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明石ガクト×野村高文対談 「若年層にポッドキャストが人気の理由と企業のポッドキャスト活用」

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 PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、ニューズピックスを経て、2022年にChronicleを設立し、現在は音声プロデューサー/編集者として活躍する野村高文氏と、ワンメディア株式会社の創業者・代表取締役社長であり『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』などを著書に持ちながら、現在は『Fashion Victim』を配信するなど、音声コンテンツに可能性を感じている明石ガクト氏。それぞれコンテンツ制作のプロフェッショナルである2人は、ポッドキャストが盛り上がっている現状をどのように考えているのでしょうか。

 今回はそんな両者に音声コンテンツ・音声広告の魅力について伺うインタビューを実施。Spotifyが独自に調査したポッドキャスト利用に関する調査結果なども交えながら、若年層のポッドキャスト利用の現状や、若者に向けた効果的な音声コンテンツ・ブランデッドポッドキャストの届け方などについて、じっくりと語りあっていただきました。

ーーSpotifyの調査によると、10代から30代の音声コンテンツサービス利用者のうち、元々若年層含有率の高いSpotifyを通して使っている方が半数近く、と最も多いようです。いま若年層にポッドキャストが広がっている背景には何があると思いますか?

明石:まずは、ワイヤレスイヤホンの普及はかなり大きいと考えています。今、電車の中や外を歩いていて、イヤホンをつけてない方の方が少ないくらいですよね。また、僕は「YouTubeとの役割の違いが明確になってきた」とも感じています。まず、ポッドキャストには画がないですよね。私自身、ワンメディアという会社を経営して動画制作をずっと行ってきたのですが、画がありきで考えるストーリーと、画がない前提で考えるストーリーというのは全く別物なんです。ポッドキャストは声だけで伝えるのが得意な人が活躍できるメディアであり、テレビに対するYouTubeのように、ラジオに対するポッドキャストという二項対立的な概念が、ここ数年で急激に定着してきたと感じます。

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明石:さらに、動画の世界では、アップロードする人が増えすぎて、コンテンツが飽和し、時間の奪い合いが極限に達しています。昔は100万再生が当たり前だった動画でも、今は厳しくなってきていますから。だからこそより細かい隙間時間や「ながら」の時間にフィットするメディアが求められており、その結果として「ショート動画の隆盛」と「ポッドキャスト人気」が生まれているのだと考えます。

ーー可処分時間の奪い合いにおける最後の砦が「ながら時間」であり、そこにハマったということですね。

明石:シェールガス採掘みたいですよね。これまで採取できなかったけど、テクノロジーの進化によって採れるようになった、みたいな(笑)。

ーーそうした行動変容の部分でいえば、コロナ禍の世の中を経た、という部分も大きかったりするのでしょうか。

野村:僕は元々日本にあった深夜ラジオカルチャーの流れが大きく影響していると考えています。テレビやYouTubeのような「顔出しで大勢の前で話す」場とは異なり、ラジオには「素顔をこっそり語る」という文化が長く存在していました。芸人の方がラジオ局の深夜枠で本音を語る番組が人気でしたが、ここ数年間は「親密に“素顔の話”をする場」がポッドキャストにも広がっています。

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野村:それは現在のお笑いブームや、様々な文脈で人気を得ている芸人さんたちが多いこと、さらにそのコアな話を聴ける場としてポッドキャストを選ぶ方が多いことが大きな要因だと考えています。ラジオ局の放送枠には限りがあって、起用されないと場を得られませんが、ポッドキャストは芸人さん自身が自由に場を持てますから。

ーーちなみにお二人はどのような隙間時間でポッドキャストを聴くことが多いですか?

明石:先ほどお話しした細かい移動時間もそうですが、飛行機移動のような長距離で特定の番組を一気聴きしたり、家事の合間に聴くことも多いですね。先日もカンヌとの往復でコテンラジオ(『歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO)』)をまとめて聴きましたし、家事に関してはポッドキャストを聴くようになってから率先的にやるようになった気がします(笑)。

野村:私も実際に家事がはかどるようになりました(笑)。皿洗いや部屋の片付けなど、手が塞がっていても耳が空いている家事と相性が良いので、そっちを積極的に担当するようになったりして。退屈だった時間を有意義なエンタメの時間に変えることができている実感がありますね。

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ーーSpotifyの調査結果によると、移動中、仕事中、勉強中、家事中など、まさに「ながら聴き」で利用されており、学習に使えるイメージも持たれています。特に若年層は学習目的で利用を開始する傾向があるものの、最終的にはエンタメコンテンツを多く聴いているという結果も出ています。それらの点を踏まえて、若年層はポッドキャストを「どう使っている」と感じますか? 

野村: 彼らはトレンドセッターに近く、様々なジャンルに興味を持ち、新しいものへの抵抗が少ない傾向があります。単なる情報収集や暇つぶしだけでなく、生活の一部、習慣として組み込まれているという感覚が強いですね。弊社の制作している番組でも「休日の犬の散歩中に聴くのが日課になっている」などという声が多くあり、まさに人生のルーティンに組み込まれていると感じます。

明石:わかります。私が関わっているある番組でも、前に配信の曜日を変更していいかどうかをリスナーの方にアンケート形式で聞いてみたのですが、見事に「生活の中に組み込まれているから変えないでほしい」という意見が圧倒的多数でしたから。

ーーお二人の関わっている番組がいずれもそうだ、というのは貴重な情報ですね……。

野村:動画コンテンツは流行り廃りのサイクルが早く、ともすれば「使い捨て」になりがちな中で、ポッドキャストは一度好きになってもらえれば、その後もリスナーの人生に寄り添い続けられる特徴があります。これは、コンテンツが単なる消費ではなく、深い体験となっている証拠だと思います。あと、私はコンテンツクリエイターとして「情報は人生を変える」と思っていて。せっかく作るなら人々の人生に良い作用があるようなものを作りたいという気持ちで活動しているのですが、ショート動画では人生が変わらないなと。

ーーなるほど。そう思われた理由はなんでしょう?

野村:自分がこれまで人生を変えられてきたものって、書籍や映画、それに誰かとじっくり話した経験、つまりは“長い時間をかけて体験したこと”なんです。文芸評論家の三宅香帆さんも著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で、同様のことを指摘されていますが、「自分が知りたい情報を検索してすぐに答えが出てしまうことって、今の課題を解決するものの、これまでの自分の枠組みから外に出ないぶん、人生を変えることにはならない」なと。ただ、スクリーンに向き合い続けている私たちの人生において、集中して何かをみるのはだんだん難しくなってきている。だからこそ、スクリーンを見なくても受容できるポッドキャストは、今の時代において数少ない“長くても大丈夫なコンテンツ”なのだと思います。

ーーそれらを踏まえて、若年層が「熱心に聴いてくれる番組」と「スルーされる番組」の違いはなんだと考えますか?

野村: 若年層が熱心に聴いてくれる番組にはいくつかの特徴があると思います。コンテンツの種類としては、道具としての有用性を求める場合と、共感や安心感といった心理的な快楽を求める場合に分かれます。Spotifyの上位コンテンツにお笑いが多いのは、後者の価値が大きいと感じますね。番組が人気化するためには、まず「発信者が誰であるか」「何者であるか」がリスナーにある程度見えることが非常に重要です。その人がどういう課題を持ち、どんな視点に基づいて話をしているのか。音声コンテンツは聴けば聴くほど良さが分かりますが、その手前にある番組のコンセプトや発信者のキャリア、概要欄などで、自分が何者で何を語っているのかを開示・説明することは可能です。それが世間の課題を捉えていると、人気が出やすい印象があります。

明石:動画の世界でも「やらされてる人」はダメですからね。自ら「なぜマイクの前に・カメラの前に立っているのか」という意思が明確な人ほど強いんです。あとは、同性同士のトークが人気なことも面白いと思っていて。「盗み聴き感」のようなものが重要で、自分もそのインナーサークルに入りたいと思えるような番組が人気を集めている印象です。

ーー同性同士のトーク番組で人気のコンテンツはたしかに多いですね。

明石:昨年の流行語に「界隈(かいわい)」という言葉が入って一気に「界隈」という言葉が一般化しましたが、ポッドキャストはまさに「界隈」のメディアだと感じます。『コテンラジオ』は歴史界隈、『経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独〜』は経営者界隈のように、従来のマス媒体や動画ではメディア化しづらかったニッチなテーマ、ビジュアルで表現しにくい抽象的な話も、ポッドキャストならコンパクトに始められ、それが「私のための番組だ」と色んな人が思えるものが支持されている傾向にあると思います。

野村:まさに明石さんのおっしゃったように「関係性」にリスナーがつくという点がポッドキャストの大きな特徴です。発信している情報ももちろん大事ですが、パーソナリティ同士が楽しそうに話している、その関係性自体にリスナーが魅力を感じているということです。

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ーー若年層に対して「音声でのアプローチ」が広告として有効になってきているという感触はありますか?

野村: 若年層へ音声コンテンツでアプローチすることは非常に有効だと思います。特にポッドキャストでは、リスナーが広告を「番組をサポートしてくれるもの」として捉え、「ありがとう」という感謝の気持ちを抱きやすいというユニークな特徴があります。これは、広告がノイズになりがちな他の媒体とは大きく異なる点ですね。

ーーそれ以外に、映像やSNSに比べて音声広告にはどんな強み・差別化ポイントがあると考えますか。

野村:映像やSNSに比べた音声広告の強みは、リスナーとの深い信頼関係と、広告がコンテンツ体験にシームレスに溶け込める点にあります。ポッドキャストは、再生回数よりも「滞在時間の長さ」や「リピート率」といった体験の質が重視されます。最後まで聴かれる割合が高く、各エピソードの再生数が安定しているため、パーソナリティとリスナーが深く繋がっていることが数字にも表れています。これは、コンテンツが単なる消費ではなく、リスナーの人生の一部になる「体験」であるためです。

ーーでは、音声コンテンツ・音声広告のKPIについてはどのように考えますか?

明石:動画の世界は再生回数のようなわかりやすいKPIに注目が集まっていましたが、ポッドキャスターにおいて再生回数はあまり関係ないと思っています。

野村:そうですね。具体的な指標でいえば「滞在時間の長さ」と「リピート率」に注目すべきでしょう。弊社が作った番組も、音声を一度再生すると最後まで聴いてくれる率が高いんです。さらに、特定のエピソードに偏らず、各回の再生数がそこまで変わらないのも面白いですね。パーソナリティとリスナーの一人ひとりが素通りする関係性ではなくて、かなり深くつながっていることがよくわかるエピソードとデータだと思います。

明石:例えば『奇奇怪怪』は最近長尺化が止まらなくて、毎回2時間くらいの尺になっているのですが、これってもう毎週映画を見ているくらいの長さなわけですよね。これをひとつのIPが体験させようと思うと、なかなか難しいことだし、再生回数などでは計り知れないインパクトです。「習慣化」という言葉には収まりきらない強度があるというか…。

野村:たしかに「脳の回路が組み替えられてる」くらいの粘着性がありますよね。同じ1回の再生数でも、深さと強さが全く違うように感じます。

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ーーたしかにその感覚はよくわかります…。ちなみに、お二人が最近「これはうまくハマってるな」と感じた企業コラボやスポンサー付き番組があれば教えてください。

明石: 昨年の番組になるのですが、FUJI ROCK FESTIVALのポッドキャスト『READY FOR FUJI ROCK FESTIVAL’24 supported by iichiko』ですね。麦焼酎の「いいちこ」がスポンサードしている事例で、毎回出演アーティストをゲストに迎えてトークする番組なのですが、面白いのは冒頭に「いいちこ」で乾杯してから話を始めるものの、そこから「いいちこ」は全然出てこなくて。ただ、リスナーには好きなアーティストが「いいちこ」で乾杯し、楽しそうに話しているのがわかるので、ブランドネームのプレイスメントは冒頭の一瞬だけでも、その後の30分間はリスナーの頭の中に「いいちこ」が存在し続けるんです。見えないからこそ、シチュエーション自体にうまくブランドがプレイスメントされ、想像力を掻き立てるという構造が非常に優れていると感じました。

野村:なるほど。家具や空間、飲食物などの「ながら」で消費される商品や製品は、音声ならではの想像力を活かしたプレイスメントと非常に相性が良いかもしれませんね。

ーー野村さんはご自身が手掛ける番組のなかで、手応えを感じた瞬間などはありますか?

野村:数々の番組を配信する中で、企業がポッドキャストを発信することの意義がかなり見えてきました。一定のクラスタのリスナーに対して、深くメッセージを届けられるメディアのため、リスナーから従業員採用に結びついたり、顧客の獲得につながることは再現性のある効果として発生しています。また職業的専門性に基づき、体系的な発信をすることで、出演者がその業界の有識者として認知されることも、企業活動にとって計り知れない効果をもたらしていると感じます。

ーー明石さんは若年層をターゲットにしている企業に対して、Spotifyでのポッドキャスト施策をどう提案していますか?

明石:そもそも動画などの視覚コンテンツを見まくっている若者の心の深いところを撃ち抜くには、従来とは異なる手法、つまり音声でやらないと目立つことはできません。動画の得意な領域と、音声の得意領域は違うので、企業さんには「誰かの人生にとって大事なものになり、コミュニティになっていくようなところに対して、広告資金を投下していく必要があるのでは?」と話しています。映像化しづらいようなテーマや、極端にマニアックなもの、そういった従来のマスコミュニケーションでやりづらいものほど、ポッドキャストには向いていると考えます。そうやって作られるコミュニティは絶対的な数が多いわけではないが、その一人ひとりがエヴァンジェリストになってブランドを広めていってくれる味方になる。だからこそ企業はポッドキャストをやるべきなんです。

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ーー最後に、若年層に向けてポッドキャストでの発信を検討されている企業の皆さまへメッセージをお願いします。

野村: 若年層に響くコンテンツ作りにおいては、「企業が言いたいことを主にするのではない」という姿勢が非常に重要です。あくまで、企業が持つ知見や歴史など、リスナーが「面白い」と感じてくれるであろう情報やストーリーを提示することから始める「ギブファーストの精神」が大事です。それが面白いと感じてもらえてから、徐々に自社のメッセージを織り交ぜていく形が理想です。番組によってリスナーさんがどういう属性で何が好きかというのがはっきりしている・偏っているのがポッドキャストの特徴でもあるので、その番組の特性を把握しつつ、そこにマッチする企業と番組がともにコンテンツを作ることが、共感されるブランデッドポッドキャスト番組につながってくると思います。

明石:ポッドキャストのリスナー、特に「ながら聴き」で積極的にインプットしようとしている層は、「丁寧に生活をしている人」「人生に対してプロダクティブな人」という属性があると感じています。彼らは空き時間に家事をしたり、ウォーキングをしたりと、時間を有効に使おうとしている層です。そういった層に対しては、単なる商品紹介ではなく、彼らのライフスタイルに寄り添い、生活をより豊かにするような知見や体験を提供するテーマが向いています。例えば、ワイドショーのように「話が入ってきているのかいないのか分からない」ノイズではなく、ポッドキャストで「フランス革命についてこういうことだったんだ」と知るような、有益なインプットになる情報が好まれる傾向がありますね。

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野村:「深い情報」が重要とは意識しつつも、スクリーンに向き合っていると集中力が持続しにくいというのが、現代人に共通する課題だと思います。音声コンテンツは、スクリーンから解放されることで、長く滞在しても無理なく情報をインプットできる唯一のメディアです。企業が発信するコンテンツも、このような「人生を変えるような深い情報」や「具体的な課題解決に繋がる知見」を、「友人同士の会話」のような親密なトーンで提供することが、これからも求められ続けるでしょう。

若年層のポッドキャスト利用についてより詳しく知りたい方は、「Culture Next ポッドキャスト利用実態編」をチェックしてください。

(撮影=林直幸)

世界的クリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモト氏が考える“音声コンテンツ”の魅力とは?

