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明石ガクト×野村高文対談 「若年層にポッドキャストが人気の理由と企業のポッドキャスト活用」

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 PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、ニューズピックスを経て、2022年にChronicleを設立し、現在は音声プロデューサー/編集者として活躍する野村高文氏と、ワンメディア株式会社の創業者・代表取締役社長であり『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』などを著書に持ちながら、現在は『Fashion Victim』を配信するなど、音声コンテンツに可能性を感じている明石ガクト氏。それぞれコンテンツ制作のプロフェッショナルである2人は、ポッドキャストが盛り上がっている現状をどのように考えているのでしょうか。

 今回はそんな両者に音声コンテンツ・音声広告の魅力について伺うインタビューを実施。Spotifyが独自に調査したポッドキャスト利用に関する調査結果なども交えながら、若年層のポッドキャスト利用の現状や、若者に向けた効果的な音声コンテンツ・ブランデッドポッドキャストの届け方などについて、じっくりと語りあっていただきました。

ーーSpotifyの調査によると、10代から30代の音声コンテンツサービス利用者のうち、元々若年層含有率の高いSpotifyを通して使っている方が半数近く、と最も多いようです。いま若年層にポッドキャストが広がっている背景には何があると思いますか?

明石:まずは、ワイヤレスイヤホンの普及はかなり大きいと考えています。今、電車の中や外を歩いていて、イヤホンをつけてない方の方が少ないくらいですよね。また、僕は「YouTubeとの役割の違いが明確になってきた」とも感じています。まず、ポッドキャストには画がないですよね。私自身、ワンメディアという会社を経営して動画制作をずっと行ってきたのですが、画がありきで考えるストーリーと、画がない前提で考えるストーリーというのは全く別物なんです。ポッドキャストは声だけで伝えるのが得意な人が活躍できるメディアであり、テレビに対するYouTubeのように、ラジオに対するポッドキャストという二項対立的な概念が、ここ数年で急激に定着してきたと感じます。

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明石:さらに、動画の世界では、アップロードする人が増えすぎて、コンテンツが飽和し、時間の奪い合いが極限に達しています。昔は100万再生が当たり前だった動画でも、今は厳しくなってきていますから。だからこそより細かい隙間時間や「ながら」の時間にフィットするメディアが求められており、その結果として「ショート動画の隆盛」と「ポッドキャスト人気」が生まれているのだと考えます。

ーー可処分時間の奪い合いにおける最後の砦が「ながら時間」であり、そこにハマったということですね。

明石:シェールガス採掘みたいですよね。これまで採取できなかったけど、テクノロジーの進化によって採れるようになった、みたいな(笑)。

ーーそうした行動変容の部分でいえば、コロナ禍の世の中を経た、という部分も大きかったりするのでしょうか。

野村:僕は元々日本にあった深夜ラジオカルチャーの流れが大きく影響していると考えています。テレビやYouTubeのような「顔出しで大勢の前で話す」場とは異なり、ラジオには「素顔をこっそり語る」という文化が長く存在していました。芸人の方がラジオ局の深夜枠で本音を語る番組が人気でしたが、ここ数年間は「親密に“素顔の話”をする場」がポッドキャストにも広がっています。

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野村:それは現在のお笑いブームや、様々な文脈で人気を得ている芸人さんたちが多いこと、さらにそのコアな話を聴ける場としてポッドキャストを選ぶ方が多いことが大きな要因だと考えています。ラジオ局の放送枠には限りがあって、起用されないと場を得られませんが、ポッドキャストは芸人さん自身が自由に場を持てますから。

ーーちなみにお二人はどのような隙間時間でポッドキャストを聴くことが多いですか?

明石:先ほどお話しした細かい移動時間もそうですが、飛行機移動のような長距離で特定の番組を一気聴きしたり、家事の合間に聴くことも多いですね。先日もカンヌとの往復でコテンラジオ(『歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO)』)をまとめて聴きましたし、家事に関してはポッドキャストを聴くようになってから率先的にやるようになった気がします(笑)。

野村:私も実際に家事がはかどるようになりました(笑)。皿洗いや部屋の片付けなど、手が塞がっていても耳が空いている家事と相性が良いので、そっちを積極的に担当するようになったりして。退屈だった時間を有意義なエンタメの時間に変えることができている実感がありますね。

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ーーSpotifyの調査結果によると、移動中、仕事中、勉強中、家事中など、まさに「ながら聴き」で利用されており、学習に使えるイメージも持たれています。特に若年層は学習目的で利用を開始する傾向があるものの、最終的にはエンタメコンテンツを多く聴いているという結果も出ています。それらの点を踏まえて、若年層はポッドキャストを「どう使っている」と感じますか? 

野村: 彼らはトレンドセッターに近く、様々なジャンルに興味を持ち、新しいものへの抵抗が少ない傾向があります。単なる情報収集や暇つぶしだけでなく、生活の一部、習慣として組み込まれているという感覚が強いですね。弊社の制作している番組でも「休日の犬の散歩中に聴くのが日課になっている」などという声が多くあり、まさに人生のルーティンに組み込まれていると感じます。

明石:わかります。私が関わっているある番組でも、前に配信の曜日を変更していいかどうかをリスナーの方にアンケート形式で聞いてみたのですが、見事に「生活の中に組み込まれているから変えないでほしい」という意見が圧倒的多数でしたから。

ーーお二人の関わっている番組がいずれもそうだ、というのは貴重な情報ですね……。

野村:動画コンテンツは流行り廃りのサイクルが早く、ともすれば「使い捨て」になりがちな中で、ポッドキャストは一度好きになってもらえれば、その後もリスナーの人生に寄り添い続けられる特徴があります。これは、コンテンツが単なる消費ではなく、深い体験となっている証拠だと思います。あと、私はコンテンツクリエイターとして「情報は人生を変える」と思っていて。せっかく作るなら人々の人生に良い作用があるようなものを作りたいという気持ちで活動しているのですが、ショート動画では人生が変わらないなと。

ーーなるほど。そう思われた理由はなんでしょう?

野村:自分がこれまで人生を変えられてきたものって、書籍や映画、それに誰かとじっくり話した経験、つまりは“長い時間をかけて体験したこと”なんです。文芸評論家の三宅香帆さんも著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で、同様のことを指摘されていますが、「自分が知りたい情報を検索してすぐに答えが出てしまうことって、今の課題を解決するものの、これまでの自分の枠組みから外に出ないぶん、人生を変えることにはならない」なと。ただ、スクリーンに向き合い続けている私たちの人生において、集中して何かをみるのはだんだん難しくなってきている。だからこそ、スクリーンを見なくても受容できるポッドキャストは、今の時代において数少ない“長くても大丈夫なコンテンツ”なのだと思います。

ーーそれらを踏まえて、若年層が「熱心に聴いてくれる番組」と「スルーされる番組」の違いはなんだと考えますか?

野村: 若年層が熱心に聴いてくれる番組にはいくつかの特徴があると思います。コンテンツの種類としては、道具としての有用性を求める場合と、共感や安心感といった心理的な快楽を求める場合に分かれます。Spotifyの上位コンテンツにお笑いが多いのは、後者の価値が大きいと感じますね。番組が人気化するためには、まず「発信者が誰であるか」「何者であるか」がリスナーにある程度見えることが非常に重要です。その人がどういう課題を持ち、どんな視点に基づいて話をしているのか。音声コンテンツは聴けば聴くほど良さが分かりますが、その手前にある番組のコンセプトや発信者のキャリア、概要欄などで、自分が何者で何を語っているのかを開示・説明することは可能です。それが世間の課題を捉えていると、人気が出やすい印象があります。

明石:動画の世界でも「やらされてる人」はダメですからね。自ら「なぜマイクの前に・カメラの前に立っているのか」という意思が明確な人ほど強いんです。あとは、同性同士のトークが人気なことも面白いと思っていて。「盗み聴き感」のようなものが重要で、自分もそのインナーサークルに入りたいと思えるような番組が人気を集めている印象です。

ーー同性同士のトーク番組で人気のコンテンツはたしかに多いですね。

明石:昨年の流行語に「界隈(かいわい)」という言葉が入って一気に「界隈」という言葉が一般化しましたが、ポッドキャストはまさに「界隈」のメディアだと感じます。『コテンラジオ』は歴史界隈、『経営中毒 〜だれにも言えない社長の孤独〜』は経営者界隈のように、従来のマス媒体や動画ではメディア化しづらかったニッチなテーマ、ビジュアルで表現しにくい抽象的な話も、ポッドキャストならコンパクトに始められ、それが「私のための番組だ」と色んな人が思えるものが支持されている傾向にあると思います。

野村:まさに明石さんのおっしゃったように「関係性」にリスナーがつくという点がポッドキャストの大きな特徴です。発信している情報ももちろん大事ですが、パーソナリティ同士が楽しそうに話している、その関係性自体にリスナーが魅力を感じているということです。

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ーー若年層に対して「音声でのアプローチ」が広告として有効になってきているという感触はありますか?

野村: 若年層へ音声コンテンツでアプローチすることは非常に有効だと思います。特にポッドキャストでは、リスナーが広告を「番組をサポートしてくれるもの」として捉え、「ありがとう」という感謝の気持ちを抱きやすいというユニークな特徴があります。これは、広告がノイズになりがちな他の媒体とは大きく異なる点ですね。

ーーそれ以外に、映像やSNSに比べて音声広告にはどんな強み・差別化ポイントがあると考えますか。

野村:映像やSNSに比べた音声広告の強みは、リスナーとの深い信頼関係と、広告がコンテンツ体験にシームレスに溶け込める点にあります。ポッドキャストは、再生回数よりも「滞在時間の長さ」や「リピート率」といった体験の質が重視されます。最後まで聴かれる割合が高く、各エピソードの再生数が安定しているため、パーソナリティとリスナーが深く繋がっていることが数字にも表れています。これは、コンテンツが単なる消費ではなく、リスナーの人生の一部になる「体験」であるためです。

ーーでは、音声コンテンツ・音声広告のKPIについてはどのように考えますか?

明石:動画の世界は再生回数のようなわかりやすいKPIに注目が集まっていましたが、ポッドキャスターにおいて再生回数はあまり関係ないと思っています。

野村:そうですね。具体的な指標でいえば「滞在時間の長さ」と「リピート率」に注目すべきでしょう。弊社が作った番組も、音声を一度再生すると最後まで聴いてくれる率が高いんです。さらに、特定のエピソードに偏らず、各回の再生数がそこまで変わらないのも面白いですね。パーソナリティとリスナーの一人ひとりが素通りする関係性ではなくて、かなり深くつながっていることがよくわかるエピソードとデータだと思います。

明石:例えば『奇奇怪怪』は最近長尺化が止まらなくて、毎回2時間くらいの尺になっているのですが、これってもう毎週映画を見ているくらいの長さなわけですよね。これをひとつのIPが体験させようと思うと、なかなか難しいことだし、再生回数などでは計り知れないインパクトです。「習慣化」という言葉には収まりきらない強度があるというか…。

野村:たしかに「脳の回路が組み替えられてる」くらいの粘着性がありますよね。同じ1回の再生数でも、深さと強さが全く違うように感じます。

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ーーたしかにその感覚はよくわかります…。ちなみに、お二人が最近「これはうまくハマってるな」と感じた企業コラボやスポンサー付き番組があれば教えてください。

明石: 昨年の番組になるのですが、FUJI ROCK FESTIVALのポッドキャスト『READY FOR FUJI ROCK FESTIVAL’24 supported by iichiko』ですね。麦焼酎の「いいちこ」がスポンサードしている事例で、毎回出演アーティストをゲストに迎えてトークする番組なのですが、面白いのは冒頭に「いいちこ」で乾杯してから話を始めるものの、そこから「いいちこ」は全然出てこなくて。ただ、リスナーには好きなアーティストが「いいちこ」で乾杯し、楽しそうに話しているのがわかるので、ブランドネームのプレイスメントは冒頭の一瞬だけでも、その後の30分間はリスナーの頭の中に「いいちこ」が存在し続けるんです。見えないからこそ、シチュエーション自体にうまくブランドがプレイスメントされ、想像力を掻き立てるという構造が非常に優れていると感じました。

野村:なるほど。家具や空間、飲食物などの「ながら」で消費される商品や製品は、音声ならではの想像力を活かしたプレイスメントと非常に相性が良いかもしれませんね。

ーー野村さんはご自身が手掛ける番組のなかで、手応えを感じた瞬間などはありますか?

