた』は柔らかく心をほどくHomecomings「i care」や、温かなラブソングであるCody・Lee(李)「世田谷代田」は転職や新生活のタイミングの不安な気持ちにも寄り添ってくれるはず。また名曲として愛されてきたくるり「春風」や松たか子「明、春が来たら」などのナンバーも、春の陽気によく馴染みます。

 洋楽プレイリスト『Spring In Your Step』はアコースティックギターの音色が印象的なヴァンス・ジョイ「Riptide」や、ジャック・ジョンソン「Better Together」などがセレクトされています。コンセプト通り、歩くテンポに近い曲調が散歩の時間を楽しくさせてくれるはずです。また、One Direction「Steal My Girl」やケイト・ナッシュ「Foundations」といったピアノとビートが効いた楽曲も多く、軽やかな気分をもたらしてくれるでしょう。

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DX2ODK19jfgNd?si=c78995d5d5fc476f

 ドライブミュージックにぴったりなのはプレイリスト『spring Fling』。MGMT「Electric Feel」やSpacey Jane「Lots of Nothing」などの軽快なポップソングから、フランク・オーシャン「Lost」やソランジュ「Losing You」など心地よいビートが感じられるナンバーまでが揃っています。

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DWWmb7Ur0aIYk?si=f11e42cc744b4779

 お花見のBGMとして最適なプレイリストは、『Sakura Drops』。佐藤千亜妃「花曇り」やtonun「青い春に」などの最新楽曲と、クリープハイプ「栞」やYUI「CHE.R.RY」といった人気曲が織り交ざり、特別な時間を演出してくれるはずです。

 春に聴きたいクラシックソングやインストゥルメンタルを集めた『Spring Classical Japan』は日々の生活にさらに自然に溶け込むことでしょう。坂本龍一「leta」、Ayatake Ezaki「touten No.4」など、美しいメロディラインを味わえる楽曲ばかりです。

 自分ではなかなか見つけることのできないナンバーや懐かしい名曲たちを、季節の空気感とともに楽しめるSpotifyの公式プレイリスト。皆さんも是非楽しんでみてください。