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 グローバル・イノベーション・ファームI&COの創業パートナーであり、世界を股にかけて活躍するクリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモト氏。彼は『レイイナモトのライフアカデミー』『レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」』でパーソナリティを務めるポッドキャスターとしての一面も持ち合わせています。

 今回はそんなイナモト氏に、音声コンテンツ・音声広告の魅力について伺うインタビューを実施。Spotifyが独自に調査した音声広告に関する調査結果なども交えながら、クリエイティブ〜マーケティングに必要なことについて、たっぷりと語っていただきました。

Spotifyの魅力は、「発見」できるところ

——まずは読者に向けて、ご自身のこれまでの経歴やポッドキャストを含む直近でのお仕事などについて教えていただけますか。

イナモト氏:空港で入国審査の際には「デザイナー」と書くんですが、実際には色んなことをやっている人間ですね。「企業の変革パートナー」という立ち位置で、経営者や経営層の方々と、企業の「次の仕組み」をつくる仕事をしています。日本の企業だと、それに加え、ブランドをどうやって世界に打ち出していくかや、世界でのブランド力を上げるためのお手伝いもしています。

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——そんなイナモトさんは、どういったバックグラウンドをお持ちなのでしょう?

イナモト氏:元々はデザイナー畑の出身で、自分でゴリゴリといろんなものを作ることが好きでクリエイティブ業界に入りました。僕がちょうど大学生の時にインターネットが盛り上がり始めて。当時はPhotoshopもFigmaもなんならFacebookもInstagramもありませんでしたし、コンピューター自体の性能もすごく原始的だったので、限界がすぐに見えてしまって。自分の表現の幅をもっと広く深くするためにコンピューターサイエンスを勉強しはじめて、現在はテクノロジーとクリエイティビティの可能性を合わせた新たな発見を日々追い求めています。

——イナモトさんが考えるSpotifyの魅力とは?

イナモト氏:自分の知らない世界を発見できる、というのが一番の魅力だと感じています。興味のある領域——自分の好きな音楽やポッドキャストなどが深掘りできて、さらに、自分の好みに合った他のコンテンツも見つけることができる、新しい発見と驚きに出会えるツールですね。

——そのなかでもお気に入りの機能などはありますか?

イナモト氏:毎年チェックするのは「Wrapped (日本での名称は “Spotifyまとめ”)*」。あまり気にしていなかったけど実は聞いていた、という曲が発見できるのですごく面白いんです。2024年はそこまで聴いていた意識のなかったジャズの曲が1位になっていて驚きました。聴き返して見ると仕事中に聴いていたような気がしたので、よくこの曲を聴いて集中していたんでしょうね。先日リリースされた新機能「daylist」も使ってみましたが、プレイリストのタイトルは「Jazz coffee Thursday morning」でした。僕自身を端的に表してくれているようで面白いですね。

 あとはリスナーとしてではなくポッドキャスターとしての立場になってしまいますが「Spotify for Podcasters」もよく使っています。リスナーとしてもポッドキャスターとしても使っているという意味では、自分にとってすごく特殊なプラットフォームかもしれません。

*Spotifyまとめとは、世界中のユーザーがSpotify上での聴取履歴から自身のこの一年を振り返ることができる企画です。その年に最も聴いたアーティストや楽曲、音楽ジャンルのほか、音楽再生時間、最も聴いたポッドキャスト番組などのデータを、Spotifyアプリ上でお楽しみいただけます。

音声は「親近感と信頼」が生まれやすいフォーマット

——ポッドキャストの話が出たので、そちらについても伺わせてください。現在は『レイイナモトのライフアカデミー』『レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」』の2番組でパーソナリティを務められていますが、それぞれの番組を始めたきっかけは?

イナモト氏:ライフキャリアコーチをしている妻が活動の一環としてポッドキャストを配信していて。彼女から「簡単だからやってみたら」と勧められて始めることにしたんです。それが『レイイナモトのライフアカデミー』という一人で話している番組で、そこから派生する形でチームとして作っている番組が『レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」』です。

 目的はそれぞれの番組で明確に違います。『レイイナモトのライフアカデミー』は、自分で何かを考えて伝えていくことをとにかく重要視しています。逆に『レイ・イナモト「世界のクリエイティブ思考」』では様々な方とお話しして新たな視点や考えを吸収していくことを大事にしていて。それぞれで話したこと、考えたこと、感じたことが自分にとって、新たな学びや発見になっているんです。

——そのようにして複数の番組で目的を分けられているのですね、とても面白いです。逆に共通しているものはあるのでしょうか。

イナモト氏:これはポッドキャストに限らずですが、ここ5年くらいの間、自分の個人的なミッションとして掲げているのは「Make Japan Matter」という言葉で、日本語で言えば「日本を世界で必要不可欠な存在にする」という意味があります。僕は海外に出てもうすぐ25年ですが、2000年前後くらいは「日本って物価が高いよね」なんてアメリカやヨーロッパに住んでいる友人たちに言われたものです。ただ、2010年くらいから僕の周辺の人がある種の危機感があると教えてくれていて。当時は「本当にそうかな?」と反感を持っていたのですが、一歩下がって冷静に見てみると、たしかに日本の存在感は年々薄れていっているように感じましたし、2025年の現在はその危機感が現実のものとなっています。僕は生まれてから最初の15年を日本で過ごしてきたので、それがすごく残念に思えてきて。いち個人として大きな貢献ができるわけではありませんが、自分の経験や視点を発信することで、これからの日本を支える誰かにインスピレーションを与えられればいいなと思い、細々と配信をしているんです。

——ビジネスシーンなどでもリスナーが多い番組だという印象があるのですが、番組を聴かれていると実感した出来事はありますか?

イナモト氏:日本に帰国すると、全然知らない方にまで「ポッドキャスト聴いてます!」と話しかけていただくことが結構あるんです。嬉しいと同時に、日本でもポッドキャストの普及が進んでいるのを感じます。

——イナモトさんが考える「広告と音」の結びつき、そして「広告における音の重要性」とは?

イナモト氏:「音声メディア」というものは別に新しいものでもなく、1900年にラジオが発明されたころから存在しますし、音声広告もその数十年後に生まれてきたので特に新しいものではありません。ただ、Spotifyのようにそれを発信するプラットフォームが新しくなっていることや、TikTokなどが大きな影響を与えるのではと言われていたアメリカ大統領選でポッドキャストが対局を左右したことが象徴するように、存在感が増していることは間違いありません。

 なぜ音声コンテンツに人が集まり始めているのか。僕なりの結論としては「人と人が繋がるうえで、言葉や音の信頼度が高いから」だと思います。動画が悪いとは思っていませんが、音声は視覚的なノイズを取り払うことで直接的に情報が頭に入ってくるものであり、目で見るものとは全く効果が異なる——「画面の向こうの人」よりも近しく感じることで、親近感が生まれやすく信頼もされやすいと考えています。それを広告に置き換えると、服などのビジュアルを大切にしているものは音声メディアでその魅力を伝えきれないと思いますが、人との関係を作ったり、サービスを提供したり、ブランド作りをするために言葉や音の力を使うのはすごく効果的でしょうね。

——広告を普段見たり聴いたりされるなかで、日本と海外で“音”の違いなどを感じることはありますか?

イナモト氏:海外ですと、ポッドキャストで流れてくる音声広告は番組のパーソナリティの方が読み上げるものが多いんです。先ほどお話しした「声の信頼度の高さ」をうまく使った例で、いつも聴いている番組のパーソナリティが読み上げるからこそ説得力があるのだと感じます。

意識的と無意識的な聴取の相乗効果で「潜在的に記憶に残る」

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——視覚情報過多の現代において、マーケティングにおけるサウンドロゴや音声広告をはじめとした音の資産の活用の重要性は一層高まっています。Spotifyグローバルの調査では、ブランディングツールの中でもサウンドが最もアテンション獲得効果が高いという結果も出ていますが、音の資産を残し活用することの重要性について、イナモトさんのご意見やお考えをお聞かせください。

イナモト氏:少し話がズレるかもしれませんが、日本の新幹線で英語のアナウンスを担当している方が動画をアップしていて。何かのタイミングで偶然その動画が流れてきて”知ってる声の人だ!”と驚いたことがあるんです。これはあくまで一例ですが、音声はそのように”潜在的に記憶に残る”ことが多いのかもしれません。だからこそ、印象的な音の広告を作ることができれば、色んな人の耳や頭のなかに残っていくでしょうし、それが何かを意思決定するときや企業の名前を聴いた時などに効果的に働くこともあるかもしれません。それが“音の資産”の重要性につながるのではないでしょうか。

——Kantar社の調査で「Spotifyを利用した後と、ソーシャルメディアを利用した後とでは、Spotify利用後の方がよりハッピーでリラックスした気持ちになれると回答した人の割合が15%も多い」という興味深い調査結果もでています。このようなポジティブな聴取態度が影響してか、Spotifyユーザーのオーディオに対するエンゲージメントは、それらが広告に切り替わった後も93%は保たれることが自社の調査でわかっています。

イナモト氏:僕の知り合いにも音声メディアやソーシャルメディアなどの様々な種類の広告を販売している企業の方々がいますが、最近は「音声メディアの方が効果を得やすい」という声をたびたび聞きます。

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——Spotify広告のアテンション獲得力はインストリーム広告プラットフォームやソーシャルメディアと比較しても、インストリームプラットフォームの2.3倍、ソーシャルメディアの4.2倍高いことが電通ジャパン・インターナショナルブランズ、主要プラットフォーム各社、Lumen Researchの調査チームと共同で実施したアテンションエコノミーの調査でわかりました。この結果からイナモトさんが感じることは?

イナモト氏:“アテンション”と広告という視点でいえば、企業やブランドが音声メディアで何かを言うことによって共感を得てサービスや商品を買ってもらう際に気をつけなければならないのは、“その情報が有益であるか、時間を無駄にしないものであるか”だと考えます。どんなにお金があってもなくても、社会的地位が高くても低くても人でも、平等に与えられているのが“時間”ですよね。時間は有限だから、それをいかに有効に活用できるかが大事。広告においては動画・音声・テキスト、あらゆるものが競争相手になっている上、有限である時間をいただくわけなので、アテンションを引いている間「人の時間を無駄にしない」ことが、今まで以上に重要になっている気がします。

——ここまで様々な調査結果をもとにお話を伺いましたが、これらのデータを見て、イナモトさんが感じたこととは?

イナモト氏:先ほどの話とも重なりますが、音声は意識の奥深いところとつながっているということですね。もう少し踏み込んでお話をすると“意識的”と“無意識的”の2つがあって、前者は自分が選んで特定の音楽やポッドキャストを聴くことで、その間に挟まってくる音声広告はある意味で意識的に聴くもの。後者はプレイリストでランダムに音楽を聴いていくなかでBGM的に流れてくるもの。そういう意識的なところと無意識なところのどちらかに、もしくはその両方にアプローチできることから生まれる相乗効果によって、深いつながりが生まれるのではないでしょうか。

重要なのは「山の頂上に一歩一歩登ること」

——Spotifyではトヨタ自動車のポッドキャスト番組『TOYOTA SOUND TRACK』など、企業のポッドキャスト活用も増えてきています。企業がポッドキャストを運営する際、どんな考え方でコンテンツ作りを行えば良いでしょうか。意識すべきポイントがあれば教えてください。

イナモト氏:企業やブランド・組織が広告を作る際、やはり認知度を上げたい・買ってほしいという欲求がどうしても先に来がちですが、個人的な意見としては「信頼」を得ることがなにより大事だと思っています。そこをまず念頭に置いたうえで「どうやって有益な情報を提供し、信頼してもらえるか」を意識したものを作ることが、今のコンテンツに求められているものかもしれません。これは音声メディアに限ったことではありませんが、これだけ情報があふれている世の中で、どこまでが本当で、どこまでが人間の作ったもので、どこまでがAIの作ったものかが判別しづらい時代になっているからこそ、最終的には「信頼」が差別化につながる。その「信頼」がブランド力になっていくと僕は思います。

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——最後に、音の資産をこれから形成・活用していきたいとお考えのマーケターのみなさんへ向けたメッセージをお願いいたします。

イナモト氏:これは音声メディアに限ったことじゃないと思うんですが、世の中に音声や動画など様々な情報がある中で目立つのは正直難しいです。ただ、そのなかでも「バズらせたい」「話題を作りたい」という声を多く聞きます。もちろん広告やマーケティングはそうして話題を作るのが役割の一つなので、それが間違いというわけではありません。ただ、山の頂上を目指すのであれば、一歩一歩確実に登ることが大切です。1回きりのバズはヘリコプターで頂上にいくようなものですから、結局自分の財産や力になることは少ない。自分の足で登る頂上の景色と空から見える景色は同じかもしれないですが、自分で登ると景色の見え方も違いますし、経験を含めて大きな財産になるはず。音声広告やポッドキャストといった音の資産作りも継続的に一歩一歩続けていきましょう。

(写真=池村隆司)

『その後のプロフェッショナル 仕事の流儀』など、NHKエンタープライズとSpotifyの取り組みから考える“音声コンテンツの可能性” 末次徹×住吉美紀×西ちえこ鼎談

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 Spotifyは9月21日、ドキュメンタリーからエンターテインメントまでNHKの多彩な番組を数多く手がけてきた株式会社NHKエンタープライズと、Eテレの教育・教養・実用番組を中心に制作を行う株式会社NHKエデュケーショナルが新たに制作するオリジナルのポッドキャスト5番組の独占配信を開始しました。

 今回はその5番組から、人気ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げた、各分野のプロフェッショナルたちのその後を追った『その後のプロフェッショナル 仕事の流儀』にフォーカスを当て、パーソナリティを務めるフリーアナウンサーの住吉美紀さん、番組を手掛けるNHKエンタープライズ シニア・プロデューサーの末次徹さんと、スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括の西ちえこにインタビュー。この大きな取り組みが生まれた経緯や、番組の反響などについて聞いていきました。

教育系コンテンツのトップランナーがポッドキャストに展開

ーー今回のプロジェクトが始動した経緯を教えてください。

Spotify 西ちえこ(以下、西):今年の春先ぐらいにNHKさんの方から、「なにかコラボできませんか?」とお声がけいただいたところから始まりました。Spotifyとコラボしてくださるなんて、と光栄だった一方で、番組作りのハードルが高そうだなとも思いました。でもNHKさんは、最初から明確に「テレビだけではリーチできないオーディエンスへリーチすること」をビジョンに掲げられていたので、こちらも提案がしやすくて、プロジェクトはスムーズに楽しく進行できました。

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スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこ

ーーNHKさんとの取り組みには、どのような狙いがありますか?