野村:数々の番組を配信する中で、企業がポッドキャストを発信することの意義がかなり見えてきました。一定のクラスタのリスナーに対して、深くメッセージを届けられるメディアのため、リスナーから従業員採用に結びついたり、顧客の獲得につながることは再現性のある効果として発生しています。また職業的専門性に基づき、体系的な発信をすることで、出演者がその業界の有識者として認知されることも、企業活動にとって計り知れない効果をもたらしていると感じます。

ーー明石さんは若年層をターゲットにしている企業に対して、Spotifyでのポッドキャスト施策をどう提案していますか?

明石:そもそも動画などの視覚コンテンツを見まくっている若者の心の深いところを撃ち抜くには、従来とは異なる手法、つまり音声でやらないと目立つことはできません。動画の得意な領域と、音声の得意領域は違うので、企業さんには「誰かの人生にとって大事なものになり、コミュニティになっていくようなところに対して、広告資金を投下していく必要があるのでは?」と話しています。映像化しづらいようなテーマや、極端にマニアックなもの、そういった従来のマスコミュニケーションでやりづらいものほど、ポッドキャストには向いていると考えます。そうやって作られるコミュニティは絶対的な数が多いわけではないが、その一人ひとりがエヴァンジェリストになってブランドを広めていってくれる味方になる。だからこそ企業はポッドキャストをやるべきなんです。

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ーー最後に、若年層に向けてポッドキャストでの発信を検討されている企業の皆さまへメッセージをお願いします。

野村: 若年層に響くコンテンツ作りにおいては、「企業が言いたいことを主にするのではない」という姿勢が非常に重要です。あくまで、企業が持つ知見や歴史など、リスナーが「面白い」と感じてくれるであろう情報やストーリーを提示することから始める「ギブファーストの精神」が大事です。それが面白いと感じてもらえてから、徐々に自社のメッセージを織り交ぜていく形が理想です。番組によってリスナーさんがどういう属性で何が好きかというのがはっきりしている・偏っているのがポッドキャストの特徴でもあるので、その番組の特性を把握しつつ、そこにマッチする企業と番組がともにコンテンツを作ることが、共感されるブランデッドポッドキャスト番組につながってくると思います。

明石:ポッドキャストのリスナー、特に「ながら聴き」で積極的にインプットしようとしている層は、「丁寧に生活をしている人」「人生に対してプロダクティブな人」という属性があると感じています。彼らは空き時間に家事をしたり、ウォーキングをしたりと、時間を有効に使おうとしている層です。そういった層に対しては、単なる商品紹介ではなく、彼らのライフスタイルに寄り添い、生活をより豊かにするような知見や体験を提供するテーマが向いています。例えば、ワイドショーのように「話が入ってきているのかいないのか分からない」ノイズではなく、ポッドキャストで「フランス革命についてこういうことだったんだ」と知るような、有益なインプットになる情報が好まれる傾向がありますね。

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野村:「深い情報」が重要とは意識しつつも、スクリーンに向き合っていると集中力が持続しにくいというのが、現代人に共通する課題だと思います。音声コンテンツは、スクリーンから解放されることで、長く滞在しても無理なく情報をインプットできる唯一のメディアです。企業が発信するコンテンツも、このような「人生を変えるような深い情報」や「具体的な課題解決に繋がる知見」を、「友人同士の会話」のような親密なトーンで提供することが、これからも求められ続けるでしょう。

若年層のポッドキャスト利用についてより詳しく知りたい方は、「Culture Next ポッドキャスト利用実態編」をチェックしてください。

(撮影=林直幸)

音で、カルチャーを、そしてビジネスを動かす。広告事業者向けイベント『Spotify Sparks 2025』イベントレポート

『Spotify Sparks 2025』

 Spotifyは2025年6月5日、東京・渋谷のTRUNK(HOTEL) CAT STREETにて、招待制ビジネスイベント『Spotify Sparks 2025』を開催。最新広告イノベーションと成功事例を通じて、Spotifyで効果的にファンとエンゲージするためのヒントを紹介しました。

 冒頭、Spotifyアジア太平洋地域広告事業統括のエリサ・ケルサルは、Spotifyが「今やオーディオだけでなく、マルチフォーマットのプラットフォーム」に進化したことを説明。さらに「動画広告と音声広告を組み合わせることで、ユーザーの好感度と購買意欲が2倍になる」と最新調査結果を発表し、Spotifyのマルチフォーマット化がもたらすマーケティング効果を示しました。

『Spotify Sparks 2025』
Spotifyアジア太平洋地域広告事業統括 エリサ・ケルサル

 最初のセッション「The Next Era of Spotify Advertising: Spotifyが実現するユーザーとの深いエンゲージメント」では、Spotify プロダクトマーケティングアジア太平洋地域統括・岡本純一が登壇。岡本はSpotifyの特性について「人々の生活のあらゆるモーメントで利用される数少ないプラットフォーム」と語り、日常に寄り添う特性こそが、Spotifyの広告価値の源泉であることを示しました。また今年5月にリリースされたSpotify広告マネージャーは、「キャンペーン目的別の最適化」「独自のユーザーデータを基にしたターゲティング」「音声・動画・ディスプレイのマルチフォーマット対応」、「ファーストパーティとサードパーティの計測ソリューション」という4つの大きな特徴を持つと説明。実際の企業の活用事例も紹介し、従来手法を大幅に上回る成果を実現したほか、ポッドキャスト再生数獲得目的で実施されたキャンペーンでは効率的な獲得単価を達成したことが報告されました。また、Spotify広告マネージャー内の無料音声クリエイティブ制作ツールで制作された実際の広告音声も紹介されました。

『Spotify Sparks 2025』
Spotify プロダクトマーケティングアジア太平洋地域統括 岡本純一
『Spotify Sparks 2025』

 続く「Why Attention Matters: 音声ストリーミングの高いアテンションがエンゲージメントを加速する理由」では、電通ジャパン・インターナショナルブランズのスティーブン・リョウ氏とスポティファイジャパン マーケティングサイエンスリードの原田桃子が共同調査による戦略的洞察を発表。インプレッションが溢れる現代において、その質を測る新指標「アテンション」の重要性と計測方法を解説しました。Spotifyユーザーの85%が「Spotifyの広告は押し付けがましくない」と回答しているため広告の受容度が高いとした上で、調査の結果、他のスキップ不可のメディアと比べても約2倍以上のアテンション秒数を達成したことを報告しました。このSpotify広告の高いアテンションは単にスキップできず強制的に広告を見聞きさせられるためではなく、Spotifyユーザーの広告へのポジティブな態度によってもたらされ、それがブランドリフトの向上にもつながると語りました。

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電通ジャパン・インターナショナルブランズ スティーブン・リョウ氏
『Spotify Sparks 2025』
スポティファイジャパン マーケティングサイエンスリード 原田桃子
『Spotify Sparks 2025』

 「Add More to Your Mix: KDDIのクロスメディア活用」では、KDDIコミュニケーションデザイン部メディア企画グループグループリーダー・後舎満氏とスポティファイジャパン クライアントパートナー・澤田彬が登壇し、Spotify広告の実践的な活用戦略を共有しました。後舎氏は、KDDIがSpotifyを積極的に活用している背景として、若年層への強み、通勤中や作業中といった「ながら聴き」のモーメントでもオーディエンスと接点を持てること、過去に実施した調査から単体でのブランドリフト効果とクロスメディアでの相乗効果も確認できていることなどがあると説明。音声広告ならではの効果検証やクリエイティブのABテストなど、毎回テーマを持ってキャンペーンに取り組んでいると述べ、実際のキャンペーン事例とともに「キャンペーン実施2週間後のブランド認知リフト値の残存率がSpotifyの音声広告は動画広告の1.6倍高い」「動画プラットフォームの広告のみに接触した場合よりも、Spotifyと動画プラットフォームに重複接触した場合の方がブランドリフトスコアが最大1.4倍高い」といった調査結果を発表しました。また、今後チャレンジしてみたい領域として、リテールメディアやOOHとの連動を挙げ、音声メディアとショップやコンビニといったリアルな接点を組み合わせた“立体的なプランニング”にもチャレンジしていけたらと語りました。

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KDDIコミュニケーションデザイン部メディア企画グループグループリーダー 後舎満氏
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スポティファイジャパン クライアントパートナー 澤田彬
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 「How to Make a HIT: Spotifyでヒットを生み出すための最新クリエイティブ戦略」では、スポティファイジャパン クリエイティブ戦略統括・橋本昇平がSpotifyを効果的に活用し、Spotifyユーザーの心をより効果的に動かすためのクリエイティブ戦略の3つのポイント、1) ファン目線で考える、2) クリエイターのように行動する、3) カルチャーとつながる を紹介。Spotify上で人気の新進気鋭アーティストが登場し、「移動」が夢を叶えるための可能性である事を自身のエピソードやおすすめ楽曲を通して伝えるトヨタ自動車のポッドキャスト番組『TOYOTA SOUND TRACK』など、さまざまな企業の実例を交えて、Spotifyだからこそ実現可能かつ効果的なクリエイティブを解説しました。

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 最後の「Connecting with Gen Z through Culture: 日本コカ•コーラが考えるカルチャー起点の若年層コミュニケーション戦略」では、日本コカ・コーラ メディアストラテジー統括・池田哲也氏とスポティファイジャパン 営業本部長・田村千秋が登壇。池田氏は、Z世代に向けた広告施策として行った過去のキャンペーンでは「押し付けすぎない適度な距離感を保ったコミュニケーション」を重視したと説明。Spotifyの「This is 」プレイリストの再生中にCMを流すという特定のアーティストのファンダム向けの施策や、J-POPやアニソンファンを対象に、楽曲視聴後に親和性の高い人気アーティストのボイスメッセージ広告を配信した施策を紹介しました。これによりターゲット層との強い繋がりが生まれ、ファンがSNSで自発的に投稿するなど大きな反響があったと言います。また、Spotifyでは音声、動画、プレイリストのタイアップやインタラクティブな体験を提供できるので、さまざまなメニューをうまく使いこなす事でより効果的な場になると述べ、他のメディアとの組み合わせも重要で、広告体験をマーケティング目的に合わせて設計することがキーであると語りました。その上でターゲット層のパッションポイントを重視することの大切さにも言及。「若い世代は広告然としたものを好まない傾向にあるので、自然と彼らの生活に溶け込むことが重要になる」と強調しました。