西:ポッドキャストは、学習系・教育系コンテンツと相性がいいので、Spotifyとしても同ジャンルを強化していきたいと考えていたところ、NHKさん(NHKエデュケーショナルさん、NHKエンタープライズさん)にお声がけいただいたので、心強いパートナーが現れたなと思いました。さらに、Spotify用の番組を企画してくださるのかと思っていたら、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(以下、『プロフェッショナル』)というすでに多くの支持を得ている番組をポッドキャストで展開したいと提案してくださったので驚きましたし、うれしかったですね。既存の『プロフェッショナル』ファンの方はもちろん、まだ番組を見たことがない方にもポッドキャストを聞いていただき、テレビ番組の『プロフェッショナル』にも興味をもっていただくといったサイクルを作れたらと思います。

ーーこの提案には、末次さんも携わられていたのでしょうか?

NHKエンタープライズ 末次徹(以下、末次):僕は途中からこのプロジェクトに加わった形で、今年の夏まではテレビ版『プロフェッショナル』のプロデューサーをしていたんです。そんなときにたまたまこのプロジェクトの担当プロデューサーから、『プロフェッショナル』のスピンオフをポッドキャスト番組として制作できないか、と相談を受けました。テレビだけではリーチできない層もいますし、今後は様々なメディアを駆使してコンテンツを発信していくべきだと考えていたので、ぜひやりましょう、と返事をしました。

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NHKエンタープライズ 末次徹さん

ーー住吉さんは、この話を受けたとき、どう思いましたか?

住吉美紀(以下、住吉):企画アイデアについて聞いてすぐ、私が30代、40代でやってきたことの総決算だ、と運命を感じましたね。『プロフェッショナル』は私の人生を変えた大事な番組ですし、スタッフとも家族のように付き合っていました。私はNHKを離れていましたが、今一度大好きな人たちとこうして別の形で仕事をするチャンスが巡ってくるなんて、と鳥肌が立つような思いでした。しかも、この10年ラジオとガッツリ向き合ってきて、音声メディアやポッドキャストの強みや可能性をヒシヒシと感じていました。なので、このプロジェクトに「興味ありますか?」と声をかけられたとき、「めちゃくちゃある!!」と飛びつきました。

 実際に番組を制作するにあたっては、私が今まで培ってきた人間関係と、この10年間でラジオ番組から得た知見を大いに活かすことができました。より良い番組にするためゼロから議論しながら作ったので、無事に配信ができたときは個人的にも本当に感慨深かったです。多くの方にぜひ聞いていただきたいです。

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住吉美紀さん

ーー西さんは、実際に完成した番組を聞いてみて、どう感じましたか?

西:住吉さんの熱量がとても感じられて、なにかすごいものが出来上がったぞ、とワクワクしました。ゲストの方と住吉さんとの信頼関係や親密さが、声を通して感じられるんですよ。冒頭を少し聞いてみただけでも、とてもいい番組になったという手応えがありました。

ときに映像以上の力をもつ、音声コンテンツの可能性

ーーこれまで映像メディアに携わってきた末次さんは、音声プラットフォームであるSpotifyさんにどのような印象を抱いていましたか?

末次:ニュースや新聞でSpotifyさんの名前を目にする機会が多いですし、音声コンテンツのトッププラットフォーマーというイメージでした。スウェーデン発のサービスであることも知っていたので、生き方が上手でかっこいい北欧の人たちが作った、優秀なプラットフォームなのだろうなと。実際に利用してみても、使いやすくてユーザーフレンドリーで、よくできていると感じました。

 ただ正直に言うと、今回のプロジェクトに参加する前までは、音声コンテンツにはあまり詳しくありませんでした。僕はテレビ局の人間なので、どうしても「コンテンツ=映像」の認識が強くて。でもプロジェクトを進めるうちに、音声コンテンツの奥深さや柔軟性に気づいて、興味をもつようになりました。視覚的情報がないからこそ、話し手の言葉が耳に入ってきやすいですし、自分の脳内で映像を思い浮かべて楽しむこともできます。あとは映像コンテンツだと、ストーリーはおもしろくてもそれに使える映像がないと成り立たないですが、音声であればストーリーだけでよくて、映像の縛りがないのもいいなと思います。

ーー住吉さんはいかがでしょうか?

住吉:前にSpotifyさんが制作されているポッドキャスト番組にゲスト出演させていただいたり、プレイリスト作りに参加したりしたこともありまして、すごく柔軟なサービスだという印象がありますね。私はラジオを長くやっていたので親近感がありますし、今どんなコンテンツが流行っているのかを知るのに参考にさせてもらっています。ただ音楽サービスの印象が強かったので、ここまでポッドキャストに力を入れていることは、今回のプロジェクトを進めるうえでの新たな発見でした。

ーー住吉さんは、映像・音声メディアの両方で活躍されていますが、両者の違いをどのように感じられていますか?

住吉:音声と映像だと、ずいぶんと役割や得意としていることが違います。テレビは映像ありきで物事が進みますし、画の強さがありますね。百聞は一見に如かずと言うように、一瞬で理解ができるし、一瞬で心惹かれて釘付けになることもあります。対して音声は、目に見えないものに訴求する力がとても強いです。気持ち、言葉、声など、目に見えないけれども私たちにとって価値があるものや、大切なものにリーチすることができます。使い方によっては映像以上の力を持って届くと感じているので、このパワーを活かすべきだと、番組の制作チームにお伝えしました。

 それに音声だけだと、本音かどうか、どういう気持ちやテンションで発言しているかが、意外にも映像よりもつぶさに伝わるんですよ。もし上辺だけで話をしていればそれはリスナーにバレるので、出演者はすべてを晒す覚悟で臨まないとダメですね。でもその覚悟さえできれば、リスナーと深く繋がれるし、信頼関係がはぐくめます。

ーー今回、ポッドキャストの『その後のプロフェッショナル』を聞いてみて、音声にはこんなに説得力があるのかと改めて実感しました。

住吉:収録スタイルにも大きな違いがあるんですよ。テレビの『プロフェッショナル』のスタジオは、まるで宇宙の中心に私たちだけ、というような非日常的な雰囲気でして、現場は良い意味で緊張感に包まれていました。一方でポッドキャストの方はもっとシンプルで、カメラや照明はなく目の前にマイクがあるのみ。ちょっと話が盛り上がってくると、収録だと忘れるくらいに素が出るんです。素の状態で話してもらうことで、人柄がにじみ出て、ここだけの話が飛び出たり、説得力が増したり。それは音声メディアの強みだと思います。

末次:『プロフェッショナル』のスタジオ収録はスイッチオンの状態でしたが、ポッドキャストでは完全にオフのままで進行しています。「スイッチを入れすぎないでください」とお願いするくらいに。その気張らないスタンスは、今の時代に合っているとも思いますね。

激動の時代だからこそ、リスナーの心に寄り添う番組作りを意識

ーー15年の時を経て、コロナ禍を含めさまざまな困難を乗り越えたプロフェッショナルたちの話は、とても興味深かったです。

住吉:15年という期間は、本当に絶妙だと思ってます。5年だとあまり変わっていないこともあるし、20年を超えると引退される方も出てきますから。15年の間にそれぞれいろんな人生の変化や事件があったり、いろんなことを経験されたりしていて、その話を聞いてるだけでもおもしろいのは、さすが『プロフェッショナル』の皆さんですね。その期間にはもちろんコロナ禍という、人類みんなが体験した困難も含まれているので、プロフェッショナルの方々はそこをどう過ごして何を考えたか、興味深いです。今この時期に番組が実現したのは、素晴らしいタイミングだと思います。

 今回ゲストの皆さんと再会するにあたって、当時の映像を見直したのですが、昔の自分は見た目だけでなく中身も若くて衝撃的でした。私も少しは成長できているなと感じましたね。あのとき聞きたかったことと、今聞きたいことが違っていたりするんです。それに当時は聞き手に徹していましたが、今は私も相手に伝えたいことがあるので、「自分はこう思うけど、あなたはどう思いますか?」という聞き方に変わりました。リスナーの皆さんには、自分もその場にいて会話を聞いている感覚を味わってほしいので、一方的なインタビューではなく、対談形式となるよう心がけています。

ーー音声コンテンツとしては、ゲストの方が一方的に話されるよりも、対談形式の方が聞き心地がいい気がしますね。番組への反響はいかがですか?

西:視聴時間が長いことが『プロフェッショナル』の特徴ですね。コンテンツが最初から最後まで聞かれた割合を意味する「聴取完了率」というものがあって、私たちはこれを「コンテンツクオリティ」と呼んでいます。クオリティが高いコンテンツは、離脱率が低いですね。多くの番組では、この数字をどう改善するかを議論することが多い中、『プロフェッショナル』の場合は最初から高いんです。良質なコンテンツとはこういうことなんだと示す良い例となりました。

 ビジネス面で言えば、テレビ局さんからのお問い合わせが増えました。まだ本格的に音声コンテンツに乗り出せていない番組さんや、ニュースの配信のみとなっている番組さんなど、悩まれている方たちから多くのメールをいただいています。

住吉:すごい、嬉しい!

末次:嬉しいですね。僕の方もいろんな番組の知り合いから、「自分たちの番組でもSpotifyさんとポッドキャストをやりたい」と相談されることが増えました。僕が今すぐどうにかできることではないので、あとで相談させてください(笑)

ーー住吉さんは、番組への反響を感じられることはありますか?

住吉:私もSNSなどで、すごく熱量の高い感想をいただくことがあります。「ちょうど同じことで悩んでいたので参考になりました」、「働く元気が出ました」とかって言っていただけてありがたいです。ただ本当は、もう少し反響がほしいところです。今の時代にはたくさんのコンテンツがありますから、その中で埋もれないよう、認知を拡大していかないといけないと感じています。聞いていただければ、おもしろいと思っていただける自信はあるんですけどね。

末次:僕も同じように、聞いてくださった方からの評判はすごくいいと感じています。その中で印象的なことが2つありました。1つは、「ながら視聴」がポッドキャスト・音声コンテンツの大きな強みだということ。ランニングや家事をしながらでも聞くことができるのは、映像コンテンツにはない良さですね。

 もう1つは、仕事や人生にフォーカスしたコンテンツへの興味が、皆さんの中で強まっていると感じたことです。コロナ禍などもあって先行き不透明な世の中において、どう働くべきか、どう生きていくべきかといった価値観がゆらいでいるんですよね。従来のモデルがなくなってきている中で、プロフェッショナルな方たちが十数年で体験してきた変化や苦労の話は、リスナーにとってすごく価値があるようです。多くの人が生き方についてより真剣に考えている現代だからこそ、この番組を制作する意義があると思っています。

住吉:15年の間にどん底を経験してる方もたくさんいました。そこから地道にコツコツ努力を重ねて、別の道を切り開いたなんて方も。一見完璧に見える方でも実は大変な目にあっていて、それでもなんとか生きているとわかると、少しほっとするんじゃないかな。『その後のプロフェッショナル』は、向上心の強い方向けの番組という印象があるかもしれませんが、そんなことはなく、いろんな人生があっていいと思える要素もたくさんありますので、どなたでもお気軽に聞いていただけたらうれしいです。

ーーテレビ番組の『プロフェッショナル』は、超一流の生き様をかっこよく見せて、視聴者のモチベーションを高めるような番組作りでしたが、ポッドキャストでは優しく背中を押すような構成になっていますね。

住吉:作っている私たちの意識も変化していますからね。「人生100年時代」とも言われる今の時代には、1つの仕事を死ぬまで続ける人は少ないですし、90歳まで働くようになるかもしれないなど、仕事観の変化はつねに頭にあります。ゲストとお話をする際も、リスナーにとって何かしらヒントや学びとなる話が引き出せるよう意識していますから、その点でテレビ番組との違いが出てきますね。

末次:タイトルには「仕事の流儀」と入っていますが、仕事だけではなく、人生の方にも触れるように意識していますね。人生の紆余曲折や、挫折エピソードなどが聞けるといいなと。

住吉:そうすると「実はこの仕事嫌いだったんだよね」といった本音が、本当にたくさん出てくるんですよ。プロフェッショナルの皆さんも、かっこいい時間ばかりではないんです。みんなもがきながらも、少しでも幸せに近づけるように生きていると感じていただけると思います。

世界的コンテンツで映画クオリティの音声エンタテインメントを実現。キーパーソンたちが語る『BATMAN 葬られた真実』制作の裏側

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 Spotifyが5月より配信している、ワーナー・ブラザーズとDCコミックスと連携したオリジナルポッドキャスト番組『BATMAN 葬られた真実』。米国版オリジナル脚本をもとに、日本を含むフランス、ドイツ、イタリア、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコの8ヶ国向けにそれぞれの国の制作チームを起用し、その国の文化や言語を反映した形で制作されました。

 今回はスポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括の西ちえこと、日本語版のコンテンツ制作を担当したニッポン放送からビジネス開発局長の節丸雅矛さん、同作を手がけたプロデューサーの勝島康一さんにインタビュー。映画クオリティの音声エンタテインメントを作り上げた過程と、細部に凝らされた工夫について、じっくりと話を伺いました。

ラジオ局は先駆者であり、よきパートナー

――プロジェクトの起点となったのはSpotifyさんとニッポン放送のどちらだったんですか?

西:『BATMAN 葬られた真実』は、2020年にSpotifyとDCコミックス、ワーナーブラザーズが締結した複数年制作パートナーシップからの第一弾として企画されたものです。全世界9カ国で同時展開するなかで、各国がその国の文化や言語にあわせたバージョンを制作することになり、日本版を作るにあたって、弊社がパートナーとしてニッポン放送さんに依頼しました。

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スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこ

――Spotifyさんとニッポン放送さんは最近で言うとオールナイトニッポンの独占配信だったり距離がかなり近いように思うんですけど、音声コンテンツを作る側と広げる側としてお互いをどういう風に見てらっしゃいますか?