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日本コカ・コーラ メディアストラテジー統括 池田哲也氏
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スポティファイジャパン 営業本部長 田村千秋
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 今回のイベントのコンテンツが示すように、Spotify広告はフルファネルでより高い効果をもたらすプラットフォームへと進化しています。カルチャーの最前線に立つSpotifyは、今後もブランドのマーケティング戦略をビジネスパートナーとして支えてまいります。

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Spotify、国際女性デーに讃える女性アーティスト/クリエイターの活躍 ランキングの発表も

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 Spotifyでは、3月8日の国際女性デーを記念して、「Tokyo Super Hits」や「Hot Hits Japan」をはじめとするSpotifyの国内主要公式プレイリストのカバーを、あいみょんやAwichなど総勢27組の女性アーティスト/クリエイターたちが飾りました。また、女性アーティスト/クリエイターの活躍を讃えるランキングもあわせて発表しました。

Spotify、女性アーティストの活躍を後押しする取り組み

 Spotifyは、音楽やオーディオ分野における女性の機会均等を促進し、女性アーティストやクリエイターの活躍や貢献を称えるグローバルプログラム「EQUAL」を展開しており、プレイリストやポッドキャスト、マーケティング活動などを通じて彼女たちの作品を世界のリスナーに紹介しています。注目の女性アーティストの作品を紹介するグローバルフラッグシッププレイリストの「EQUAL」とともに、35の国と地域でそれぞれローカルプレイリストも展開しており、日本で展開する「EQUAL Japan」では、注目の女性アーティストをアンバサダーとしてピックアップし、カバー画像やキャンペーンにも起用しています。

 また、日本国内では、Billboard JAPANと連携し、国内音楽チャート「Billboard JAPAN Hot 100」から女性アーティストの楽曲のみを集めたプレイリスト「Top Japan Hits by Women」も展開し、女性アーティストのさらなる活躍を後押ししています。

Spotifyデータをもとに讃える、女性アーティスト/クリエイターの活躍

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※アーティスト:集計期間は、2024年2月15日から2025年2月14日。男女混成グループは、メインボーカルを女性が務めるグループを対象にしています。

※クリエイター:集計期間は、2024年2月15日から2025年2月14日。男女混成パーソナリティのポッドキャスト番組は除外しています。

<Spotify Japan 音楽企画推進統括 芦澤紀子 コメント>

Spotifyは2021年より、音楽におけるジェンダーの公平性を促進するため、EQUALをはじめとするさまざまな取り組みを通じて、女性アーティストやクリエイターの支援を続けてきました。国内の年間アーティストチャートトップ100に占める女性アーティストの割合は、2023年から2024年にかけて4%増加し、同チャートに占める女性アーティスト全体の総再生数も27%の伸びを記録しています。今後も、年間を通じて女性アーティストやクリエイターの作品をより多くの人に届けられるよう、さらなる取り組みを進めていきます。

 Spotifyの「EQUAL」コーナーで、お気に入りの女性アーティストやクリエイターの作品を見つけてみましょう。

Spotifyが2025年に躍進を期待する次世代アーティスト&ポッドキャストクリエイターをサポート「RADAR: Early Noise 2025」「RADAR: Podcasters 2025」を発表

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 Spotifyは、今年飛躍が期待される注目の新進国内アーティスト10組を「RADAR: Early Noise 2025」として選出しました。今回選出した10組をプレイリストやライブイベント、さらにはアーティストの魅力を紹介する様々なコンテンツやコラボレーション企画などを通じて、国内外の音楽ファンに積極的に紹介してまいります。

 また、今年より、次世代のポッドキャストカルチャーを担う新進気鋭のクリエイター5組を「RADAR: Podcasters 2025」として選出。5組のクリエイターには、収録スタジオの提供や、番組イベントの開催支援、コラボレーション企画などを通じて、積極的にSpotify内外のリスナーに届けてまいります。

■「RADAR: Early Noise 2025」

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 今年で9年目となる「Early Noise」は、プレイリストや様々な機能を通じて次の時代を担う新進アーティストの音楽と魅力を音楽ファンにいち早く紹介し、彼らがリスナー基盤を広げるサポートを行う目的で、2017年に日本でスタートしました。2020年春には、各国の注目アーティストを世界の音楽ファンに紹介するグローバルプログラム「RADAR」と連携し、「RADAR: Early Noise」へと進化。本プログラムを通じて、あいみょん、King Gnu、ずっと真夜中でいいのに。、Vaundy、藤井 風など様々なアーティストが多くの新たなリスナーを獲得し、国民的なアーティストへとステップアップしてきました。

 2024年に選出されたtuki.は、1億再生を突破した「晩餐歌」が2024年国内で最も再生された楽曲5位にランクインしたほか、2024年世界で最も発見された国内アーティスト1位にも輝き、年間を通して国内外で大きな活躍を見せました。また、昨年8月に開催された『SUMMER SONIC 2024』では、Spotifyとサマソニのコラボレーションによる「RADAR: Early Noiseステージ」が2年連続で実現し、TOMOO、なとり、Yo-Seaなど過去選出アーティストに加え、サバシスター、JUMADIBA、離婚伝説など2024年の選出アーティストも多数出演して話題となりました。

 この度発表された「RADAR: Early Noise 2025」には、ストリーミングやSNSの普及に伴う音楽トレンドも反映し、バンド、シンガーソングライター、ヒップホップなど多様な分野から、従来の枠組みを超えて活動し、個性的な作品を発信している10組を選出しています。

<RADAR: Early Noise 2025 選出アーティスト>※50音順

● AKASAKI

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● ziproom

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● 7co

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● 乃紫

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● PAS TASTA

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● Billyrrom

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● ブランデー戦記

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● Lavt

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● reina

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● レトロリロン

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■「RADAR: Podcasters 2025」

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 Spotifyは、これまでも音声の可能性を信じ、オリジナル番組制作や、世の中の音声コンテンツの多様化を促進する次世代音声クリエイター育成プログラム「Sound Up」、国内音声コンテンツクリエイターを支援する「クリエイター·サポート·プログラム」など、ポッドキャスト需要の創出とクリエイター支援に継続して取り組んでまいりました。Spotify上の国内クリエイターによるポッドキャスト番組の数は、2021年1月から2025年1月にかけて約600%増加しており、Spotify上の国内クリエイターによるポッドキャスト番組の30日間の聴取時間は同期間で約1,000%伸長しています。

 今年度より新たに発表された「RADAR: Podcasters」では、ポッドキャスト需要の創出とクリエイター支援を強化し、日本においてポッドキャスト発の新たな文化を創出するために、次世代のポッドキャストカルチャーを担う新進気鋭のクリエイターを紹介し、彼らのリスナー基盤を広げるための番組制作サポートなどの支援を実施いたします。今年度の「RADAR: Podcasters 2025」では、新しい表現メディアとしてポッドキャストの力を信じ、新しい価値観を発信する、ジャンル·世代の異なる個性的な5組のクリエイターを選出しています。本プログラムを通じて、ポッドキャストの魅力を積極的にSpotify内外のリスナーに届けてまいります。

<RADAR: Podcasters 2025 選出番組 / クリエイター> ※50音順

● AfterParty/倉田佳子 長畑宏明 平岩壮悟

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● UNDERDOG in Tokyo/長谷川ミラ 田中順也

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● 上坂あゆ美の「私より先に丁寧に暮らすな」/上坂あゆ美 鵜飼ヨシキ

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● GOLDNRUSH PODCAST/Isaac Y. Takeu(アイザック・ワイ・タクー)

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● ラジオ知らねえ単語/園凜(その・りん) 金井球(かない・きゅう)

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「RADAR: Podcasters 2025」プレイリスト:https://spotify.link/PodcastersJapan

 Spotifyでは、公式プレイリスト「RADAR: Early Noise 2025」と共に、選出アーティストやその音楽の魅力について音楽コンシェルジュ・ふくりゅうとSpotifyの音楽事業部門担当者が語るポッドキャストコンテンツを「New Music Wednesday [Podcast Edition]」最新エピソードとして公開中。

 また2月14日(金)〜16日(日)には、OPENBASE SHIBUYA(東京・渋谷区)にて、選出アーティストの世界観を体感いただける「RADAR: Early Noise」ポップアップイベントを開催予定です。Spotify Tap™ に対応したソニーのLinkBudsシリーズでの楽曲試聴やアーティスト紹介パネルなどをお楽しみいただけます。今回のために用意したSpotifyコラボアクセサリーもご覧いただけます。

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 さらに3月19日(水)には、今年初となる「Spotify Early Noise Night #17」をSpotify O-EAST(東京・渋谷区)で開催します。AKASAKI、Billyrrom、ブランデー戦記、レトロリロンの4組の他、出演アーティストは今後も追加されていく予定です。ライブの前売り券はイープラスで販売中。イベントに連動するプレイリスト「Early Noise Night #17」では、出演アーティストの楽曲をライブに先駆けてお楽しみいただけます。

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<イベント情報>

『Spotify Early Noise Night #17』

日時:2025年 3月 19日(水)開場17:30/開演 18:30

会場:Spotify O-EAST(東京都渋谷区道玄坂2丁目14-8)

出演:(50音順)AKASAKI / Billyrrom / ブランデー戦記 / レトロリロン / and more!

料金:前売券 ¥3,000-(税込 / スタンディング / 整理番号付)

※入場料の他に別途1ドリンク代が必要

チケット販売:イープラス https://eplus.jp/enn/

注意事項:出演者のキャンセル・変更によるチケットの払い戻しはいたしません。未就学児童の入場は出来ません。

お問い合わせ先:クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669

「RADAR: Early Noise 2025」コーナー:http://spoti.fi/EarlyNoiseHub

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Aisho Nakajima、「PRIDE CODE」に参加して “昔の自分”のためにもLGBTQ+コミュニティの声を届けていく

Aisho Nakajimaインタビュー写真

 Spotifyでは、朝日新聞ポッドキャストとともにLGBTQ+コミュニティの多様な声をお届けするプロジェクト「PRIDE CODE」をスタートしました。4月12日に公開された同名のポッドキャスト特別番組には、「This Hell (feat. CHANMINA – Gyarupi Remix – Spotify Singles)」でコラボレーションを果たしたリナ・サワヤマとちゃんみな、東京を拠点に活動するクィアアーティスト・Aisho Nakajimaなどが出演し、すべての人が誇りを持って生きられる社会を実現するために自身の思いやエピソードを語っています。

 今回はAisho Nakajimaへ単独インタビューを行い、「PRIDE CODE」に対する思いやアジア最大級のLGBTQ+イベント『東京レインボープライド2024』への参加、パフォーマンス披露などについて語っていただきました。

自分の居場所を探している人はたくさんいる

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——Spotifyが朝日新聞ポッドキャストとともに立ち上げたプロジェクト「PRIDE CODE」の特別番組に出演した感想をお聞かせください。

Aisho:いろいろな話をさせていただきました。自分自身の育ちのことから、カミングアウトの話、楽曲制作や新曲、今後のことも含めて。あっという間だったし、楽しかったですね。「PRIDE CODE」のテーマ(LGBTQ+コミュニティの多様な声を届けることを推進する)はとても大事だと思うし、それこそ自分の居場所を探している人ってたくさんいると思うんですよ。特にクィアの若い子たちはいろいろ悩んでいるだろうし、それは自分も通ってきた道だからよくわかるんです。その子たちがこういうプロジェクトを知ることで、もっと自分に自信を持てたらいいなと思います。

 曲を作っていると「昔の自分のためにやっているんだな」とすごく思うんですよ。小さい頃の自分を癒すためというか、当時の自分が聴きたかった曲、見たかったものを作っているんだなって。自分が中学生の頃、クィアのアーティストはぜんぜん目に入ってこなかったし、アジア人のクィアアーティストはまったく見たことがなかったです。J-POPのメジャーシーンを眺めながら「音楽をやるためには、こうならないといけないんだな」と思っていたんですよ。自分は人と違うと感じていたから、音楽はやりたかったけど「こんなふうにはなれない。絶対無理だな」って。自信もなかったし、「音楽をやりたい」なんて言えなかった。実際、音楽を始めたのも数年前なので。

——今は音楽活動がAishoさん自身の居場所になっているのでは?