西:よく「ラジオ局さんは競合なのか」という質問を受けるのですが、我々はラジオ局のみなさんを「日本におけるオーディオコンテンツの先駆者」であり、よきパートナーだと考えています。ニッポン放送の檜原社長が以前、別のインタビューの中で「ストック型のコンテンツとフロー型のコンテンツ」についてお話されているのを拝見しましたが、ポッドキャストの利点の一つであるアーカイブ性を活かして、ラジオ局さん側からも、リアルタイムで放送された番組をアーカイブとして残していくためのひとつのプラットフォームとして活用いただいているという側面が強いように感じます。中でもニッポン放送さんはオリジナルのポッドキャスト番組であったり、自社IPを活用したスピンオフ的な取り組みなど、非常に上手くデジタルコンテンツの展開をしているように見えますし、海外のコンテンツをローカライズすることも業界の中で先んじてトライされているので、今回のような案件において素晴らしい知見をお持ちだと思い、最終的にご一緒することになりました。

節丸:僕は現在の立場になる前は編成局にいたのですが、民放から派遣されてアメリカの『ラジオショー』というコンベンションに行ったとき、当時のアメリカのラジオ界が不況でものすごくどんよりしていたのが印象的で。そのときに現地で「アメリカではPodcastが伸びている」という話も聞いていましたが、日本では儲け方が分からないというか、ビジネスにできないような状況だったんです。でもオーディオアドの仕組みができて、ポッドキャストにCMが打てるとなったときに「これはイケる!」と思い、現在の部署に移った際にポッドキャストを推し進めていこうと決めました。

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ニッポン放送 ビジネス開発局長 節丸雅矛さん

ーー西さんがお話しされたように、ローカライズポッドキャストの事例としてニッポン放送が手がけた『ビジネスウォーズ/BUSINESS WARS』の成功は大きいものだったと思います。こちらを制作した経緯などについても伺えると嬉しいです。

節丸:オリジナルのポッドキャストを制作しようと思ったのですが、いきなり完全オリジナルは怖かったので、まずは英語版のコンテンツをローカライズすることにしたんです。日本向けにということであれば、『任天堂VSソニー』という構図も日本人に分かりやすい『ビジネスウォーズ』だということで第一弾コンテンツとして配信したところ、かなり聴いてもらえたことで、社内での風向きも一気に変わったように思えます。

 そのあとに『オールナイトニッポン』まわりの配信が始まっていったのですが、『オールナイトニッポン』はタレントさんの許諾も必要で、関係各所へ理解を得るまでが大変だったのですが、いざ配信が始まると、Spotifyさんとの相性がすごくよくて、逆に僕らが驚きました。そこからSpotifyさんだったらそういうコンテンツをぐいぐいやるのがいいっていうスタイルが段々できあがったっていう感じですね。

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プロデューサーの勝島康一さん

――そうしてお笑いのコンテンツでも良い結果を残し、このタイミングで『BATMAN』という大きなコンテンツを一緒にやることになったということですね。グローバルのコンテンツを日本語版として展開するというもので、様々な制約もあったかと思います。そのなかで工夫したことや、大変だったことは?

勝島:まずは経緯をお話すると、昨年の9月くらいに初めてこのお話がきたとき、僕の方には何の作品だということは伏せられていて。10月くらいに正式なオファーがきたときに初めて『BATMAN』だとわかり、さらに僕の中では1時間や90分のコンテンツを1本作るのかと思っていたら、30分前後のものを10本ほど作ると聞いて驚きました。

 さらに、本国の脚本があって、音声も音楽もオリジナルで作るということもわかったので、まずは英語の脚本を翻訳していただいて、そこから日本語の脚本を作っていくことをスタートしました。今年の1月に本国から仮の音源が届いたのですが、それをみんなで聴いたときに「これはすごい……」と驚愕させられました。日本でこれまでやってたラジオドラマのレベルはとうに越えていたので、僕ともうひとりのスタッフでやる予定だったものを急遽変更して、優秀なテクニカルチームを3人増やすことにしました。

 ラジオドラマはいろんなところで放送されていたりCDになっていたりしていますが、アニメの声優さんを中心としたものが多くて。僕は他局で15年続いているドラマを担当してきたのですが、そこではアニメ声優さんをあまり起用せず、舞台役者さんや俳優さんにお願いするようにしているんです。今回も『BATMAN』の音源を聴いたときに、やはり声の感じをアニメっぽくしたくないなと思ったんです。でもキャスティングは大変でした。2月頭にようやく決まったものの、舞台とかライブなどで多忙な方ばかりで、スケジュールが抑えにくかったので、ラジオドラマのように役者さんが集まって録る形ではなく、主要メンバー8人に関しては全員バラバラに収録しました。さらに、音声のみの演技を経験しているのは小手伸也さんしかいなかったのも、ディレクションをするうえでは大変でした。ですので、まずは周囲の声などを含めた「ガヤ」にあたる部分を吹き替え専門の方やラジオドラマに慣れてる方を中心にまとめて先に録音し、あとからメインキャストを収録する方向で進めることにしたんです。

ーー制作するうえで、勝島さんが最も大事にしていたことは?

勝島:大事にしていたのは「何回も聴けるようなもの」を作ること。演技のディレクションにあたっては、役者のみなさんに「なるべくリアルにやってください」とお願いしました。今回はリアルな路線を追求していくので、驚くときのリアクションも誇張せず、リアルな感じのものにしてほしいと。みなさんも不安そうでしたし、僕もやったことがない方向性だったので不安はありましたが、何度もプレイバックできるというポッドキャストの特徴を考えればそうするべきだと思い、とにかく何度も聴けるリアルなものを作る、という路線からはブレないようにしました。

節丸:リアルなものをつくる、という前提があったうえで、社内で議論になったのは「ナレーションを入れるかどうか」ということで。脚本を見る限りは説明不足に感じて、本国からSEも来ていないので、音楽でどのくらい説明できるのかもわからなくて。結局は開き直って「ナレーションはやめよう」ということになりました。勝島さんのディレクションも含め、ここが明確にラジオドラマと言われるものと逆の方向に走り出した瞬間だと思います。

勝島:ラジオドラマは「ドラマ」なんですけど、この『BATMAN 葬られた真実』は「映画」を聴く感じなんですよ。だから、演技のディレクションだけではなく、会話や音楽の間についても途中に身振り手振りが入っているような「映画の間」になるように作っていきました。

僕は30年以上ラジオに関わって、ドラマも沢山作ってきましたが、今回は本当に新しいチャレンジでしたね。向こうで音声が決まってて、しかも9か国で翻訳されて、10話もある。さらに全員バラバラの収録で……と初めてのことだらけでしたから(笑)。

グローバルコンテンツだからこそ難しかった「日本語の表現」

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――実際に『BATMAN』を一緒に制作していくにあたって、Spotify側として苦労した部分はありますか?

西:今回は私たちにとっても初めてづくしの取り組みでした。2020年にDCコミックスさん・ワーナーブラザーズさんと複数年契約をして、その第一弾として制作したのが『BATMAN 葬られた真実』だったんです。そこにデヴィッド・S・ゴイヤーさんという有名なプロデューサーが加わり、どんな作品になるんだろうと思っていたので、我々にとっても非常に驚きが大きいものでした。私たちがやりたかった「没入感のある新感覚のエンターテインメント」が形になるとこうなって、Spotifyが「世界に向けて発信するコンテンツ」として作るレベルというのはこんなに高いものなのかと感動しました。日本のローカライズバージョンでは、ニッポン放送さんと勝島さんのチームにご一緒いただいて、非常に質の高いものになりましたし、ただのローカライゼーションではなく、ある意味新しい作品になったと感じています。

勝島:「本国のオリジナルに合わるだけだから、作るのは楽なんじゃないの?」と言われたりもしますが、決してそうではなくて。役者が1人変わるだけで別物を作るような感覚ですし、ましてや言語が違えばセリフの長さ、SEやBGMのサイズも変わってくる。コンテンツを作る方としては、イチからオリジナルを作るような感覚でした。

――それってゼロイチで作るよりも逆に難しいですよね。

勝島:難しいですね。日本語であることによって、「会話の間」もそうですが「声の張り方」が違うのも大きかったです。エコーのつけ方も全く違いますから。BGMを付ける位置を変えたり、銃撃戦の音を短くしたりもして。

――先ほどSEやBGMのお話が出ましたが、音声コンテンツを制作するにあたって、音響面などの手法も通常のラジオドラマ的なものとかなり違うように聴こえました。そのあたりはどうでしょう?

勝島:今回のチームには4人のサウンドクリエイターが関わってくれたのですが、本国から送られてきた音声とは言語の違いがあるのと、ポッドキャストということでスピーカーではなくイヤホン・ヘッドホンで聴く前提で、定位を工夫すべく全員がProToolsで作りました。エコーの成分を何種類も使ったり、3DXというアプリを使って立体音響のように聴こえる工夫をしてもいます。苦労をした点としては、4人が4人とも音の作り方が少しずつ違うので、僕の方から「作品としてはいいんだけど、ここはこうじゃない」という指示を出したりしました。ただ、それぞれのスタッフが優秀だったので、各自からもっと良くなるためのアイディアもどんどん出てきて、チームとして良いものが作れたように感じますし、各スタッフからも「またやりたい」という声が続々と出てきています(笑)。

節丸:今回は本当に勝島さんじゃないとここまでまとめられなかったような気がしています。各技術の専門スタッフが集いながら、それをまとめるのはラジオマン・音声に長けた編集を知っている人じゃないと、このような形になっていなかったと思うので。

――お客さんからの反応は上々だと伺っているのですが、反応はどういうものでしたか?

西:GW中の公開だったこともあって通常の聴取習慣から離れた時期での公開でしたので、実際どのくらいの方に気付いていただけるか、届けられるかはチャレンジでした。しかし、マーケティングチームなども非常に努力してくれて、新しい形のエンターテインメントとして聴くきっかけを作れて、耳だけで楽しめるオーディオのエンターテインメントの番組があるんだということを知っていただけたかなと思っております。『BATMAN』は今回海外のIPで9言語で配信ということになったんですけど、我々としては日本のコンテンツを海外に大きく広げていくということに貢献できるともっといいかなと思っています。

――なるほど。ローカル発信のコンテンツをグローバルにする。

節丸:今回の話をいただく前に、アメリカでポッドキャストとかオーディオコンテンツとかマーベルの『X-MEN リジェンド・オブ・ウルヴァリン』があるというのを知っていて。この流れの中でそういうものを作りたいと思ってたんですよ。そういう文脈で社内で説明していったらすごく可能性が感じられるものとして社内で受け止められていますね。それと、Facebookで自分の仕事として紹介したんですが、面白いくらいに自分の業界から反応がなかったので、みなさん悔しかったのかなと思っています(笑)。

連載「Chat with Spotify」 Spotify日本法人代表トニー・エリソンが語る、オーディオストリーミングのこれまでとこれから

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 スポティファイジャパン株式会社 代表取締役を務めるトニー・エリソンが、ライフスタイルやカルチャー、ビジネスにおいて音楽や音声が果たす役割や可能性について各界のキーパーソンと語り合う対談連載「Chat with Spotify」がこの度スタートします。

 まずは連載スタートに先駆け、これまでMTVや任天堂、YouTube、ディズニーなどの様々なグローバル企業において次の時代のエンタテイントを追求・提案してきたトニーに対し、キャリアを通じて得た知見やビジョン、Spotifyやオーディオの可能性に対する考えを聞きました。

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次のエンタテインメントは何?を追い求めてきたキャリア

▷はじめに、これまでの経歴や、各社で取り組んできたことについて聞かせてください。

トニー:これまで取り組んできたことは、大きくわけてふたつあります。一つは、日本と欧米の懸け橋としての役割です。私は、生まれた時から、日本とアメリカを行き来する生活を送ってきました。そういった背景から、両国の言葉や文化が身についており、それが仕事でも役立っています。日系企業ではアメリカで、欧米企業では日本で勤務していましたので、グローバルとローカルの双方の視点から複眼で市場を見ることを積み重ねてきたと自負していますし、それが現在のSpotifyでの仕事につながっています。

 もうひとつは、次世代のエンタテインメントビジネスの在り方を考える仕事です。子どもの頃からずっとメディアが好きで、インターネットやスマホがない時代ーーカセットテープやケーブルテレビが出てきたころから、日米両国のメディアの違いに興味があり、次のエンタテインメントはどんな形になるのかを常に考えてきたんです。ファーストキャリアは経営コンサルティング会社からはじまったのですが、入社後に配属されたのは通信関連の部署でした。1990年代の通信は非常に面白く、インターネットが初めて出てきた時代ですから、次のエンタテインメントはどのようなものになるかを勉強する絶好のチャンスでした。

 その後、アメリカの音楽&エンタテインメント専門チャンネルであるMTVに転職し、日本での事業展開やインターネットを活用した事業展開を担当しました。その後入社した任天堂では、日本のみならず、アメリカのシアトル本社やニューヨーク支社など、さまざまな場所で働きました。任天堂では、ゲーム機のハードウェアへの映像配信などに取り組んでいました。いまでこそ当たり前ですが、僕が任天堂にいた15年前は、そういったアイディアはまだ形になっていなかったのですが、そんななか、「ゲーム機はテレビとインターネットを繋ぐ媒介になるかも」と考えていました。

 YouTubeに動画を投稿するクリエイターが任天堂のIPを使用するにあたり、権利関係をクリアにした形で繋ぐプロジェクト「Nintendo Creators Program」での経験を経て、YouTubeに転職後は、アジアでのミュージックパートナーシップを担当していました。当時、音楽業界では、「Youtubeは違法動画である」と認識されることが多かったのですが、「YouTubeはアーティストをブレイクさせるための最高の手段で、敵ではなくて友達」という認識変化を起こすべく、業界関係者との関係構築や啓蒙に励みました。そして、ディズニーでは、ディズニーの保有するレガシーメディアを束ねて「Disney+」に移管するタイミングという大きな転換期を経験し、昨年Spotify Japanに入社しました。これまでのキャリアを振り返った時に、一貫しているのは、やはり「次はどうなるのか」「日米のギャップをどう埋めるのか」に関わる仕事をしてきたということですね。

▷Spotifyに可能性を感じた理由や、音声業界が面白いと思ったポイントを教えてください。

トニー:まず、僕はSpotifyという会社にすごく惹かれたんです。会う人がみんないい人だと感じたのと、「クリエイターとアーティストをファンと繋ぐ」という会社としてのミッションに全員が賛同しているのが伝わってきたんです。また、先ほどお話した“次のエンターテインメント”について考えたときに、これまで僕がやってきた映像の分野も盛り上がってはいるものの、オーディオに強い可能性を感じたのです。ビジネス的に市場が拡大する余地もまだまだ大きく、人々の生活を豊かにする新しい価値が提供できる分野だとも思いました。語りは人間の最も根本的なコミュニケーション手段でもあり、音声コンテンツには必然性があると感じました。

▷Spotifyの一員として、Spotifyの強みというのはどういうところだと思いますか?

トニー:たくさんある中のいくつかを挙げると、先ほどもお伝えしたように全員が会社のミッションに賛同していることです。戦国武将みたいな言い方かもしれませんが、みんなで心を一つにしているのは、組織としての大きな強みだと思うんですね。チームの創造力・創作力が素晴らしく、新しいことを日々試していて、常に果敢に新たな実験に取り組んでいます。また、Spotify自体が非常に大きなグローバルコミュニティを持っていることも大きな強みです。アクティブユーザー数は世界で4億を超えていますし、様々なアーティスト・クリエイターの国境を越えたファン作りにも成功しています。ファンとクリエイターの繋がりをプラットフォーム上での発見を通じて創り出せるだけでなく、様々なツールや方法によって関係性を深め、長期的なファンダムに繋げていくことができる。

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Spotifyをユーザーの生活において必要な存在に

▷日本における音声ストリーミングサービスの現状をどう思っていますか。またさらに大きく成長する上での課題についてはどう考えていますか。

トニー:5年くらい前は「いつになったら日本の音楽業界はフィジカル中心でなくなるんだろう」と思っていたのですが、現在は世界に比べると少し後発ではあるものの、日本国内でもストリーミングの利用が高まってきていて、エンタテインメント業界のなかでも主流になってきたという感覚はあります。それは市場統計だけではなく、一般的なバラエティ番組やニュース番組でも音楽配信サービスが紹介され、メインストリームカルチャーにどんどん取り入れられているからです。宇宙人ジョーンズが主人公のサントリーコーヒー「クラフトボス」の最新版CMではSpotifyがフィーチャーされているんです(※1)。クラフトボスのラベルに印刷されたQRコードをスキャンすると、Spotifyのプレイリストにアクセスできるというキャンペーンです。素晴らしいのは、このキャンペーンは、我々から仕掛けたものではなく、企業側からお声がけいただいたものなんです。そういったところで、Spotifyがメインストリームになってきているということが言えるのではないかなと思います。

※1:https://mobile.suntory.co.jp/cpn/softdrink/craftboss/song-and-craftboss/info.html

▷そういった裏話があったんですね。

トニー:そうなんです。さらに嬉しいことに、そのプレイリスト自体もしっかり聴かれているんですよ。一方で、音声配信はさらなる成長を続けていくとも思っています。メインストリームになりつつあると言いながらも、広げていく余地はまだまだあり、今後は今までのユーザー層とは異なる方たちにも音声配信サービスの魅力に気付いていただき、使い始めるきっかけを提示していく必要があると思っています。また若い世代だけでなく、生活環境の変化から青春時代にすごく大好きだった音楽と距離が離れてしまっていた40代以上の方々にも、音楽やトーク番組のある生活の楽しさを再発見、再認識してもらうための工夫も必要だと考えています。

▷たしかにそうですね。人の生活様式も変わっていくなかで、ストリーミングが当たり前になった世界において、次になにをするのかが大事になってくる。

トニー:これまでは主に音楽、最近はポッドキャストといったコンテンツに力を入れて、Spotifyは成長を続けてきました。ただ、これからは生活密着型というか、ひとりひとりの生活に役立ち、ライフスタイルを彩るような存在になっていく必要があると思っています。例えばSpotifyを利用してもらうのに、「音楽を聴けます」ではなく「リラクゼーションできます」という言い換えをしてみる。音楽のことを気にしていない人に、「このアーティストの音楽を聴けますよ」と言っても興味を持ってもらえないですが、その人に「実は最近夜眠れないんだよ」といった悩みがあったとすると、例えばヒーリング系の音楽や快眠のためのノウハウを紹介するポッドキャストを提案することで、自分ごととして捉え、興味を持ってもらえるかもしれない。または、料理をしながら英会話講座を聴いたり、走りながらテンポにあった音楽を聴いたりと、目的な生活シーンに応じた接点やアプローチを作ることもできる。ただそれは、Spotifyの力だけでは難しい。Spotifyはフィットネスや料理のエキスパートではないので、Spotifyが自ら「子どものお弁当を作っているときにこの音楽がいいよ」と言っても誰も振り向かないんですよ。だから、よりユーザーに関心を持ってもらうためにもSpotifyと相性のいいパートナーと一緒になって取り組むことが不可欠ですし、みなさんの力を借りることで、Spotifyはユーザーの生活において必要な存在になっていくことができると思っています。

▷今後、開拓していきたいと思っている領域は?

トニー:これまでにも実施し、今後もどんどん力を入れていきたいと思っている分野のひとつは「映画とアニメ」。映画を見る人が必ずしも音楽ファンというわけではないですが、映画での感動体験には、音楽が大きな役割を果たしていることも多いんです。映画を見終わって「あの感動をもう一度味わいたい」となったとき、感動をよみがえらせるには音楽が効果的なんです。しかもそれで映画のファンが増えれば双方にとって望ましいですか。そういう意味でアニメや映画とのタイアップには力を入れていきたいです。社内の会議でも、常にそういった話をしているんですよ。ターゲットユーザーの1日の生活はどういうもので、朝起きて最初に何をするのか、車に乗るのか電車に乗るのか、食事中は何を見たり聴いたりしているのかとか。そういうことを想像していくうちに、こういうところとパートナーシップを組めたらいいのか、というのが見えてくるんです。

▷その視点でいろんなものを捉えていけばイメージがしやすいというか、ビジョンが見えやすいですね。

トニー:はい。先ほど紹介した「クラフトボス」のようにブランドや企業がユーザーとコミュニケーションするときに、音楽やオーディオを媒介として使う事例は実際増えてきていますからね。いまやSNSは、社会インフラじゃないですか。テレビ番組も商店街のお店も、みんなTwitterかInstagramかYouTubeか、そのうち少なくともひとつはやっている。Spotifyの本質的な価値が理解され、本当に拡大していくと、それらのインフラに比肩しうると思うんですね。ただ、すごく守りたいのは「ただのインフラではなくて、愛されるインフラ」であること。無機質なものではなく、Spotifyのロゴを見て、ユーザーとクリエイターにときめきを感じてもらえるようになってほしい。

▷そんななか中で、Spotifyというプラットフォームをどういった存在にしていきたいか、そのためになにをしていかなければならないと感じますか。

トニー:シンプルに言うと、アーティストとクリエイターとユーザー全員に一番愛されるプラットフォームになりたいです。いろんな要素があって愛されるものになると思うのですが、結局大事なものは「信頼」だと思っています。Spotifyにコンテンツを提供すると確実にファンにリーチできるし、Spotifyは約束を守る、そういったプラットフォームでありたいです。その環境を作るにあたって、アーティストとの繋がりや、そこからさらなる横の繋がりを強化していくことによって、アーティストやクリエイターからも「Spotifyは間違いないよね」と感じてもらえるのかなと。ユーザーも、自分の大好きなコンテンツが簡単に見つかり、大好きなクリエイターやアーティストと繋がることでより深い経験ができるという世界が実現すると、どんどんSpotifyのことを好きになってもらえるのではないかと思いますね。

 その夢を実現するにあたって、まだまだやるべきことはたくさんあります。中南米のアーティストがヨーロッパでブレイクしたり、K-POPをグローバルブレイクさせているのにSpotifyが大きく貢献しているんだというニュースもおかげさまでいろんなところに掲載されたりしていますが、日本でもそういった成功例をたくさん作りたいです。日本国内でSpotifyを大きくすることはもちろんですが、日本のエンタテインメント業界が一番望んでいるのは「日本のアーティストをSpotifyの力で世界に発信していくこと」だと思うので、これに向けて一丸となって頑張っていきたいです。

Spotifyが次世代を担う国内音声コンテンツクリエイターを支援する「クリエイター・サポート・プログラム」、2022年にサポートする第二弾クリエイター11組が決定

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Spotifyは次世代を担う音声クリエイターの創作活動を後押しし、国内の音声コンテンツ市場をさらに活性化する目的で実施している「クリエイター・サポート・プログラム」の一環として、2022年度にサポートを行う個人および法人クリエイターの第二弾ラインナップを発表しました。

これまで、Spotifyは音声の可能性を信じ、世界中でクリエイター支援を積極的に展開してきました。国内でもポッドキャスト番組の制作・配信が誰でも簡単にできるツールとしてAnchorの提供を開始したり、音声コンテンツの多様化を促すことを目的とした音声クリエイター育成プログラム「Sound Up」を昨年スタートするなど、「クリエイターが自身の考えやストーリーを音声で発信し、リスナーを増やし、関係を深めることをサポートするような新たな機能やプログラムを順次導入してきました。

今年は年初に国内でのクリエイター支援をよりいっそう強化するために総額1億円を新たに拠出することを発表するとともに、制作活動への支援を行う個人・法人クリエイターの募集を開始しました。

半年の間に音声以外の分野で活躍しているクリエイターから「新たにチャレンジをしてみたい」という方まで、幅広い応募をいただき、この度審査を経て、第二弾対象クリエイター11組を下記の通り決定いたしました。

・マンガ760
・きえはる心理学ラジオ
・三重おもろい食堂
・山あり谷あり放送室 
・ジロンラジオ
・Namy & TALK〜暮らしと洋楽〜 
・レッツゴーキャンプ
・GLAY白黒歌合戦
・ポケット・ストーリーズ
・Re:mind 80’s – 黄金の6年間 1978-1983
・a scope 〜資本主義の未来編〜

作品の選考基準や応募傾向についてスポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこは次のように語っています。

「音声分野で長期的なキャリア形成や事業展開を目指されている方や、この春に開催された『JAPAN PODCAST AWARDS』で話題になっていた番組など、幅広いクリエイターの作品を選出しました。

今回の第2弾の選考にあたっては、他の音声プラットフォームやソーシャルメディア、動画サイトなどを目的別に使いこなして活動しているクリエイターの方たちが、新たな挑戦を始める場としてSpotifyを選び、応募されるケースも多かったように感じました。

2022年度のクリエイター・サポート・プログラムへの応募は9月末まで可能となっています。Spotifyは今後も社会に新たな価値を提供できるよう、一人でも多くのクリエイターを積極的にサポートしていきたいと考えていますので、発信したいストーリーをお持ちの方は、この機会にぜひご参加ください」

各番組のトレーラーとクリエイターからのコメントは次の通りです。

マンガ760  

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「マンガ760」は、関西出身の佐島とにわが色んなマンガの魅力をワイワイ語る番組です。ポッドキャストの発展に本気なSpotifyにサポートを受けて番組を配信できるようになり、私たちの第二の青春が始まりました。Spotifyを通じてさらに多くのマンガ好きの人たちと繋がりつつ、「マンガ760」の軌跡をマンガ作品にしてもらえるくらい活躍したいと思います!新しいマンガに出会える、懐かしいマンガをまた読みたくなる。そんな番組を目指して駆け抜けます!

きえはる心理学ラジオ

心理学を知れば、ちょっと日常に役立つよ!と伝えていきたいと思っています。心理学は誰もが思っているけど、あまり人とは共有しないことを突き詰めていったり、当たり前だと思っていることの仕組みを解明していったり、面白いし、見方が広がります。いろいろな場面でリスナーさんの選択肢のバリエーションが広がったらいいなと思います。このプログラムをきっかけにSpotifyを通じて、音楽を聞いている層にもアプローチしていきたいと思います。また、うまくいっている番組のコツ(サムネイルや長さなど)を教えてくれて、自分たちの番組に活かすことができありがたいです。新規に番組Twitterを始めたり、アイコンを作成しなおしたりしたのも、アドバイスから考察した結果です。今後も番組の発展を楽しみにお聴きください!

三重おもろい食堂  

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Spotifyさんと一緒に番組を作ることができるなんて!とてもワクワクしています。三重おもろい食堂は「食」というキーワードで繋がった三人が生み出す空気で、三重県をめっちゃおもろくするポッドキャストです。今回Spotifyさんに協力いただくことで世界に向けた発信力をあえて地方に集約し、三重を起点に新しいポッドキャスト文化を作りたいです。老若男女に愛される、三重県で最も聞かれる音声コンテンツを目指します!

山あり谷あり放送室 

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このプログラムに採択いただき、大変光栄です!アメリカと日本の異文化で暮らす僕らが「何気ない日常」をテーマに語るこの番組ですが、Spotifyさんとの共創で起こる、これまでにない「日常」に、夢を膨らませております。リスナーの皆さんの「日常」にいられるような番組制作を続けながら、リスナーの皆さんそしてSpotifyさんと一緒に番組を育てていきたいです。この先どんな風にこの番組が育っていくのか、正直僕らも全く分かりませんが、この番組自体の「山や谷」を一緒に面白がっていただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!

■ジロンラジオ

ジロンラジオは、芸人・向清太朗と構成作家・原田英尚が、それぞれの「持論」を持ち寄り、芸能界の荒波に揉まれてきた中年業界人ならではの見解を話すトーク番組です。音楽業界、音声メディアを変革させ続けているSpotifyによる、強力なサポートを背景に、より一層、ぶんぶんと持論を振りかざして参ります。ご笑納くださいませ。(8月独占配信開始)

Namy & TALK〜暮らしと洋楽〜

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この度「Namy & TALK 暮らしと洋楽」がSpotifyからサポートいただき番組をスタートすることが叶いました。「暮らしと洋楽」をテーマに、タイムリーな音楽シーンとプレイリストをゲストと共に語りあう番組です。これまで、音楽を通して世界が繋がってる感覚を肌で感じてましたが、2020年コロナウィルスが世界中で広がり海外ミュージシャンの来日公演STOPがあり、海外の音楽が聴かれる事が日本でとても少なくなったのではと感じてました。Spotifyを使えば、リアルタイムに海外の最新の曲も昔の曲もリアルタイムに感じられます。この番組を通して、番組MCを一緒してくれる23歳の花山瑞貴さんや若い世代にも、これまで知らなかった海外の楽曲やミュージシャンに自然と出会い、日々の暮らしが少しでも豊かになってくれたらと願っています。

■レッツゴーキャンプ 

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キャンジョ初の音声番組を、Spotifyと一緒に展開をスタートでき、大変嬉しく思います。この番組は【聞くだけでキャンパーになれる!】をテーマに、キャンプのイロハを懇切丁寧にレクチャーしていく番組です。キャンプ女子株式会社(通称キャンジョ)のキャンプ歴6年のカレンとガッキーが、自身のキャンプ経験をもとにキャンプを語り尽くす番組となっております。BGMには日本中のキャンプ場の自然音を使っています。SNSでキャンパーさんに募集をかけ、キャンパーさんより録音いただいた自然音です。キャンプ場にいる気分で、キャンプのことを考える・・・キャンプ尽くしの番組となっています。また、私たちは【キャンジョバンド】という名前で、キャンプの歌を歌うアーティストとしても活動しています。Spotifyではオリジナルキャンププレイリストも更新中です!みんなで、#レッツゴーキャンプ!

GLAY白黒歌合戦

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GLAYをこよなく愛するがあまり歪んだ感情として生まれた、彼らの楽曲を「白よりのGLAYか?」「黒よりのGLAYか?」をただただ独断と偏見でジャッジする番組です。GLAYを灰色と見立ててあくまでもその濃度をファン目線で語りつくすただそれだけの番組ですが、こんな失礼な内容にもかかわらずスタート時にはGLAYのTERUさんからリツイートをいただくなど、勝手にGLAY公認番組?などと話しながら毎週配信しております。2人のパーソナリティ、ワタナベフラワーのクマガイタツロウとラジオ関西アナウンサー春名優輝も鼻息荒く、「GLAYのメンバーとともに白よりか?黒よりか?」をジャッジする日を目指してこれからもより良いものをお送りしていきたいと考えております。クリエイター・サポート・プログラムを通して多くの方にGLAYの良さを、そして音楽とトークの楽しさを感じていただければと思います。

ポケット・ストーリーズ

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まずは、Spotifyがポッドキャスト普及のためにこのようなプログラムを用意してくれたことに敬意を表します!そしてその一つとして選んでくれたことを光栄に思います。この番組は「ラジオドラマ」です。これまでのラジオドラマは、決まった時間にラジオのチューニングを合わせて聴く必要がありましたが、ポッドキャストならスマホで好きな時に好きな場所で、例えば毎日の通勤通学で、寝る前に、お風呂の中で・・・手軽にリラックスしながら聴くことができます。月曜日から木曜日までバラエティ豊かなストーリーを毎日配信するので、聴くことが習慣になって継続して楽しんでくれると嬉しいです。「ラジオドラマ」が、ポッドキャストというプラットフォームで、いろいろな方面のプロモーションやブランドイメージの形成などに役立つような、新たな展開につながるといいなぁと、勝手に夢見ています!