Aisho:どうなんでしょう。まだしっくり来ている感じではないのかなと思ったりもします。家族みたいな友達はたくさんいるし、そういう人達と一緒のときは自然な自分でいられるんですけどね。ただ、人間は変わっていくじゃないですか。都会の生活にストレスを感じることもあるし、いろんな場所を見て、安心できるところを見つけたいと思っています。音楽に関しては、僕の曲を聴いたり、MVを見てくれた人がちょっと安心して、「自分はこのままでいいんだ」と思ってくれたら十分というか。一人でも刺さったらいいなと思っています。

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——Aishoさんとともに「PRIDE CODE」に参加されたリナ・サワヤマさん、ちゃんみなさんのコラボレーション楽曲「This Hell (feat. CHANMINA – Gyarupi Remix – Spotify Singles)」についても聞かせてください。リナ・サワヤマさんがLGBTQ+コミュニティのアンセムとして発表した「This Hell」に、ちゃんみなさんが新たにリリックを書き下ろしてリミックスした楽曲です。

Aisho:すごくカッコいいし、めっちゃアゲでした! リミックスは想像を超えるようなものであるべきだと思っているんですけど、「リミックスはこうでなきゃ」という曲になっていて。リナ・サワヤマさんは僕が彼女の「XS」をカバーしたときにSNSでちょっとやり取りをして。「This Hell」の歌詞も大好きです。昔からあった“クィアは地獄に行く”という言説に対して、この曲には「地獄に落ちたとしても、そこにクィアのコミュニティがあれば楽しいはず」というメッセージが込められていて。ちゃんみなさんのラップもすごくいいですね。ちゃんみなさんは「美人」を聴いてすごく好きになりました。自分がやりたいことをやっているし、本当の自分をさらけ出しているなって。自分のルーツを大事にしているのもいいですよね。『東京レインボープライド』で会えるのも楽しみです。

——『東京レインボープライド2024』は4月19日から21日まで東京・代々木公園で開催。Aishoさんは21日に出演してパフォーマンスを披露されます。このイベントに参加する意義についてどう思われますか。

Aisho:音楽制作の話とまったく同じで、昔の自分のためにやっているんだなと思います。音楽活動を始めて4年になりますが、アーティストとしての自分のことがやっとわかってきたというか。『東京レインボープライド』は音楽が好きな人たちだけが集まるイベントではないですよね。「同性婚」や「イクオリティ」など、しっかりとメッセージを訴えるイベントで自分がパフォーマンスすることはとても意味があると思っています。僕の音楽を伝えたいというより、『東京レインボープライド』のテーマや自分が活動している理由を感じてもらえたらすごくうれしいですね。自分のステージは、もちろん爆アゲです!

アリアナ・グランデ、XG…Spotifyで聴く音楽からのインスパイア

Aisho Nakajimaインタビュー写真

——2024年に入ってからはYohji Igarashiさんとのコラボレーション楽曲「Gangbang」、そして“有害な恋愛”の経験を描いた春のラブソング「Made him cry」をリリース。ここにきて音楽活動が活性化していますね。

Aisho:昨年は1曲もリリースできなかったので、今年はたくさん楽曲を発表したいと思っています。ジャンルの枠みたいなものは考えず、自分が好きなものをどんどん作っていこうかなと。ライブも増えていますね。僕のパフォーマンスを見たことがある人とない人では反応が違うというか、“初めまして”の方にはかなり衝撃みたいです。SNSのDMなどでいろいろな感想をいただけるのもうれしいですね。楽曲制作と同じで、ステージでも自分が好きなことをやっているだけなんですけどね。

——Aishoさんご自身も音楽やカルチャーからいろいろな影響を受けていると思います。以前から「いちばん好きなのはアリアナ・グランデ」だと公言しています。

Aisho:大好きです! 音楽は目に見えないけれど、アリアナの曲はストラクチャーがはっきりしていて、触れられるような感じがするんです。そういう感覚はアリアナ以外では味わえない。“声自体が楽器”というイメージにもすごくインスパイアされています。アカペラバージョンなども聴いて、バックボーカルの入れ方やパンの振り方も参考にしていて。自分の楽曲制作においても、いろいろな面で影響を受けていると思います。特にバラードは「アリアナの曲を聴いていなかったら、こういう作り方はしていないだろうな」と思うほどです。もちろん歌詞も好きです。恋愛が軸になっていると思うのですが、すごく共感できますね。

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——アリアナ以外では、どんなアーティストにフィールしているのですか?

Aisho:いろいろ聴いていますけど、「いいな」と思ったら、その曲ばかり聴いてしまうんですよ。以前からSpotifyを使っていて、いろいろなプレイリストをチェックして好きな曲を見つけると一生聴いちゃう(笑)。チャーリー・XCXも好きだし、トロイ・シヴァンの新作(『Something To Give Each Other』)、ビヨンセの新しいアルバム(『COWBOY CARTER』)もすごくよかった。ここ1〜2年はK-POPもよく聴いています。もともと少女時代やKARAが大好きだったんですけど、その後、離れていた時期があって。BLACKPINKやTWICEをきっかけに、いろんなグループの曲を聴くようになりました。K-POPに限らず、ガールズグループが大好きなんですよ。Fifth HarmonyとかLittle Mixとか。最近だとXGにもハマっています。デビューまでの様子を収めたドキュメンタリーも見たのですが、みんな本当に頑張ってきたんだなと思って、さらに応援したくなって。もちろん音楽もダンスもビジュアルも大好きです。

——Aishoさんがガールズグループに惹かれる理由は何だと思いますか?

Aisho:自分でもよくわからないですね。前世、ガールズグループに入っていたのか、それとも来世の準備をしているのか(笑)。XGに関して言えば、メンバー同士の絆が感じられるのもすごくよくて。さきほどもお話したように、自分は昔からコミュニティを求めていたんです。自分に当てはまる場所が見つからなかったし、何かのコミュニティだったり、絆で結ばれている人たちを見るだけでホッとするんですよね。

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ryuchellにかぐや様は告らせたい……この春聴きたいSpotifyのポッドキャスト番組

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Spotifyでは、アニメやお笑い、トーク、オーディオドラマ、ニュースなど、あらゆるジャンルのオリジナルポッドキャストを展開しており、リスナーは、興味や気分によって様々な番組をお楽しみいただけます。

本記事ではこの春おすすめしたいSpotifyオリジナル&独占配信ポッドキャスト番組を5つご紹介します。

(1)『Spotify ANIZONE – アニゾーン』

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『Spotify ANIZONE – アニゾーン』はアニメ作品を毎月1つ特集するアニメ特化型トーク番組です。各作品に出演した声優が月替りでパーソナリティを務め、ゲストである声優仲間や制作関係者と作品を掘り下げています。

例えば、『チェンソーマン』#4では、主人公のデンジ役の戸谷菊之介さんと早川アキ役の坂田将吾さんが登場。公安対魔特異4課の先輩・後輩かつ同居人でもあるという役柄に負けない、息の合った掛け合いを披露しました。「デンジとアキにプレゼントをあげるならどんなもの?」という質問に対して、貧しいデンジには「七面鳥を食べさせてあげたい」、デンジやパワーの父親のような側面を持つアキには「調理家電とか食洗機かな」と返答するなど、演じたキャラクターへの理解度の高さが垣間見えます。

各作品の人気キャラクターを務める声優陣や制作者が、作品の魅力や舞台裏をお伝えする同番組。自身のお気に入りのアニメ作品から聴き始めてみても良いかもしれません。

(2)『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ スペシャルドラマ』

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Spotifyでは、人気TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』シリーズの未映像化エピソードをスペシャルドラマとしてポッドキャストで配信しています。

将来を嘱望された秀才達の集う名門校・秀知院学園の生徒会を舞台に、巨大財閥『四宮グループ』の令嬢かつ才色兼備な副会長の四宮かぐやと、生徒会長で学年1位の成績を誇る会長の白銀御行の二人の天才の恋愛を描いています。お互いに高すぎるプライドが邪魔をし、素直になれない二人は、自分から告白することを「負け」と捉え、どう相手に告白させるかを勝負するのが本作の魅力です。EP01「ババ抜きをさせたい」では、「勝者は敗者になんでも一つお願いごとができる」というルールを設けた勝負が開幕。シンプルなゲームにも関わらず、お互いのブラフやマーキングが炸裂したことにより、高度な心理戦が展開されています。

10分程度の短尺かつギャグ要素が豊富なため、隙間時間でもお楽しみいただけます。

https://open.spotify.com/episode/3v1j9fCTk5lHjQEKgm9f1f?si=83a99093546e42cd

(3)『ryuchellの眠れぬオトナの寝かしつけ』

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『ryuchellの眠れぬオトナの寝かしつけ』は、リスナーから届くお悩み相談に対して、ryuchellさんが夜の隙間を埋めるように答えていく番組です。

10代から業界の厳しい環境に身を投じ、長期的に活躍し続ける、ryuchellさんの織りなす言葉にも注目。まるで自分に語りかけてくれているかのようなポッドキャストならではの距離の近さにも注目ください。

(4)『奇奇怪怪明解事典』

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『奇奇怪怪明解事典』は、ラッパーのTaiTanさんと音楽家の玉置周啓さんが、日々を薄く支配する言葉の謎やカルチャー、社会現象を強引に面白がる番組です。

アメリカのレーベルと契約するなど話題の尽きない音楽ユニット「Dos Monos」のMC担当であるTaiTanさんの才能が垣間見える同番組。雑談ベースではあるものの、論理立てて会話を展開し、突飛な結論に着地する様はさながら創作活動のようです。馴染みの深いモノ・コトに関する話題も多く展開されており、幅広いリスナーにもお楽しみいただける番組となっています。

(5)『真夜中のテレフォン』

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『真夜中のテレフォン』では出演した芸人が、親友や昔の恋人、バイト先の店長など、「今話したい人」に電話をかけるところから始まる番組です。他愛もない話から伝えられなかったあの時の気持ちまで、普段聴くことのできないプライベートな会話に耳を傾けられます。