Re:mind 80’s – 黄金の6年間 1978-1983

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80年代の音楽エンタメを “イマ” に発信するサイト「Re:minder – リマインダー」の人気コンテンツが Spotify でポッドキャスト化! 原作:指南役の「黄金の6年間」シリーズに、ボイスマスター:東 哲一郎のリーディングが新たな息吹を注ぎます。さらに、月替わりでお呼びするスペシャルゲストの深掘りトークも聞き逃せません!(2022年7月スタート)

a scope 〜資本主義の未来編〜

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COTEN代表の深井龍之介さんがメインMCを務めたPodcast「a scope 〜リベラルアーツで世界を視る目が変わる〜」の続編です。本作では「資本主義」にフォーカスし、資本主義とはいったいどのような仕組みなのか、これから先、どこに向かっていくのかを、ゲストの皆さんとの対話を通じて考えていきます。聴き終わった後に、皆さんの資本主義に関するイメージが変わることを目指します。ぜひお聴きいただければ嬉しいです。(2022年7月スタート)

応募概要

2022年度  個人クリエイター向け応募概要

◆ 受付期間: 2022年1月27日〜2022年9月末

◆ 募集対象: Spotifyが提供する音声配信プラットフォーム「Anchor」で番組を配信し、5,000人以上のリスナーを持つ、またはソーシャルメディアで5,000人以上のフォロワーを持つクリエイター

◆ 応募方法: 指定フォームより応募

2022年度 法人企業向け応募概要

◆ 受付期間: 2022年1月27日〜2022年9月末

◆ 募集対象: 新しい番組のアイデアを保有し、Spotifyが提供する音声コンテンツ配信プラットフォームのAnchorで番組の配信を検討している法人利用者

◆ 応募方法: 指定フォームより応募

2022年「クリエイター・サポート・プログラム」の第一弾対象となるクリエイター11組が決定

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 Spotifyは音声コンテンツクリエイターへの「クリエイター・サポート・プログラム」の一環として、2022年度に支援を行う個人クリエイターと法人クリエイターの第一弾ラインナップを発表しました。

 これまで、Spotifyは「音声」の力や可能性を信じ、世界中でクリエイター支援を積極的に展開してきました。国内でもポッドキャスト番組の制作・配信が誰でも簡単にできるツールとしてAnchorの提供を開始したり、世の中の音声コンテンツの多様化を促進する目的とした次世代音声クリエイター育成プログラム「Sound Up」を昨年スタートするなど、「クリエイターが自身の声やストーリーを発信し、リスナーとの関係をより強めることができるような新たな機能を順次追加しながら、音声市場のさらなる活性化に取り組んできました。

 2022年初頭には個人、法人を問わず、幅広い音声コンテンツクリエイターへの支援をより強化するために、総額1億円を新たに拠出することを発表し、対象者の募集を開始しました。

 音声以外の分野で活躍しているクリエイターから「新たなチャレンジをしてみたい」という方まで、個人・法人問わず3ヶ月の間に多くの応募をいただきましたが、この度審査を経て、まずは第一弾の対象となるクリエイター11組を下記の通り決定いたしました。

・中村橋之助のカルチャー幕見席
・83 Lightning Catapult
・イミコワ 意味がわかると怖い話
・梶裕貴×SCRAP 梶裕貴の耳が幸せになる謎
・佐々木亮の宇宙ばなし
・すごい進化ラジオ
・結婚したい乙女たちのアダルトーク
・週刊Nobbyタイムズ
・Over30の談話室
・NOAH VOICE -浅草六区SHOW
・SHINKUKAN

 作品の選考基準や応募傾向についてスポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこは次のように語っています。

「今回選出したクリエイターについては、音声分野で長期的なキャリアや事業形成を目指している方や、Spotifyオリジナル番組でこれまで手掛けてこなかったジャンルを得意とする方、昨年スタートした『Sound Up』と同様に今後活躍を期待したい女性クリエイターなど幅広いクリエイターの作品を選出しました。また先日開催された2021ポッドキャストアワードで発表した、Spotify NEXTクリエイター賞の受賞作品の中からも複数の番組がサポート対象になっています。いずれもコンテンツ・ファーストで選考しており、テーマ設定や視点・切り口が面白かったり、新たな分野を音声で開拓する社会的意義のあったりするものを選ばせて頂きました。

 およそ1年に渡り展開してきたクリエイター・サポート・プログラムから得られた学びを活かし、今回サポートの対象となった番組はSpotifyの保有となる『Spotifyオリジナル』ではなく、クリエイターが番組に関連する権利を保持し続けながら一定期間Spotifyだけで配信しその間必要な支援を受けることができる『独占配信』という形をとっています。番組の制作や宣伝に関連するサポートを提供するとともに、同じプログラムに参加するクリエイターたちとの横の繋がりを作っていただくことも施策の一環としており、クリエイターのさらなる飛躍を実現し、より創作活動を持続可能なものにしていくことを目的としています。

 今後もSpotifyは音声コンテンツを通じて、新たな表現方法や驚きのアイデアを社会に提案するクリエイターを積極的にサポートしていきます。2022年度のクリエイター・サポート・プログラムへの応募は9月末まで可能となっているので、発信したいストーリーをお持ちの方は、ぜひご参加ください」

 各番組のトレーラーならびにクリエイターからのコメントは次の通りです。

■中村橋之助のカルチャー幕見席

カルチャー幕見席
CSPを活用して「中村橋之助のカルチャー幕見席」という番組を制作しております。
Spotifyはバラエティに富んだコンテンツを揃えており、ニッチなコンテンツをも受け入れる豊かな文化的土壌が出来上がっている唯一無二のオーディオストリーミングサービスだと思います。今回サポートして頂いている番組では、これからも広く浅く受け入れられるものではなく、より狭くより深く楽しめるコンテンツを目指していきたいと思っております。
(2022年3月スタート)

■83 Lightning Catapult

相田周二 酒井健太
これまでインディーズだったのが、
この4月からSpotify独占配信ということで
メジャーデビューしました。ただやることは何も変わりません。
インディーズのほうが良かったなと言われないように、
何にも影響されずに普段通りの配信を続けていきたいです。
これまで以上にまわしてください。
(2022年4月スタート)

■イミコワ 意味がわかると怖い話

FUBI
今回のプログラムに採択いただき、大変感謝いたします。弊社は音声コンテンツスタジオとして、音声コンテンツに特化したサウンドデザインとストーリーテリングの開発に力を入れております。この度Spotifyという強力なパートナーを得て、本番組をより一層”意味がわかると怖い”体験を提供できるものへ進化させ、日本の音声コンテンツの普及に貢献していきたいです。
(2022年4月スタート)

■梶裕貴×SCRAP 梶裕貴の耳が幸せになる謎

SCRAP
リアル脱出ゲーム”は世界中で820万人以上を動員する体験型エンターテインメントです。今回Spotifyからのサポートで素敵な番組ができたので、梶裕貴さんという番組ホストとともに謎解きや脱出ゲームといったものにいままで触れてこなかった方にも、謎解きの魅力はもちろん、ポッドキャストならではの音を使った謎など、新たな体験をお届けできればと思います。番組をきっかけに新たな趣味の扉を開いていただければ幸いです。
(2022年4月スタート)

■佐々木亮の宇宙ばなし

佐々木亮
第3回Japan Podcast AwardsでSpotify NEXTクリエイター賞を受賞させていただき、これからSpotifyとPodcastを一緒に発展させていけることにワクワクしています。僕の番組は、「宇宙」に特化している分、すごく好きな人には興味を持ってもらえるが、それ以外の人にはなかなか刺さりづらい一面もあります。そこをSpotifyと一緒に切り崩していき、みんながワクワクする宇宙を届けられたら嬉しいなと思っています。家のリビングで、細々一人で収録して公開してきたチャンネルなので、Spotifyが仲間に加わってくれたような感じがして、少し孤独感からも開放されています(笑)人類が月や火星に行き、民間企業が宇宙への扉をこじ開けている今こそ、この素晴らしい時代を一人でも多くの方に知ってもらえるよう、これからも毎日皆さんの生活のお供になる宇宙ラジオ「佐々木亮の宇宙ばなし」をお届けしていこうと思います。
(2022年5月スタート)

■すごい進化ラジオ

鈴木 紀之(昆虫生態学者)
この度「すごい進化ラジオ」がSpotifyから全面的なバックアップを受け、継続的に配信できる体制が整ったことを嬉しく思います。進化・生態学・生物多様性といった専門的かつニッチな話題について、自然や生き物が好きな方、科学の教養を学びたい方にエピソードを届けていきます。今回のプログラムを通じてより多くのリスナーにリーチすることで、ポッドキャストがユニークな学びのプラットフォームになることを願っています。
(2022年5月スタート)

■結婚したい乙女たちのアダルトーク

結婚したい乙女たちのアダルトーク
この度、Spotifyさんとパートナーを組むことになり嬉しい気持ちでいっぱいです!「人には話せないけど気になるトピックス」をこれからも発信していくので、一人で楽しむのはもちろん、大人数でシェアできる派生型Podcastを目指してこれからも活動したいと思っています!Podcastの市場はまだまだ伸びしろがあると感じているので、Spotifyさんと協力してPodcast新時代を創り出していきたいです!
(2022年5月スタート)

■週刊Nobbyタイムズ

DJ Nobby / MUSIC BIRD
全国のFM局でオンエアされている経済情報バラエティ「週刊Nobbyタイムズ」。ラジオでのオンエアにとどまらず、時代の先端を行くPodcastリスナーのみなさまにもぜひ分かりやすい経済ニュースをお届けしたいと思い、クリエイターサポートプログラムに応募いたしました。ラジオのコンテンツを隅々まで届けてくれる力強いパートナーとしてSpotifyさんと共にたくさんのリスナーさんにリーチしたいと思っています。
(2022年3月スタート)

■Over30の談話室

ピーチフル
苦み走るには早すぎる。ひたむきさのみでは生きていけぬ。30歳を越えそこそこマチュアな私たちが、今目の前にあるトピックについて語り合うゲスト・リスナー参加型のコミュニティ番組です。時節柄新しい出会いが少なくなっているなか、ゆるやかに繋がる「オンライン談話室」のような番組を目指しています。毎月テーマを決めて、さまざまなゲストをお迎えする予定です。おしゃべりするような気持ちで聞いてください!
(2022年4月スタート)

■NOAH VOICE -浅草六区SHOW

ナシゴレン NOAH
59歳からのポッドキャスター。ラジオリスナーから、仕事が忙しくて聞き逃した!録音に失敗した!寝過ごして聴けなかった!などの声が届く。今回Spotifyでポッドキャストをはじめようと思ったきっかけは、そんな声からだ。今から人生をもっと楽しみたい人へ、大人が本気で音を楽しむ。音楽を通じて時代を語る時間を沢山のリスナーと一緒に過ごし、いつでもどこでもあの昭和から今まで、そしてこれからを、皆さんの夢と共にSpotifyのプレイリストを添えてポッドキャストにて語ります。
(2022年3月スタート)

■SHINKUKAN

ウェルカムマン
音楽プロデューサー&音楽アワード研究家のウェルカムマンです。この度4月から番組をリニューアルし、SHINKUKANとして配信いたします。SHINKUKAN Podcastは、世界の音楽アワードや世界の音楽ビジネスニュースをピックアップしながら様々な音楽カルチャー、アーティスト、楽曲を紹介していく番組です。世界と日本を音楽で繋ぐHUBになっていくことが最大の目的で音楽コアファン、アーティスト、ミュージシャン、クリエイター、音楽ビジネス関係者の情報源となりコミュニティを作っていきたいです。ダニエルエクさんの音楽的な発想や思想に非常に共感しており、そのサービスが反映されているプラットフォームをリスペクトしております。大阪ローカルから世界へ向けて発信していきます!よろしくお願いします!
(2022年4月スタート)

応募概要

2022年度  個人クリエイター向け応募概要

◆ 受付期間: 2022年1月27日〜2022年9月末

◆ 募集対象: Spotifyが提供する音声配信プラットフォーム「Anchor」で番組を配信し、5,000人以上のリスナーを持つ、またはソーシャルメディアで5,000人以上のフォロワーを持つクリエイター

◆ 応募方法: 指定フォームより応募

2022年度 法人企業向け応募概要

◆ 受付期間: 2022年1月27日〜2022年9月末

◆ 募集対象: 新しい番組のアイデアを保有し、Spotifyが提供する音声コンテンツ配信プラットフォームのAnchorで番組の配信を検討している法人利用者

◆ 応募方法: 指定フォームより応募

How I Podcast:ニッチでもファンが集まる!難しい学問を身近にする『ゆる言語学ラジオ』の戦い方

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2021年1月にスタートした人気ポットキャスト『ゆる言語学ラジオ』は、その名の通り、ゆるく楽しく言語の話が楽しめる番組です。

そのホスト・聞き役を務めるのは堀元見さん、そして言語学の知識を駆使して見事に解説するのが水野太貴さん。一見とっつきにくそうな難しい日本語の文法や言い回し、語源なども、2人の手にかかると、いっぺんに身近で楽しい学びに様変わりします。

最近ではこうした時間を共有するリスナーや研究者が集まる「コミュニティ」も設立。彼らを巻き込んで、番組はさらに発展を見せています。2人の番組作りやこれからの展開について、お話を伺いました。

出会いはツイッター「すげー面白いやつ!」

▷番組を始めたきっかけは?

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堀元:ひょんなことからですね、僕はツイッターとかでよく「だれかメシおごってくれ」みたいな募集をしてるんですけど、それに当時全然面識のなかった水野が連絡をくれて。それで一緒にメシを食ったら、「スゲー面白いやつが出てきた!」っていう衝撃を受けたんです。

「こんなに面白いやつが外野にいるなら、発掘してなにかコンテンツにしなきゃいけない」と思って、義務感に駆られて始めました。

水野:そんなこと思ってたの?

堀元:面白いものはちゃんと世に出さないといけないから。

水野:すごい、作家気質が強い(笑)。初めて会った当日に言語学の話をしたら、「そんな学問あるんだ」ぐらいの感じでしたよね。

堀元:まったくなにも知らないので、完全に素人として話を聞くつもりで、「ポッドキャストしよう」ってなりましたね。

水野:僕は大学生のころに言語学をやってましたし、そもそも小学校のときから難読漢字とか英単語とかことわざとか、そういうのが好きで、当時から暇なときに辞典を見たりしていました。

言語に関する興味はもう20年ぐらい、ずっと持ち続けてきたという感じですね。

▷言語学でここまでリスナーを惹きつけるのはすごいですよね。

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水野:「言語学」っていうと、結構ガチで言葉を分析する学問になっちゃうので、もうちょっと手前の、例えば「こういう新しい言葉が出てきてるけど、面白い表現だよね」だとか、「習った英単語はこんな語源で、実はこれとつながってるよね」みたいに、かなり身近なトピックにするよう、極力気をつけています。

堀元:物の数え方を扱った「助数詞」の回は面白かったね。

水野:僕が助数詞が全部載っている辞典を読んだんですね。それでほかの書籍も読んでみると、「助数詞は物に対する日本人の認識を反映してるなあ」って1人でテンション上がっちゃって。

それを堀元さんに30分ぐらいでしゃべろうと思ったら、2時間ぐらいずっとしゃべっちゃうっていう回なんですけど。

堀元:1回の予定で上げようと思ってたのに、全5回になりました。たぶんものの数え方であんなにテンション上がる人、世界に1人しかいないんじゃないかと思います(笑)。

コミュニティでマネタイズも

▷ポッドキャストというメディアで発信することに決めた経緯は?