番組では絶妙な距離感の人に連絡することで普段と異なる表情が垣間見えます。令和ロマンの髙比良くるまは、高校時代のラグビー部の顧問の先生に連絡。常にひょうひょうとしている彼が、腰を低くして先生と話す姿などファンも知らない新たな一面を知ることができます。

新生活の季節、新しいお気に入りのポッドキャスト番組と一緒に毎日の生活を自分らしく、楽しく過ごしてください。

テレビ局とポッドキャストのタッグによって生まれる「新たな化学反応」。バラエティやドキュメンタリー、ドラマなどから派生した音声番組を紹介

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 Spotifyでは、テレビ局と連動し、音声だからこそ表現でき、さまざまな人が楽しめるポッドキャスト番組の制作・独占配信を行っております。今回はその中から、特徴的な取り組みの一部をご紹介していきます。

テレビ東京の音声レーベル「ウラトウ」とのコラボレーション

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 「食べることは生きること」をコンセプトに、食事を通して人々の生き方や人生観を知る地上波の人気ドキュメンタリー番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の音声版として、上出遼平プロデューサーとともに新たに立ち上げた『ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision』は、カメラを持っては入れない世界にマイクのみで潜入し、顔を出さない音声だからこそ可能な密着取材によって、そこで生きる人の日常や本音に臨場感を持って迫るヒューマンドキュメンタリーです。

 この取り組みを一緒におこなったテレビ東京コミュニケーションズのコンテンツレーベル「ウラトウ」からは、ほかにも、漫才師の新ネタができるまでの様子を日記形式の音声で届ける『ウラモノ漫才ダイアリー』や、芸人扮する化け物がゲストとして登場する架空のラジオ番組を舞台にしたコント『化け物RADIO』もSpotify独占配信を行なっています。

NHKの人気番組のスピンオフとなるポッドキャストをSpotifyで独占配信

 ドキュメンタリーからエンターテインメントまでNHKの多彩な番組を数多く手がけてきた株式会社NHKエンタープライズと、Eテレの教育、教養、実用番組を中心に制作を行う株式会社NHKエデュケーショナルが新たに制作するオリジナルのポッドキャスト5番組の独占配信もスタートしています。

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 人気ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げた、各分野のプロフェッショナルたちのその後を追った『その後のプロフェッショナル 仕事の流儀』、ひとつの場所を3日間定点観測し、行き交う人たちの人生模様を描く「ドキュメント72時間」の制作スタッフや番組ファンを公言する著名人・ナレーションを担当した俳優などが「神回」について語り尽くす『聴くドキュメント72時間』、未就学児向けの包括的な性教育をテーマにしたアニメーション番組「アイラブみー」を満島ひかりの声のみで届けるとともに、番組プロデューサーが性教育や自己肯定感、子育ての悩みなどについて専門家にたずねる『おとなのためのアイラブみー』、世界の「びじゅつ」を歌とアニメで紹介する「びじゅチューン!」の楽曲制作エピソードを紹介する『井上涼のびじゅチューン!アワー』、「ねほりんぱほりん」の制作スタッフが、番組内での山里亮太さんとYOUさんのトークを振り返りながら番組制作にかける思いを語る『ねほりんぱほりん を ねほりはほり』が配信され、話題を呼んでいます。

ドラマと連動したオリジナルポッドキャスト

 テレビドラマとの連動においても、ポッドキャストは相性の良さを発揮します。

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 Spotifyがポッドキャストを通して地上波ドラマと初めて連動したのは、2021年夏に放送されたテレビ東京のドラマ『お耳に合いましたら。』とでした。同番組では、伊藤万理華さん演じる高村美園がポッドキャスト番組のパーソナリティとしての成長する姿を描いていますが、その美園がドラマ内で愛聴しているのが氷川きよしさんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組『kiiのおかえりごはん』。Spotifyでは実際に同番組を制作・配信し、ドラマのなかのコンテンツを現実のものとして提供しました。『kiiのおかえりごはん』はASMRなども取り入れながら、料理好きで知られる氷川きよしさんのくつろいだおしゃべりと料理をつくる様子を楽しめる料理トーク番組で、そのコンセプトの新しさや、まるで氷川きよしさんの自宅に招かれたようなアットホームな雰囲気で、番組自体も話題になりました。

また昨年秋に放送されたドラマ『真相は耳の中』(毎週金曜深夜 0時52分~1時23分)と連動したミステリーポッドキャスト『真相は耳の中』もSpotifyで独占配信しています。

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  本番組は、ドラマの主人公となる伊原剛志さん演じる“捜査能力ゼロ”の崖っぷち刑事の娘として登場する、筒井あやめさん演じる推理オタクな女子高校生「芽依」が、ミステリーの面白さや謎解きの醍醐味を、ミステリー小説などでよく見られるトリックや鍵となるアイテムなどを題材に、気ままにかつマニアックに語るトーク番組となっています。若くしてアニメ「名探偵コナン」の脚本家になったことで知られる能塚裕喜さんが脚本を手掛け、本格的なミステリー好きにも聴き応えのある内容に仕上がりました。

 ドラマでは、刑事である主人公が娘がパーソナリティを務めていることに気づかずに、このポッドキャストを頼りに難事件を解決していく様子が描かれたり、ポッドキャストではドラマの登場人物だけでなく、ドラマでは描かれなかったリスナーからのお便りが紹介されるなどのアナザーストーリーが存在し、フィクションであるドラマと実在するポッドキャストの連動から生まれる新しいエンタテインメント体験を楽しむことができます。

 Spotifyはこれからもテレビ局をはじめ様々なパートナーと共に、音声ならではのユニークなエンタテインメント体験をお届けする取り組みを行っていきますので、お楽しみにしてください。

クリエイターたちが伝える“ポッドキャストの魅力とノウハウ” 『Spotify Creator Day Tokyo 2022』レポート

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  11月14日、Spotifyは世界各地で大きなムーブメントを起こしているポッドキャストの魅力や、番組制作に関するノウハウなどを紹介するイベント「Spotify Creator Day Tokyo 2022(以下、Creator Day)」を国内で初めて開催し、会場となったWITH HARAJUKU HALL(東京・渋谷区)には、SNSや動画共有サービスを中心に活動するクリエイター約150名が集いました。

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 アメリカでは職場や学校での会話の中や、人気ドラマのストーリーなどにも頻繁に登場し、いまや3人に1人以上が日常的に聴いているというポッドキャスト。国内でも叶姉妹さんやkemioさん、渡辺直美さん、あのさん、ryuchellさんなどがこの新しいカルチャーの波をキャッチし、新たな発信の場としていち早くSpotify上でポッドキャストに挑戦しています。彼らは音声という親密なコミュニケーション方法によって、これまであまり見せてこなかった一面を表現し、従来のファンとの絆を深めるとともに、新たなファン層を広げています。日本でも音声に対する注目が急速に高まる中、本イベントではポッドキャストの可能性やAnchorを活用した制作・配信方法などについて、先行してポッドキャストに取り組んできたクリエイターたちをゲストに招き、紹介していきました。

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 YouTubeで登録者数47万人を誇る岡田康太さんは、ポッドキャストで発信を始めたことで、YouTubeチャンネル「岡田を追え!」とはまた違ったファン層を開拓できたといいます。YouTubeでは90%が男性だが、ポッドキャストでは女性のリスナー層が広がったということでした。

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 さらに、ポッドキャストでは自分の思いをより深く語れることから誤解を与えにくいため、ファンとの結びつきをより強いものにすることができるという話も明かされました。こうしてファンとの関係性を強固にできたことによって、グッズ展開やCM出演が決まるなど岡田さんの活動の幅はさらに広がったといいます。

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 TikTokでフォロワーの多い大賀咲希さん、こまち監督さんも同じようにポッドキャストを活用してファンとの交流を深めています。ふたりは配信にAnchorを使用しており、その操作の簡便さゆえに自分で編集・投稿することができていると話していました。AnchorにはBGMを追加すると、音声と被る部分では自動でBGMの音量が調整されるなどの機能もあり、音声編集の経験がなくても簡単にBGMやジングルをつけたポッドキャストを配信できることを利点として挙げています。

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 さらに音源の編集なども気軽にアプリ上で行えるため、これからポッドキャスト配信をしてみたいという人にもおすすめ。Anchor上で編集したポッドキャストデータは、Spotifyなどをはじめ、さまざまなプラットフォームで公開できます。

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 ポッドキャストに挑戦してみたいけど、どのようにして始めたらいいかわからない人は、まずはAnchorを利用してみることをオススメします。聴くだけでなく発信者になることで新たな世界がひらけるポッドキャスト。いまあなたの頭の中にあるアイデアも、多くの人に愛されるコンテンツになるかもしれません。

『その後のプロフェッショナル 仕事の流儀』など、NHKエンタープライズとSpotifyの取り組みから考える“音声コンテンツの可能性” 末次徹×住吉美紀×西ちえこ鼎談

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 Spotifyは9月21日、ドキュメンタリーからエンターテインメントまでNHKの多彩な番組を数多く手がけてきた株式会社NHKエンタープライズと、Eテレの教育・教養・実用番組を中心に制作を行う株式会社NHKエデュケーショナルが新たに制作するオリジナルのポッドキャスト5番組の独占配信を開始しました。

 今回はその5番組から、人気ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げた、各分野のプロフェッショナルたちのその後を追った『その後のプロフェッショナル 仕事の流儀』にフォーカスを当て、パーソナリティを務めるフリーアナウンサーの住吉美紀さん、番組を手掛けるNHKエンタープライズ シニア・プロデューサーの末次徹さんと、スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括の西ちえこにインタビュー。この大きな取り組みが生まれた経緯や、番組の反響などについて聞いていきました。

教育系コンテンツのトップランナーがポッドキャストに展開

ーー今回のプロジェクトが始動した経緯を教えてください。

Spotify 西ちえこ(以下、西):今年の春先ぐらいにNHKさんの方から、「なにかコラボできませんか?」とお声がけいただいたところから始まりました。Spotifyとコラボしてくださるなんて、と光栄だった一方で、番組作りのハードルが高そうだなとも思いました。でもNHKさんは、最初から明確に「テレビだけではリーチできないオーディエンスへリーチすること」をビジョンに掲げられていたので、こちらも提案がしやすくて、プロジェクトはスムーズに楽しく進行できました。

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スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこ

ーーNHKさんとの取り組みには、どのような狙いがありますか?

西:ポッドキャストは、学習系・教育系コンテンツと相性がいいので、Spotifyとしても同ジャンルを強化していきたいと考えていたところ、NHKさん(NHKエデュケーショナルさん、NHKエンタープライズさん)にお声がけいただいたので、心強いパートナーが現れたなと思いました。さらに、Spotify用の番組を企画してくださるのかと思っていたら、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(以下、『プロフェッショナル』)というすでに多くの支持を得ている番組をポッドキャストで展開したいと提案してくださったので驚きましたし、うれしかったですね。既存の『プロフェッショナル』ファンの方はもちろん、まだ番組を見たことがない方にもポッドキャストを聞いていただき、テレビ番組の『プロフェッショナル』にも興味をもっていただくといったサイクルを作れたらと思います。

ーーこの提案には、末次さんも携わられていたのでしょうか?

NHKエンタープライズ 末次徹(以下、末次):僕は途中からこのプロジェクトに加わった形で、今年の夏まではテレビ版『プロフェッショナル』のプロデューサーをしていたんです。そんなときにたまたまこのプロジェクトの担当プロデューサーから、『プロフェッショナル』のスピンオフをポッドキャスト番組として制作できないか、と相談を受けました。テレビだけではリーチできない層もいますし、今後は様々なメディアを駆使してコンテンツを発信していくべきだと考えていたので、ぜひやりましょう、と返事をしました。

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NHKエンタープライズ 末次徹さん

ーー住吉さんは、この話を受けたとき、どう思いましたか?

住吉美紀(以下、住吉):企画アイデアについて聞いてすぐ、私が30代、40代でやってきたことの総決算だ、と運命を感じましたね。『プロフェッショナル』は私の人生を変えた大事な番組ですし、スタッフとも家族のように付き合っていました。私はNHKを離れていましたが、今一度大好きな人たちとこうして別の形で仕事をするチャンスが巡ってくるなんて、と鳥肌が立つような思いでした。しかも、この10年ラジオとガッツリ向き合ってきて、音声メディアやポッドキャストの強みや可能性をヒシヒシと感じていました。なので、このプロジェクトに「興味ありますか?」と声をかけられたとき、「めちゃくちゃある!!」と飛びつきました。

 実際に番組を制作するにあたっては、私が今まで培ってきた人間関係と、この10年間でラジオ番組から得た知見を大いに活かすことができました。より良い番組にするためゼロから議論しながら作ったので、無事に配信ができたときは個人的にも本当に感慨深かったです。多くの方にぜひ聞いていただきたいです。

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住吉美紀さん

ーー西さんは、実際に完成した番組を聞いてみて、どう感じましたか?

西:住吉さんの熱量がとても感じられて、なにかすごいものが出来上がったぞ、とワクワクしました。ゲストの方と住吉さんとの信頼関係や親密さが、声を通して感じられるんですよ。冒頭を少し聞いてみただけでも、とてもいい番組になったという手応えがありました。

ときに映像以上の力をもつ、音声コンテンツの可能性

ーーこれまで映像メディアに携わってきた末次さんは、音声プラットフォームであるSpotifyさんにどのような印象を抱いていましたか?

末次:ニュースや新聞でSpotifyさんの名前を目にする機会が多いですし、音声コンテンツのトッププラットフォーマーというイメージでした。スウェーデン発のサービスであることも知っていたので、生き方が上手でかっこいい北欧の人たちが作った、優秀なプラットフォームなのだろうなと。実際に利用してみても、使いやすくてユーザーフレンドリーで、よくできていると感じました。

 ただ正直に言うと、今回のプロジェクトに参加する前までは、音声コンテンツにはあまり詳しくありませんでした。僕はテレビ局の人間なので、どうしても「コンテンツ=映像」の認識が強くて。でもプロジェクトを進めるうちに、音声コンテンツの奥深さや柔軟性に気づいて、興味をもつようになりました。視覚的情報がないからこそ、話し手の言葉が耳に入ってきやすいですし、自分の脳内で映像を思い浮かべて楽しむこともできます。あとは映像コンテンツだと、ストーリーはおもしろくてもそれに使える映像がないと成り立たないですが、音声であればストーリーだけでよくて、映像の縛りがないのもいいなと思います。

ーー住吉さんはいかがでしょうか?

住吉:前にSpotifyさんが制作されているポッドキャスト番組にゲスト出演させていただいたり、プレイリスト作りに参加したりしたこともありまして、すごく柔軟なサービスだという印象がありますね。私はラジオを長くやっていたので親近感がありますし、今どんなコンテンツが流行っているのかを知るのに参考にさせてもらっています。ただ音楽サービスの印象が強かったので、ここまでポッドキャストに力を入れていることは、今回のプロジェクトを進めるうえでの新たな発見でした。

ーー住吉さんは、映像・音声メディアの両方で活躍されていますが、両者の違いをどのように感じられていますか?

住吉:音声と映像だと、ずいぶんと役割や得意としていることが違います。テレビは映像ありきで物事が進みますし、画の強さがありますね。百聞は一見に如かずと言うように、一瞬で理解ができるし、一瞬で心惹かれて釘付けになることもあります。対して音声は、目に見えないものに訴求する力がとても強いです。気持ち、言葉、声など、目に見えないけれども私たちにとって価値があるものや、大切なものにリーチすることができます。使い方によっては映像以上の力を持って届くと感じているので、このパワーを活かすべきだと、番組の制作チームにお伝えしました。

 それに音声だけだと、本音かどうか、どういう気持ちやテンションで発言しているかが、意外にも映像よりもつぶさに伝わるんですよ。もし上辺だけで話をしていればそれはリスナーにバレるので、出演者はすべてを晒す覚悟で臨まないとダメですね。でもその覚悟さえできれば、リスナーと深く繋がれるし、信頼関係がはぐくめます。

ーー今回、ポッドキャストの『その後のプロフェッショナル』を聞いてみて、音声にはこんなに説得力があるのかと改めて実感しました。

住吉:収録スタイルにも大きな違いがあるんですよ。テレビの『プロフェッショナル』のスタジオは、まるで宇宙の中心に私たちだけ、というような非日常的な雰囲気でして、現場は良い意味で緊張感に包まれていました。一方でポッドキャストの方はもっとシンプルで、カメラや照明はなく目の前にマイクがあるのみ。ちょっと話が盛り上がってくると、収録だと忘れるくらいに素が出るんです。素の状態で話してもらうことで、人柄がにじみ出て、ここだけの話が飛び出たり、説得力が増したり。それは音声メディアの強みだと思います。

末次:『プロフェッショナル』のスタジオ収録はスイッチオンの状態でしたが、ポッドキャストでは完全にオフのままで進行しています。「スイッチを入れすぎないでください」とお願いするくらいに。その気張らないスタンスは、今の時代に合っているとも思いますね。

激動の時代だからこそ、リスナーの心に寄り添う番組作りを意識

ーー15年の時を経て、コロナ禍を含めさまざまな困難を乗り越えたプロフェッショナルたちの話は、とても興味深かったです。

住吉:15年という期間は、本当に絶妙だと思ってます。5年だとあまり変わっていないこともあるし、20年を超えると引退される方も出てきますから。15年の間にそれぞれいろんな人生の変化や事件があったり、いろんなことを経験されたりしていて、その話を聞いてるだけでもおもしろいのは、さすが『プロフェッショナル』の皆さんですね。その期間にはもちろんコロナ禍という、人類みんなが体験した困難も含まれているので、プロフェッショナルの方々はそこをどう過ごして何を考えたか、興味深いです。今この時期に番組が実現したのは、素晴らしいタイミングだと思います。

 今回ゲストの皆さんと再会するにあたって、当時の映像を見直したのですが、昔の自分は見た目だけでなく中身も若くて衝撃的でした。私も少しは成長できているなと感じましたね。あのとき聞きたかったことと、今聞きたいことが違っていたりするんです。それに当時は聞き手に徹していましたが、今は私も相手に伝えたいことがあるので、「自分はこう思うけど、あなたはどう思いますか?」という聞き方に変わりました。リスナーの皆さんには、自分もその場にいて会話を聞いている感覚を味わってほしいので、一方的なインタビューではなく、対談形式となるよう心がけています。

ーー音声コンテンツとしては、ゲストの方が一方的に話されるよりも、対談形式の方が聞き心地がいい気がしますね。番組への反響はいかがですか?

西:視聴時間が長いことが『プロフェッショナル』の特徴ですね。コンテンツが最初から最後まで聞かれた割合を意味する「聴取完了率」というものがあって、私たちはこれを「コンテンツクオリティ」と呼んでいます。クオリティが高いコンテンツは、離脱率が低いですね。多くの番組では、この数字をどう改善するかを議論することが多い中、『プロフェッショナル』の場合は最初から高いんです。良質なコンテンツとはこういうことなんだと示す良い例となりました。

 ビジネス面で言えば、テレビ局さんからのお問い合わせが増えました。まだ本格的に音声コンテンツに乗り出せていない番組さんや、ニュースの配信のみとなっている番組さんなど、悩まれている方たちから多くのメールをいただいています。

住吉:すごい、嬉しい!

末次:嬉しいですね。僕の方もいろんな番組の知り合いから、「自分たちの番組でもSpotifyさんとポッドキャストをやりたい」と相談されることが増えました。僕が今すぐどうにかできることではないので、あとで相談させてください(笑)

ーー住吉さんは、番組への反響を感じられることはありますか?

住吉:私もSNSなどで、すごく熱量の高い感想をいただくことがあります。「ちょうど同じことで悩んでいたので参考になりました」、「働く元気が出ました」とかって言っていただけてありがたいです。ただ本当は、もう少し反響がほしいところです。今の時代にはたくさんのコンテンツがありますから、その中で埋もれないよう、認知を拡大していかないといけないと感じています。聞いていただければ、おもしろいと思っていただける自信はあるんですけどね。

末次:僕も同じように、聞いてくださった方からの評判はすごくいいと感じています。その中で印象的なことが2つありました。1つは、「ながら視聴」がポッドキャスト・音声コンテンツの大きな強みだということ。ランニングや家事をしながらでも聞くことができるのは、映像コンテンツにはない良さですね。

 もう1つは、仕事や人生にフォーカスしたコンテンツへの興味が、皆さんの中で強まっていると感じたことです。コロナ禍などもあって先行き不透明な世の中において、どう働くべきか、どう生きていくべきかといった価値観がゆらいでいるんですよね。従来のモデルがなくなってきている中で、プロフェッショナルな方たちが十数年で体験してきた変化や苦労の話は、リスナーにとってすごく価値があるようです。多くの人が生き方についてより真剣に考えている現代だからこそ、この番組を制作する意義があると思っています。

住吉:15年の間にどん底を経験してる方もたくさんいました。そこから地道にコツコツ努力を重ねて、別の道を切り開いたなんて方も。一見完璧に見える方でも実は大変な目にあっていて、それでもなんとか生きているとわかると、少しほっとするんじゃないかな。『その後のプロフェッショナル』は、向上心の強い方向けの番組という印象があるかもしれませんが、そんなことはなく、いろんな人生があっていいと思える要素もたくさんありますので、どなたでもお気軽に聞いていただけたらうれしいです。

ーーテレビ番組の『プロフェッショナル』は、超一流の生き様をかっこよく見せて、視聴者のモチベーションを高めるような番組作りでしたが、ポッドキャストでは優しく背中を押すような構成になっていますね。

住吉:作っている私たちの意識も変化していますからね。「人生100年時代」とも言われる今の時代には、1つの仕事を死ぬまで続ける人は少ないですし、90歳まで働くようになるかもしれないなど、仕事観の変化はつねに頭にあります。ゲストとお話をする際も、リスナーにとって何かしらヒントや学びとなる話が引き出せるよう意識していますから、その点でテレビ番組との違いが出てきますね。

末次:タイトルには「仕事の流儀」と入っていますが、仕事だけではなく、人生の方にも触れるように意識していますね。人生の紆余曲折や、挫折エピソードなどが聞けるといいなと。

住吉:そうすると「実はこの仕事嫌いだったんだよね」といった本音が、本当にたくさん出てくるんですよ。プロフェッショナルの皆さんも、かっこいい時間ばかりではないんです。みんなもがきながらも、少しでも幸せに近づけるように生きていると感じていただけると思います。

Spotifyで人気エンタメ作品を楽しみ尽くす!オーディオストリーミングサービスの強みを活かした新たなリスニング体験とは?