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堀元:2年ぐらい前からポッドキャストを結構いっぱい聴いていたので、音声コンテンツが好きっていうところがベースとしてはあります。

とても影響を受けたのは、ずっとランキング上位の『コテンラジオ』さんなんですけど、それに勝ちうるものをやりたいなあと思って。完全に後追いだと絶対に抜けないので、まずは動画に注力してやろうと。

その発想で、ゆる言語学ラジオはテロップなどをかなり気合入れてつくっていて、どちらかというと動画のほうがメインという感じですが、「いいとこ取り」を上手にしながら、ポッドキャストと両方という形に落ち着きました。

▷音声と動画という2つのメディアでコンテンツを発信する中で気づいた、それぞれの魅力は?

堀元:水野がめっちゃ難しい用語を使うので、「なにその言葉?」って全然字が浮かばないケースが結構あるんですけど、動画ではテロップつきで観てもらえるところがいいですね。

動画を観たあとで、復習としてもう1回ポッドキャストで聴くっていう使い方をしている人が結構いっぱいいて。「あ、これが小難しいコンテンツの理想形なのかな」っていうのをすごく感じています。

音声だと皿洗いとかしながら聴く方が多いので、1時間でも2時間でも離脱しないで聴いてくれる。「YouTube」のユーザーってみんな1分でいなくなるので、そこはもう本当に、音声のすばらしいところだな、と思います。

水野:最近、ファンの「コミュニティ」を始めたのですが、やっぱりポッドキャストリスナーは「濃い人」が多いのが実感としてありますね。

研究者の先生にもコミュニティに入ってもらって、夜、ボイスチャンネルで研究者同士でお酒を飲みながら議論してもらったら、リスナーたちがチャットでメモをめっちゃ取っている、みたいなことが起きてましたし。

あとは、うんちくに関連するうんちくを次の人がいう、「うんちくしりとりパンクラチオン」っていう遊びを一度ポッドキャストでやったことがあるんですけど、コミュニティ内で勝手にずっとうんちくしりとりをしている人とかもいますね。変なコミュニティだな(笑)。

堀元:ハハハそうですね。でも、『ゆる言語学ラジオ』のリスナーが集まらないとできない遊びなので、孤独感の解消にもなって、割と意味のある場所なのかなと思っています。

▷コミュニティはマネタイズにもつながっていますか?

堀元:はい。月額でお金を払ってくれている方向けのサポーターコミュニティとして運営しているので、マネタイズになっていますね。そんなに大したものを提供してるわけではないんですけど、いつも楽しんでくださっている方は「お布施をしたい」と言ってくださって。

下限1000円で「あといくら上積みしてもいいですよ」というシステムにしたら、1万円出してくださる方もいらっしゃるんですね。

「投げ銭コミュニティ」みたいなのは、すごくポッドキャストと相性が良いと思います。

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公開収録もスタート

▷番組の企画アイデアにもコミュニティが関わったりするんでしょうか?

水野:企画はほとんど僕が話したいことを提案していますが、コミュニティでリスナーさんからいろんなエピソードを集めて台本に活かす、みたいなことも今後はできそうだなと思っていますね。

例えば今、「赤ちゃんがどうやって言語を習得していくか」ということについて、文献をいくつか読んでいるんですけど、「うちの子どもがこういう言い間違いをしていた」みたいな話とか、生の声がたくさんあったほうがポッドキャストでしゃべる分には面白いじゃないですか。

堀元:公開収録を今度はじめてやるんですよね。コミュニティの中で参加したい方を集めて、何人か観客席で聴いてもらいながらしゃべるっていう、初の試みです。

そこではうんちくを言ってもらったり、「こんなのあったらいいんじゃないか」っていう便利な用語を提案してもらったり。

僕ら2人だとやっぱり寂しいので、リスナーにもアイデアを持ってきてもらって一緒にしゃべるみたいな形も、リアルタイムでできるかなと思っています。

▷公開収録、いいですね。普段はどのように収録されているのですか?

堀元:僕の家でやってます。ある時点から音質に納得できなくなって、ちゃんとしたオーディオミキサーとダイナミックマイクを買いました。

収録後は「Adobe Premier」を使って編集して、「Anchor」で配信しています。もともとはレンタルサーバーを借りて、「WordPress」で配信していたんですけど、管理がすごく面倒くさいんですよね。

「Anchorだと楽らしい」という話を聞いて移行してみたら、本当に面倒なことは全部やってくれて。

インターフェースがシンプルで分かりやすいのも気に入ってます。最近はスタッフにお願いしてファイルのアップロードをしてもらうこともあるんですけど、初めての人でも迷わずサクサク使えるのがいいですね。

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ニッチな話題と優秀な聞き手

▷番組を成長させる秘訣を教えてください。

堀元:ポッドキャストは、みんなかなりフランクにしゃべるもんだと思ってる節があるんですよ。つまり、「ノー準備で来て、思いつきをしゃべろう」みたいな。でも、素人のしゃべりって、どんなにうまくても芸人さんにはかなわない。

そういう中で『ゆる言語学ラジオ』は、めちゃめちゃ狭いところで話をして、「言葉に興味のある人、聴いてね」ってやったから成長したと思っています。

ポッドキャストの強みってすごいコアなところに特化できることだと思っているんですよ。

水野:自分もやってみて思ったのは、切り口って結構大事ということです。例えば、1冊の本とか1本の映画とかについてしゃべるのだと、やっぱプロの評論家の方には叶わない。

でも、全然違うジャンルの本を3冊読んできてしゃべるとかだったら、それだけで価値のあるものになるな、と。もしかしたら、それはまだ競争の少ない “ブルーオーシャン” なのかなって思いました。

▷今後、この番組をどう発展させたいと考えていますか?

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堀元:この間、番外編で「ゆるコンピューター科学ラジオ」をやったんですね。僕は大学でコンピューターサイエンスをやっていたので、いつもと立場を変えて水野が聞き役になる形でやったら、結構好評でして。

「続編やってください」という声があったので、それも別番組としてやろうっていうのを今、考えています。

なんだったらその2つだけじゃなくて、任意の学問でやれるな、と思ってまして。「ゆる任意の学問ラジオ」をやりたいですね。全学問で同じスタイルでオモロイ話が聴けると、みんながいろんなことを勉強するきっかけづくりになるかな、と思っています。

水野:僕はもう本当に完全に言語のことばっかり考えているので、この「ゆる言語学ラジオ」について言うと、研究者の方を呼びたいなあ、というのが1つあります。

実際すでに仲の良い先生をお呼びして、お話を聞いたんですけど、録ってみて思ったのが、聞き手が素人でちゃんと的確に質問やまとめができるのであれば、多少難しい話でもある程度聴けるというか。クセの強い食材にやさしいドレッシングかけたらおいしいじゃん、みたいな手応えがありまして。

その意味では、研究者の話をカジュアルに聞けるようなチャンネルがあれば、例えば、高校生や専攻を決めてない大学生とかが聴いて、学問に興味を持つみたいなことも起きそうだな、と思っています。

堀元:研究者と一般の人の橋渡しということですね。

▷最後に、これからポッドキャストを始めようと考えている方々に向けて、アドバイスをお願いします。

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堀元:やっぱりあれだな、ヘラヘラしないほうがいい。「新番組始めました」っていうときの初回、みんなヘラヘラしがちだから(苦笑)。

「始まりましたね。へへへ」「ほんとに始まったよ。フッフッフ」みたいなの、照れがすごい伝わってきて聴き苦しいので、やるんだったらもう最初から熟練のラジオパーソナリティのつもりでやると、品質はグッと良くなるのかな、と思います。

水野:僕のほうからは極めて再現性の低いアドバイスになるんですけど、優秀なプロデューサーを見つけてくること。

今の世の中、しゃべりたいことがある人は結構いるのかな、と思うんですね。でも、聞き手不足なんだろうな、と。

ポッドキャストの1人語りだったら別だと思いますけど、ラジオみたいな形にするとしたら、優秀な聞き手とか、企画を考えてくれる人とかが1人いると、すごい楽ですね。

堀元:いつもそれを言ってくれてる(笑)。

水野:堀元さんの場合は、僕が思ってない角度の球を投げてくる。突然すごく核心を突いた例えを出してきたりとか、あるいは僕が考えていないけど、言われてみたら「あーそうかも」って思えるような観点を言ってきたりだとか。

そういうのがあると、番組が持続可能になるというか、モチベーションが湧きますね。収録してみてその場で、「こんなふうに考えているんだ」という驚きがあるので、しゃべる側としては「あの番組を続けよう」とか、「しんどかったけどまたやりたい」っていう気持ちになりますね。

ポッドキャストを始めたいけど、今自分がしゃべりたいことがないんだったら、「いい聞き手になる」というのでもいいと思いますね。

今、いい聞き手になる訓練をしている人はそんなに多くないと思うので、今後ポッドキャストを始める上で、もしかしたらこれも “ブルーオーシャン” なのかもしれません。

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Anchorは簡単にポッドキャストが配信できます。あなたの番組を始めてみませんか? Anchorの紹介ページはこちらです:https://podcast101.byspotify.com/anchor/

Anchorの公式Twitterアカウントをフォローして最新情報やtipsをチェック。AnchorのTwitterアカウントはこちらです:https://twitter.com/AnchorJP

How I Podcast:等身大の自分を発信しよう!人気番組『英語で雑談!Kevin’s English Room Podcast』の2人が語る、ポッドキャスト配信を楽しむコツ

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アメリカ生まれ、アメリカ育ちのKevinさんと、英語勉強中の山ちゃん。2人が配信するポッドキャスト『英語で雑談!Kevin’s English Room Podcast(以下、Kevin’s English Room)』では、毎日約10分、何気ない日常の会話が英語で繰り広げられています。思わず引き込まれる爆笑トークに、リスナー数も急上昇中。その制作風景や番組作りで心掛けていることについて、お話を伺いました。

文法メチャクチャでも伝わればよし!

▷『Kevin’s English Room』の番組らしさはどこにあると思われますか?

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Kevin:「こういうメッセージを伝えよう」とかはないんですよ。お互いが感じたことをその場で言うみたいな。スクリプトもなくて、なるべく最初から固めないようにしています。

なので、例えば収録中に配達の人が来てもカットしないし、そのときに自然に出てくる英語もそのまま入っているし。そういうハプニングも番組の一部になっちゃうっていうラフさ、ルーズさが、われわれらしいかなと思います。

山ちゃん:僕は英語を勉強中で、Kevinとたくさんエピソードを上げる中でちょっとずつ英語が上手くなってきているかもな、と思っていて(笑)。

Kevin:リスナーさんからも、「一番最初のエピソードの山ちゃんと今の山ちゃんを比較したら、今のほうが全然うまくなってる!」っていうコメントもいただきましたね。

▷リスナーさんが山ちゃんの英語上達を追体験できるんですね。

Kevin:もう一つ、僕たちの番組で特徴的なのは、文法とかめちゃめちゃ間違っているんですよ(笑)。でも「伝わればいいよね」っていう前提で番組を作っているので、それは気にしないでやっています。

ほかの英語系のポッドキャストの方たちは、文法の正確性が非常に高いと思いますが、われわれはもうめちゃくちゃ低いです。だから文法を学ぼうと思ったら、われわれの番組は向いていないかもしれない(苦笑)。

山ちゃん:ハハハ、そうね。僕もゆくゆくは文法的にもきちんとした英語を喋れるようにはなりたいんですけど、それよりも先に、「とりあえず喋るのがまずは大事だよ」というのを伝えたい。みんな「こんなもんでいいんだ」みたいに、僕の英語を聞いて思ってくれれば一番いいし。

Kevin:英語は文法ベースじゃなくて、あくまでコミュニケーションツールなんだよっていうところが、われわれの大きなテーマですね。

気軽な音声配信でナマの姿を

▷「TikTok」や「YouTube」でもコンテンツを配信されていますね。

Kevin:最初に始めたのはTikTokで、それからYouTube、その次がポッドキャストですね。

それぞれ関わっているメンバーが違っていて、YouTubeは僕たち2人にもう1人のメンバー「かけちゃん」を加えた3人で、TikTokは私とかけちゃんの2人で、ポッドキャストは私と山ちゃんの2人でやっています。

山ちゃん:かけちゃんは日本生まれ日本育ちで「日本人の目線をしっかり持っている人」という位置づけ。Kevinは「英語のネイティブ」、僕は海外に何回か行っているので「半々」ということで、ちょっとずつ狙っている層が違う、というのはあるかもしれません。

Kevin:内容的には、TikTokはショートムービーなので、面白いと思える要素を短時間でスパッと提供しないといけないですね。笑いポイントが「来るよ!」と分かる構成にするとか、要点がすぐにわかるような工夫は必要です。

ただ、TikTokの難しいところは、人間味を出しづらいこと。それをうまく補えるのがYouTubeやポッドキャストなんですね。

▷その中でポッドキャストの位置づけや良さは?

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山ちゃん:ポッドキャストは音声だけですが、人の性格がいろんなところに表れるのがすごくいいなあ、と思っています。あと、僕たちにとっては一番ラフな、自分たちの普段のゆるいおしゃべりをそのままお届けできるっていうのが、メリットです。

あまり編集とかもしないですし、本当に「ナマのこんな人たちなんだ」というのがわかってもらえるのは、より深くコミュニケーションが取れるような感じがして、僕は好きですね。

Kevin:映像がないがゆえに気軽にやりやすい。始めやすい。サクッと録って、サクッと上げやすいのがいいですね。

また、ポッドキャストは音声のみなので、圧倒的なメリットは“ながら聴き”ができること。リスナーさんの多くも「運転しながら聴いてます」とか、「ジムでワークアウトしながら聴いてます」みたいな方がすごく多いですね。

リスナーのメッセージを番組に反映

▷収録はどのように行っていますか?

山ちゃん:今は10日に1回ぐらいKevinがうちに来て、「iPhone」を真ん中に置いて、1300円のマイクを使って、2人で「おはよう」というところから喋って……という感じですね。1回で10分のエピソードを10回分ぐらい「ため録り」しています。

特別な機材とかはなくて、スマホ1個で録音しています。「Anchor」のアプリを使ってコンテンツをアップすれば、そこから自動的にいろんなプラットフォームに配信されるので、本当に「Anchorさえあれば」っていう感じなんだよね。

Kevin:うんうん、もうAnchorだけでいいっていう。

山ちゃん:Anchorでオススメの機能は、短い効果音です。自分で効果音素材を用意しなくても、たくさんある中からワンタップで選べるので、それがめちゃめちゃ楽しくて。最近僕はそれにハマってます。

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▷リスナーとのやり取りはどのようにしていますか?