Spotify 新たなオーディオコンテンツ

 Spotifyでは、オーディオストリーミングサービスとしての強みを活かしたオリジナルコンテンツを通じて、お気に入りのアーティストやエンターテインメント作品をより深く様々な角度からお楽しみいただけるような体験をユーザーに提案しています。今回はその中から人気アニメ・漫画作品の楽しみ方を広げるオーディオコンテンツの取り組みの一部をご紹介していきます。

音楽や音声・映像などを組み合わせたマルチコンテンツプレイリスト『ONE PIECE FILM RED』

 『ONE PIECE FILM RED』は、シリーズ初登場となるキャラクター・歌姫ウタのコンサートをきっかけに、海賊や海軍などさまざまな勢力が入り乱れての戦いが勃発。赤髪のシャンクスの登場や、ウタに隠された悲しい過去にも注目が集まっています。同作ではウタの“歌”が重要な鍵となっており、中田ヤスタカ、Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、秦 基博など多彩なアーティストが提供した楽曲が物語を彩っています。Spotifyでは映画『ONE PIECE FILM RED』の公開を記念して、『ONE PIECE』シリーズの歴代関連楽曲を集めたプレイリストをバージョンアップ。多様なエンターテインメントによって楽曲と共に『ONE PIECE FILM RED』の世界を楽しむことができる、マルチコンテンツプラットフォームへと進化しました。

 人気アーティスト・Adoが主題歌を務めたほか、新キャラクター・ウタの歌唱を担当していることでも話題を集めている人気アニメ『ONE PIECE』シリーズの映画最新作『ONE PIECE FILM RED』。音声・映像を用いたマルチコンテンツプレイリストでその作品世界を楽しむことができるのは、Spotify独自の取り組みです。

 プレイリストには、きただにひろし「ウィーアー! for the new world」、DREAMS COME TRUE「またね」などシリーズの歴代劇場版主題歌に、『ONE PIECE FILM RED』の主題歌「新時代」や「私は最強」、「逆光」など、ウタが劇中で歌う7曲などが追加されました。これら7曲は、再生中のスマートフォン画面に8秒間のループ動画が表示される「キャンバス」が実装され、ウタのMVの名シーンと共に楽曲を楽しむことができます。また、「ルフィからのスペシャルメッセージ」や、Spotifyオリジナルポッドキャスト「Spotify ANIZONE アニゾーン【ONE PIECE FILM RED】名塚佳織×田中真弓」#1と#2も収録。ウタ役の名塚佳織、ルフィ役の田中真弓による作品の裏話がたっぷり30分収録され、『ONE PIECE』ファンなら必聴の内容です。一部楽曲では映画に関するメッセージをビジュアル映像とテキストで表現した「ストーリーライン」が表示されます。さらに進化したマルチコンテンツプレイリストで、『ONE PIECE FILM RED』の世界をぜひお楽しみください。

コミックを読みながら物語を彩るジャズの名曲を楽しむ Spotify公式プレイリスト「BLUE GIANT EXPLORER」

 シリーズ累計840万部を突破する人気漫画『BLUE GIANT』とコラボレーションしたスペシャルプレイリストが「BLUE GIANT EXPLORER」です。『BLUE GIANT』シリーズは、石塚真一の原作による『ビッグコミック』で連載中の人気漫画。宮城県仙台市に住む高校生の主人公・宮本大がある日ジャズと出会い、サックスプレーヤーを目指して奮闘、世界で活躍するまでを描いた作品です。来年2月17日には劇場版アニメの公開も控えています。

 プレイリスト「BLUE GIANT EXPLORER」では、Cannonball Adderley、Charlie Parker Jr.、Sonny Rollinsなどサックスプレイヤーによる名曲を始め、Art Blakey、Miles Davis、Lee Morganなど、作中で主人公が愛聴するジャズの巨人たちによる名演を楽しむことができます。熱心なジャズファンはもちろんのこと、『BLUE GIANT』を通してジャズに関心を持った方の入門編としても最適で、世代を問わず楽しんでいただくことができます。Spotifyではこれまでにも原作者・石塚氏の選曲による「Blue Giant」や、ライブ音源に特化した「BLUE GIANT SUPREME」といった、ジャズ愛あふれるプレイリストも話題になりました。併せて楽しんでいただければ、ジャズの奥深い魅力により惹かれることでしょう。

制作の舞台裏や劇中音楽についてクリエイターが語る アニメ映画『竜とそばかすの姫』公式プレイリスト

 アニメ映画『竜とそばかすの姫』は、『サマーウォーズ』や『バケモノの子』などのヒットで知られる細田守監督作として、昨年夏に公開され社会現象を巻き起こしました。心を閉ざしていた主人公の女子高生・内藤すずが〈U〉と呼ばれるインターネットの仮想空間で歌姫・ベルとして世界中から注目を集め、竜と出会うことで物語が進展していきます。同作の主題歌「U」は、King Gnuの常田大希率いるmillennium paradeがプロデュースし、すず役の声優を務めたシンガーソングライター・中村佳穂が歌唱を担当。昨年末『第72回NHK紅白歌合戦』にも出場して話題を集めるなど、音楽も人気の作品です。

 Spotifyでは、主題歌、劇中歌、サウンドトラックを網羅したプレイリスト「-BELL- 竜とそばかすの姫」に加え、映画『竜とそばかすの姫』の世界を音楽とトークでお届けする、Music+Talk Spotify Collection「竜とそばかすの姫」を公開しています。プレイリスト「-BELL- 竜とそばかすの姫」では主題歌「U」や「歌よ」「心のそばに」などの劇中歌だけでなく、それらの英語バージョンや各シーンで使用されたインストゥルメンタル楽曲を収録しました。映画のさまざまなシーンが、音楽と共によみがえります。

 また、Music+Talk「竜とそばかすの姫」は、音楽を聴きながらその裏話や制作エピソードを知ることができるというもの。トークパートには音楽監督を務めた岩崎太整、作曲家の坂東祐大とLudvig Forssell、千陽崇之(ミュージックスーパーヴァイザー)といった、映画の音楽面を担ったクリエイター4名が、作品において音楽がどのような役割を果たしたのかなど楽曲解説と共に語っていきます。映画音楽の舞台裏についても語られている貴重な内容で、音楽ファンだけでなく映画ファンにも魅力的なコンテンツです。

『SPY×FAMILY』『呪術廻戦』……人気作品の声優が続々登場!ポッドキャストも充実

 Spotifyには、人気アニメに出演する声優や制作関係者がアニメの裏話などのレアなトークを披露するポッドキャスト番組も充実しています。

「SPY×FAMILY オペレーション〈ポッドキャスト〉」

 10月から放送の第2クールが待ち遠しいアニメ『SPY×FAMILY』と連動したオリジナルポッドキャスト「SPY×FAMILY オペレーション〈ポッドキャスト〉」は、パーソナリティにロイド・フォージャー役の江口拓也を迎え、ゲストの“まだ誰にも見せていない顔”を引き出すことをコンセプトに、さまざまなトークを繰り広げます。

 これまでにアーニャ・フォージャー役の種崎敦美、ヨル・フォージャー役の早見沙織をはじめ、吉野裕行、藤原夏海、加藤英美里などがゲストで登場。またOP主題歌「ミックスナッツ」を歌うOfficial髭男dismの藤原聡・松浦匡希をゲストに迎え、OP主題歌に決まった時のエピソードなどが語られました。アニメ『SPY×FAMILY』の魅力と共に、出演する声優や主題歌アーティストの新たな一面、意外な一面を知ることができます。

「呪術廻戦 じゅじゅとーく」

 原作漫画はシリーズ累計発行部数2,000万部を突破。アニメ『呪術廻戦』と連動したオリジナルポッドキャスト番組「呪術廻戦 じゅじゅとーく」は、主人公・虎杖悠仁役の榎木淳弥をパーソナリティに、多彩なゲストとキャラクターに対する思いやアフレコ現場の裏話などを語り尽くします。

 個性豊かなキャラクターが数多く登場する『呪術廻戦』。これまでに登場したゲストも、五条悟役の中村悠一をはじめ、日笠陽子、日野聡、内田雄馬、内山昂輝、小松未可子、関智一など豪華声優が勢揃い。人気キャラクターにまつわるトークは、アニメファン必聴の内容です。

 また、テレビ放送に合わせて出演キャストがアニメ本編を観ながらトークする、オーディオコメンタリーの配信も人気を博しています。キャストと一緒にアニメを観ているかのような感覚を味わえるのは、この番組ならではでしょう。来年放送の第2期に向けて、予習するもよし、新たにハマるもよし。『呪術廻戦』のさまざまな魅力を再発見することができる番組です。

「Spotify ANIZONE – アニゾーン」

 日本のアニメの魅力をトークでお届けする「Spotify ANIZONE – アニゾーン」。世界からも注目を集める日本の人気アニメを毎月1作品ずつ特集し、各作品の人気キャラクターの声を務める声優をパーソナリティに迎え、作品やキャラクターの魅力についてトークを繰り広げていきます。

 同コンテンツでは、昨年9月のスタート以来『SHAMAN KING』『ソードアート・オンライン』『ブルーピリオド』『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』など毎月多彩な人気アニメを取り上げてきました。今年5月にはヒット映画『五等分の花嫁』をピックアップ。主人公・上杉風太郎役の松岡禎丞をパーソナリティに、五つ子姉妹を演じた竹達彩奈、伊藤美来らがシリーズを通しての裏話を語ったのが好評でした。

 7月には現在第2期放送中の『彼女、お借りします』を特集し、メインヒロイン・水原千鶴役の雨宮天がパーソナリティを務め、8月は公開中の映画『ONE PIECE FILM RED』を特集。ウタ役の名塚佳織がパーソナリティとなり、ルフィ役の田中真弓がウタの歌唱を担当したAdoが歌う楽曲の魅力や、名塚の演技について掘り下げています。今後もどんな作品が取り上げられるのか、聴き逃せません。

世界的コンテンツで映画クオリティの音声エンタテインメントを実現。キーパーソンたちが語る『BATMAN 葬られた真実』制作の裏側

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 Spotifyが5月より配信している、ワーナー・ブラザーズとDCコミックスと連携したオリジナルポッドキャスト番組『BATMAN 葬られた真実』。米国版オリジナル脚本をもとに、日本を含むフランス、ドイツ、イタリア、インド、インドネシア、ブラジル、メキシコの8ヶ国向けにそれぞれの国の制作チームを起用し、その国の文化や言語を反映した形で制作されました。

 今回はスポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括の西ちえこと、日本語版のコンテンツ制作を担当したニッポン放送からビジネス開発局長の節丸雅矛さん、同作を手がけたプロデューサーの勝島康一さんにインタビュー。映画クオリティの音声エンタテインメントを作り上げた過程と、細部に凝らされた工夫について、じっくりと話を伺いました。

ラジオ局は先駆者であり、よきパートナー

――プロジェクトの起点となったのはSpotifyさんとニッポン放送のどちらだったんですか?