Kevin:いつもSNSで「トピックリクエスト」を募集していますね。

山ちゃん:ポッドキャスト上で「Instagramでお便りを募集しています」と言って、ダイレクトメッセージやハガキをいただいたりしています。それで面白いメッセージを冒頭で紹介して、それについて2人で喋るという形です。

Kevin:お便りじゃない場合もあるよね。Anchorを使って声のメッセージを送れる機能があって、リスナーの声を僕らが聴けるっていう。

山ちゃん:ああ、それを聴いたときは嬉しかったなあ。

Kevin:音声であるがゆえに伝わってくるものがあるよね。ちょっと緊張してたりね(笑)。

山ちゃん:そうそう。リスナーさんのメッセージはとにかくありがたくって、ポッドキャストをやっててよかったと思う瞬間ですね。

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長期戦を前提に、「真の自分」で

今後、番組をどのように発展させていこうと考えていますか?

Kevin:個人的には「お互いに楽しめる」っていうスタンスは崩さないでいきたいな、と思いますね。

SNSでいろいろコンテンツを上げていると、やっぱり100%自由じゃないところがあるんですよ。どうしてもウケるコンテンツをメインにやっていこうとなってしまって……。

でも、ポッドキャストでは例えば、山ちゃんの英語が上達したり、お互いがメリットを感じるスタンスを大切にしたいです。それをベースに、今後はもっとリスナーさんたちとインタラクティブに、なにかの形で関われたらいいな、と思っています。

山ちゃん:ありがたいことにすごくたくさんの方に聴いていただいて、それはすごく嬉しいし、びっくりしているんですけど、あんまりそこを狙いにいかないというか。

僕らの中では「最近どうなの?」みたいなことを本当にシンプルに話すっていう、その感じはやっぱりなくしたくないし、そのフィーリングでずっとやっていきたいな、と思っていますね。

▷これからポッドキャストを始めたいと思っている人にアドバイスをお願いします。

山ちゃん:まずは、Anchorをダウンロードすることから、ですね。

Kevin:ハハハ(笑)。

山ちゃん:だってそれさえあれば、配信できるので。僕らは本当に、構成を練って作っているわけじゃないですから。

普通の会社とかだったらボツにされる企画ばっかり、僕らは喋っているので。そういう制約がないのは、インターネット時代のありがたいところだな、と思います。

「ビッグになりたい」とか「儲けたい」とか、そういうことよりも、本当に好きなこと、しゃべりたいことを熱く語るみたいな、そういうスピリットが大事なのかなあ、と思いますね。

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Kevin:僕はとりあえず、「始めようとしているなら、もう上げちゃいなよ!」と思います。

知り合いにどう思われるとか、アンチコメントが来たらどうしようかとか、ウケなかったらどうしよう、っていう不安でエピソードを上げなかったり、「この機材買わなきゃ」とか考えたりしてしまうのは、正直、“逃げ”に入っていると思うので。

スマホがあるなら、その録音機能で録音して、一回上げてみることですね。上げてみて、もし思い通りにいかなかったら、めげずに改善して、もう1回チャレンジして、それを繰り返してやってみればいいだけです。

▷まずは行動を起こすことですね。そのあと番組を成長させる上で大事なことはなんだと思いますか?

山ちゃん:やっぱり、続けるっていうことがシンプルに必要なのかなあ、と思いますね。

Kevin:僕は「Authenticity(真実性)」ですね。自分を大きく見せようとしないで、「真の自分」でいるって大事だと思うんです。

僕はSNS上で広く「英語の人」「ネイティブ」「英語めちゃめちゃできる」って思われている。だけど、ポッドキャストで話していると、わからない単語がかなりあるし、文法も結構間違えているし、それが実際の僕なんですよ。

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知らないのに「これ知ってる」とか、できないのに「これできるよ」とか、実績がないのに「こんなことやったことがある」と言い始めると、それをベースに今後も活動しなくちゃいけなくなる。

それが長い目で見ると足かせになって、自分も楽しくなくなってくる。聴いている側にもなんとなく伝わっちゃうし、それってよくないやり方だと思うんです。

始めたばかりの人ってフォロワーやリスナー数が少ないから、ついそれをやっちゃいがちだけど、最初から長期戦を前提に、自分自身でいることが大事だと思います。

山ちゃん:うん、すごく同意します。本当のことじゃないと、同じ楽しさ、同じ純粋さで、ずっとモノを作り続けていくのは難しくなっていくので、クリエイターとしてはとても大事なこと。

聴いている側にも「この人は本当のことを言っているんだな」と、伝わるものだと思うので、その信頼が一番大事というか。ウソを言って、使ってもいないドライヤーとか売っても、「なんやねん!」という話になるわけで(笑)。

インターネットって、「クリックひとつでバズります」みたいに捉えられていることが多いような気がするんですけど、絶対にそんなことはない。基本的には長期戦で、しかも意外と地道です。誠実なコミュニケーションをいかに続けていくかが、一番大事なんじゃないかな、と思います。

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Spotifyにビデオポッドキャストが登場。お気に入りのクリエイターを聴くだけでなく観られるように

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Spotifyでお気に入りのポッドキャストを聴くときに、より深くコンテンツの世界に触れられる、アクティブなリスニング体験があればいいのに……と感じることはありませんか? これまでにもSpotifyはクリエイターとリスナーが交流できる場として、投票機能やQ&A機能を導入してきました。さらに、ユーザーがお気に入りのポッドキャストクリエイターをもっと簡単に見つけられるように、そしてポッドキャストクリエイターがファンとつながりを深められるように、音声ポッドキャストに加えてビデオポッドキャストを導入しました。

この新たなフォーマットについては、まずはSpotifyオリジナルのポッドキャスト番組でテストを行ったところ、ユーザーは、場所やシチュエーション、聴いている番組に応じて、音声と動画を簡単に切り替えられるオプションを求めていることなどもわかりました。こうした結果も反映して、本日よりポッドキャストクリエイターに対して、この新しいフォーマットの利用を促進してまいります。今後クリエイターは、Spotifyのポッドキャストの制作・配信ツールAnchorの専用ツールを利用すれば、動画コンテンツをシームレスにアップロード、配信できるようになります。

このツールは一部のトップクリエイターを皮切りに、ポッドキャストに動画コンテンツを追加したいと考えている既存のポッドキャストクリエイターや、Spotifyのリスナーに向けてコンテンツを配信したいと考えている動画クリエイターを対象に、順次提供を開始していきます。すでにPhilip DeFrancoThe GaryVee Audio ExperienceJasmine ChiswellThe WAN ShowJuicy Scoop with Heather McDonaldMark MansonTap In w/ Harry Jowseyなどがビデオポッドキャストを配信しており、今後も番組の数は増え続けていきます。これらの番組はThe Joe Rogan Experienceや、スポーツ&ポップカルチャーメディアThe RingerによるHigher Learning with Van Lathan and Rachel Lindsayをはじめとする、Spotifyオリジナルのポッドキャスト番組や独占番組と共に配信されます。今後も続々と登場するSpotifyオリジナルのビデオポッドキャストをお楽しみに。

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ビデオポッドキャストの探し方は以下のとおりです。

  1. Spotifyのモバイルアプリを開きます
  2. 気になる番組を選び、エピソードページに移動します
  3. 視聴したいエピソードの再生ボタンを押します
  4. 画面下の再生バーをタップすると、動画がフルスクリーンで表示されます
  5. 音声だけを聴きたい場合には簡単に切り替えられます

Spotifyでは今後、さらにビデオポッドキャストを拡充していく予定です。ビデオポッドキャストが気になるポッドキャストクリエイターの方は、こちらのAnchorのブログもご覧ください。

「Spotify Audience Network」が広告主とAnchorを利用するクリエイターのためにさらにパワーアップ

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今年2月に開催されたイベントStream Onにて、Spotifyは革新的な広告プラットフォーム「Spotify Audience Network」を発表しました。同プラットフォームは、音楽やポッドキャストなど幅広いオーディオコンテンツを楽しむリスナーと広告主とを結ぶ、世界初のオーディオ広告マーケットプレイスとなります。

以来、米国、英国、オーストラリア、カナダでサービスの提供を開始し、Spotifyオリジナル&独占のポッドキャストだけでなく、The Wall Street JournalやViacomCBSをはじめとする、Megaphoneで配信されているサードパーティのポッドキャストにも広告を配信できるようになりました。

サービス開始から、Spotifyネットワーク内のポッドキャスト番組の数は50%以上増加しており、その数は今後も増え続ける見込みです。

Spotify Audience Networkはまだ始まったばかりですが、このリスナー中心の新しい広告モデルがもたらすインパクトを私たち自身も感じています。

実際にこれまでの結果、同プラットフォームの誕生をきっかけに、広告主によるリスナーへのリーチと、Megaphoneで配信されているポッドキャスト番組の収益、その両方が拡大したことがわかっています。

AnchorがSpotify Audience Networkに参加

Spotify Audience Networkの現状に満足することなく、私たちはポッドキャストクリエイターの新たなマネタイズ方法を模索し続けています。これまでに、Anchorのサブスクリプション機能の開発などにも取り組んできました。

そして本日、テスト期間を経て、Spotify Audience NetworkをAnchorを利用する米国のクリエイターに正式に公開することになりました

昨今ポッドキャストに対する広告主の関心が急速に高まっていることから、今回のSpotify Audience Networkの拡大により、Anchorのトップクリエイターたちは新たなマネタイズの手段を手に入れられることになります。

そして広告主は「Alyssa Milano: Sorry Not Sorry」「How Long Gone」「Office Hours live with Tim Heidecker」などの急速に人気を増すポッドキャスト番組に広告を配信し、より多くのリスナーとつながりを持つことができるようになります。Spotify上のポッドキャストの70%がAnchorから配信されていることを踏まえると、広告主のリーチは今後より一層広がっていくでしょう。

「AnchorのクリエイターとしてSpotify Audience Networkの一員になれることをとても嬉しく思います」とrSlashのクリエイターは語っています。「Anchorというすばらしいプラットフォームのおかげで、私はここまで番組を成長させることができました。AnchorとSpotifyからこれまでに受けた恩恵を考えると、この新しいマネタイズモデルが、私のようなクリエイターのビジネスをさらに拡大するのに役立つと確信しています」。

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すべての人にポッドキャスト広告を

お知らせはこれだけではありません。

これまで大小さまざまな広告主が、我先にとポッドキャスト番組への広告出稿を試みてきましたが、その実現は一筋縄ではいきませんでした。従来、Spotifyのポッドキャスト番組に広告を出稿するには、Spotifyチームとの直接的なやり取りや多額の予算が必要だったからです。

しかし、私たちは現在、ポッドキャスト広告への参入障壁を打ち破るべく、さまざまな取り組みを進めています。近い将来、大学やインディペンデントなアーティスト、アプリ開発者など、あらゆるタイプの広告主がポッドキャスト広告の価値を実感できるようになるでしょう。

その取り組みの一環として、これから数週間のうちに、セルフサービス型のSpotify Ad Studioで、ポッドキャスト広告枠を手軽に購入できるようになります。まずは米国からのスタートとなりますが、将来的にはより多くの市場に導入していきます。

ブランドを守る環境を維持し、広告主に安心とコントロールを提供

さらに本日、SpotifyはGlobal Alliance of Responsible Media (GARM)にオーディオプラットフォームとして初めて加盟することを発表しました。GARMのメンバーとして、すでに確立されたガイドラインに準拠しながら、オーディオコンテンツにおけるブランドセーフティの基準を業界に先駆けて設定していきます。

「今年、Spotifyは消費者から最も信頼される広告プラットフォームであることがわかりました」と、グローバル広告ビジネスを統括し、バイスプレジデントを務めるリー・ブラウン(Lee Brown)は言います。

「リスナーと広告パートナーの双方からの信頼を維持することは、私たちにとって最重要事項です。すでにSpotifyは、コンテンツとブランドの安全性を確保するために、人とテクノロジーの力を組み合わせて適切なコンテンツを選定していますが、やるべきことはまだまだあります。GARMへの加盟は、業界のガイドラインを遵守することへの私たちのコミットメントの表れです」。

また、近日中にはセンシティブなトピックを除外する機能の導入も予定しています。これにより、広告主は安心して自分たちのメッセージを託すコンテンツを選べるようになるでしょう。

さらに、コンテクストターゲティングツールを強化することで、広告主はサービスや製品に関連するポッドキャストのトピックを選択できるようにもなります(例:ペット関連の番組を楽しんでいるリスナーにアニマルシェルターを提供する広告主がリーチする)。上記のサービスや広告運用に関する詳細は、Ads.Spotify.comをご覧ください。また、Spotify Audience Networkや一連のマネタイズ機能についての詳細は、Anchorのブログをご参照ください。

米国のポッドキャストクリエイター向けに有料サブスクリプション機能の提供を開始

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Spotifyは設立当初から、クリエイターが作品を収益化するためには、より多くの選択肢があるべきだと考えています。Spotifyでコンテンツを配信するクリエイターが増えるにつれ、広告モデルの改善や、リスナーから直接サポートを受けられる仕組みの整備など、収益化ツールの拡充を進めてきました。

今年4月には、ポッドキャストを配信するクリエイターが、Spotifyやそのほかのプラットフォームで有料サブスクリプションリスナー限定のコンテンツを提供できるよう、ポッドキャスト制作プラットフォームAnchorを通じて「Podcast Subscriptions」の試験運用を開始しました。期間中は100以上のポッドキャスト番組に同ツールを提供し、ジャンルや形式を問わず、さまざまな番組に大きな可能性があるとわかりました。

そして試験運用を経て、本日よりPodcast Subscriptionsを米国のすべてのポッドキャストクリエイターに対して提供する運びとなりました。これによってクリエイターは、Anchor上で対象エピソードを有料購読者限定コンテンツとして設定し、Spotifyをはじめとするさまざまプラットフォームで配信できるようになりました。

今回米国で正式に導入されたPodcast Subscriptionsの特徴は次の通りです。

  • 選択できる価格設定を20種類に拡大し、柔軟性を高めました。
  • 購読者の連絡先リストをダウンロードできるようになりました。これによりクリエイターはファンとより深く交流できるうえ、さらなる価値を提供できるようになります。

またクリエイターの収益を最大化し、購読者限定コンテンツの普及を促進するために、Spotifyは以下のような具体的な施策を実施しています。

まず、Sporifyではポッドキャスターが購読料から受け取る収入の割合を、業界最高水準に設定しています。クリエイターは2023年までは購読料を100%(決済手数料を除く)得ることができます。2023年以降は、購読料の5%をSpotifyの手数料として徴収する予定です。

さらに、先述した私たちの考えを収益化ツール自体にも反映させ、購読者限定コンテンツをSpotify以外のプラットフォームでも配信できるようにしました。Anchorで購読者限定コンテンツを配信すると、Spotifyに公開されるだけでなく、プライベートなRSSフィードが生成されるので、他のプラットフォームを利用しているリスナーにも限定コンテンツを届けることができます。また、SpotifyはiOSやAndroidだけでなく、さまざまなデバイス(スマートスピーカー、ゲーム機、自動車など)でも利用できるため、Podcast Subscriptionsを利用するクリエイターは、どのような聴き方をするリスナーにもリーチすることができます。

Podcast Subscriptionsは今後も日々進化していきます。米国外のリスナーも9月15日から購読者限定コンテンツにアクセスできるようになり、また世界のクリエイターがこのツールを利用できるようになる予定です。(日本での導入は未定です)

詳しくはこちらのAnchorのブログ(英語)をご覧ください。