西:『BATMAN 葬られた真実』は、2020年にSpotifyとDCコミックス、ワーナーブラザーズが締結した複数年制作パートナーシップからの第一弾として企画されたものです。全世界9カ国で同時展開するなかで、各国がその国の文化や言語にあわせたバージョンを制作することになり、日本版を作るにあたって、弊社がパートナーとしてニッポン放送さんに依頼しました。

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スポティファイジャパン株式会社 音声コンテンツ事業統括 西ちえこ

――Spotifyさんとニッポン放送さんは最近で言うとオールナイトニッポンの独占配信だったり距離がかなり近いように思うんですけど、音声コンテンツを作る側と広げる側としてお互いをどういう風に見てらっしゃいますか?

西:よく「ラジオ局さんは競合なのか」という質問を受けるのですが、我々はラジオ局のみなさんを「日本におけるオーディオコンテンツの先駆者」であり、よきパートナーだと考えています。ニッポン放送の檜原社長が以前、別のインタビューの中で「ストック型のコンテンツとフロー型のコンテンツ」についてお話されているのを拝見しましたが、ポッドキャストの利点の一つであるアーカイブ性を活かして、ラジオ局さん側からも、リアルタイムで放送された番組をアーカイブとして残していくためのひとつのプラットフォームとして活用いただいているという側面が強いように感じます。中でもニッポン放送さんはオリジナルのポッドキャスト番組であったり、自社IPを活用したスピンオフ的な取り組みなど、非常に上手くデジタルコンテンツの展開をしているように見えますし、海外のコンテンツをローカライズすることも業界の中で先んじてトライされているので、今回のような案件において素晴らしい知見をお持ちだと思い、最終的にご一緒することになりました。

節丸:僕は現在の立場になる前は編成局にいたのですが、民放から派遣されてアメリカの『ラジオショー』というコンベンションに行ったとき、当時のアメリカのラジオ界が不況でものすごくどんよりしていたのが印象的で。そのときに現地で「アメリカではPodcastが伸びている」という話も聞いていましたが、日本では儲け方が分からないというか、ビジネスにできないような状況だったんです。でもオーディオアドの仕組みができて、ポッドキャストにCMが打てるとなったときに「これはイケる!」と思い、現在の部署に移った際にポッドキャストを推し進めていこうと決めました。

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ニッポン放送 ビジネス開発局長 節丸雅矛さん

ーー西さんがお話しされたように、ローカライズポッドキャストの事例としてニッポン放送が手がけた『ビジネスウォーズ/BUSINESS WARS』の成功は大きいものだったと思います。こちらを制作した経緯などについても伺えると嬉しいです。

節丸:オリジナルのポッドキャストを制作しようと思ったのですが、いきなり完全オリジナルは怖かったので、まずは英語版のコンテンツをローカライズすることにしたんです。日本向けにということであれば、『任天堂VSソニー』という構図も日本人に分かりやすい『ビジネスウォーズ』だということで第一弾コンテンツとして配信したところ、かなり聴いてもらえたことで、社内での風向きも一気に変わったように思えます。

 そのあとに『オールナイトニッポン』まわりの配信が始まっていったのですが、『オールナイトニッポン』はタレントさんの許諾も必要で、関係各所へ理解を得るまでが大変だったのですが、いざ配信が始まると、Spotifyさんとの相性がすごくよくて、逆に僕らが驚きました。そこからSpotifyさんだったらそういうコンテンツをぐいぐいやるのがいいっていうスタイルが段々できあがったっていう感じですね。

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プロデューサーの勝島康一さん

――そうしてお笑いのコンテンツでも良い結果を残し、このタイミングで『BATMAN』という大きなコンテンツを一緒にやることになったということですね。グローバルのコンテンツを日本語版として展開するというもので、様々な制約もあったかと思います。そのなかで工夫したことや、大変だったことは?

勝島:まずは経緯をお話すると、昨年の9月くらいに初めてこのお話がきたとき、僕の方には何の作品だということは伏せられていて。10月くらいに正式なオファーがきたときに初めて『BATMAN』だとわかり、さらに僕の中では1時間や90分のコンテンツを1本作るのかと思っていたら、30分前後のものを10本ほど作ると聞いて驚きました。

 さらに、本国の脚本があって、音声も音楽もオリジナルで作るということもわかったので、まずは英語の脚本を翻訳していただいて、そこから日本語の脚本を作っていくことをスタートしました。今年の1月に本国から仮の音源が届いたのですが、それをみんなで聴いたときに「これはすごい……」と驚愕させられました。日本でこれまでやってたラジオドラマのレベルはとうに越えていたので、僕ともうひとりのスタッフでやる予定だったものを急遽変更して、優秀なテクニカルチームを3人増やすことにしました。

 ラジオドラマはいろんなところで放送されていたりCDになっていたりしていますが、アニメの声優さんを中心としたものが多くて。僕は他局で15年続いているドラマを担当してきたのですが、そこではアニメ声優さんをあまり起用せず、舞台役者さんや俳優さんにお願いするようにしているんです。今回も『BATMAN』の音源を聴いたときに、やはり声の感じをアニメっぽくしたくないなと思ったんです。でもキャスティングは大変でした。2月頭にようやく決まったものの、舞台とかライブなどで多忙な方ばかりで、スケジュールが抑えにくかったので、ラジオドラマのように役者さんが集まって録る形ではなく、主要メンバー8人に関しては全員バラバラに収録しました。さらに、音声のみの演技を経験しているのは小手伸也さんしかいなかったのも、ディレクションをするうえでは大変でした。ですので、まずは周囲の声などを含めた「ガヤ」にあたる部分を吹き替え専門の方やラジオドラマに慣れてる方を中心にまとめて先に録音し、あとからメインキャストを収録する方向で進めることにしたんです。

ーー制作するうえで、勝島さんが最も大事にしていたことは?

勝島:大事にしていたのは「何回も聴けるようなもの」を作ること。演技のディレクションにあたっては、役者のみなさんに「なるべくリアルにやってください」とお願いしました。今回はリアルな路線を追求していくので、驚くときのリアクションも誇張せず、リアルな感じのものにしてほしいと。みなさんも不安そうでしたし、僕もやったことがない方向性だったので不安はありましたが、何度もプレイバックできるというポッドキャストの特徴を考えればそうするべきだと思い、とにかく何度も聴けるリアルなものを作る、という路線からはブレないようにしました。

節丸:リアルなものをつくる、という前提があったうえで、社内で議論になったのは「ナレーションを入れるかどうか」ということで。脚本を見る限りは説明不足に感じて、本国からSEも来ていないので、音楽でどのくらい説明できるのかもわからなくて。結局は開き直って「ナレーションはやめよう」ということになりました。勝島さんのディレクションも含め、ここが明確にラジオドラマと言われるものと逆の方向に走り出した瞬間だと思います。

勝島:ラジオドラマは「ドラマ」なんですけど、この『BATMAN 葬られた真実』は「映画」を聴く感じなんですよ。だから、演技のディレクションだけではなく、会話や音楽の間についても途中に身振り手振りが入っているような「映画の間」になるように作っていきました。

僕は30年以上ラジオに関わって、ドラマも沢山作ってきましたが、今回は本当に新しいチャレンジでしたね。向こうで音声が決まってて、しかも9か国で翻訳されて、10話もある。さらに全員バラバラの収録で……と初めてのことだらけでしたから(笑)。

グローバルコンテンツだからこそ難しかった「日本語の表現」

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――実際に『BATMAN』を一緒に制作していくにあたって、Spotify側として苦労した部分はありますか?

西:今回は私たちにとっても初めてづくしの取り組みでした。2020年にDCコミックスさん・ワーナーブラザーズさんと複数年契約をして、その第一弾として制作したのが『BATMAN 葬られた真実』だったんです。そこにデヴィッド・S・ゴイヤーさんという有名なプロデューサーが加わり、どんな作品になるんだろうと思っていたので、我々にとっても非常に驚きが大きいものでした。私たちがやりたかった「没入感のある新感覚のエンターテインメント」が形になるとこうなって、Spotifyが「世界に向けて発信するコンテンツ」として作るレベルというのはこんなに高いものなのかと感動しました。日本のローカライズバージョンでは、ニッポン放送さんと勝島さんのチームにご一緒いただいて、非常に質の高いものになりましたし、ただのローカライゼーションではなく、ある意味新しい作品になったと感じています。

勝島:「本国のオリジナルに合わるだけだから、作るのは楽なんじゃないの?」と言われたりもしますが、決してそうではなくて。役者が1人変わるだけで別物を作るような感覚ですし、ましてや言語が違えばセリフの長さ、SEやBGMのサイズも変わってくる。コンテンツを作る方としては、イチからオリジナルを作るような感覚でした。

――それってゼロイチで作るよりも逆に難しいですよね。

勝島:難しいですね。日本語であることによって、「会話の間」もそうですが「声の張り方」が違うのも大きかったです。エコーのつけ方も全く違いますから。BGMを付ける位置を変えたり、銃撃戦の音を短くしたりもして。

――先ほどSEやBGMのお話が出ましたが、音声コンテンツを制作するにあたって、音響面などの手法も通常のラジオドラマ的なものとかなり違うように聴こえました。そのあたりはどうでしょう?

勝島:今回のチームには4人のサウンドクリエイターが関わってくれたのですが、本国から送られてきた音声とは言語の違いがあるのと、ポッドキャストということでスピーカーではなくイヤホン・ヘッドホンで聴く前提で、定位を工夫すべく全員がProToolsで作りました。エコーの成分を何種類も使ったり、3DXというアプリを使って立体音響のように聴こえる工夫をしてもいます。苦労をした点としては、4人が4人とも音の作り方が少しずつ違うので、僕の方から「作品としてはいいんだけど、ここはこうじゃない」という指示を出したりしました。ただ、それぞれのスタッフが優秀だったので、各自からもっと良くなるためのアイディアもどんどん出てきて、チームとして良いものが作れたように感じますし、各スタッフからも「またやりたい」という声が続々と出てきています(笑)。

節丸:今回は本当に勝島さんじゃないとここまでまとめられなかったような気がしています。各技術の専門スタッフが集いながら、それをまとめるのはラジオマン・音声に長けた編集を知っている人じゃないと、このような形になっていなかったと思うので。

――お客さんからの反応は上々だと伺っているのですが、反応はどういうものでしたか?

西:GW中の公開だったこともあって通常の聴取習慣から離れた時期での公開でしたので、実際どのくらいの方に気付いていただけるか、届けられるかはチャレンジでした。しかし、マーケティングチームなども非常に努力してくれて、新しい形のエンターテインメントとして聴くきっかけを作れて、耳だけで楽しめるオーディオのエンターテインメントの番組があるんだということを知っていただけたかなと思っております。『BATMAN』は今回海外のIPで9言語で配信ということになったんですけど、我々としては日本のコンテンツを海外に大きく広げていくということに貢献できるともっといいかなと思っています。

――なるほど。ローカル発信のコンテンツをグローバルにする。

節丸:今回の話をいただく前に、アメリカでポッドキャストとかオーディオコンテンツとかマーベルの『X-MEN リジェンド・オブ・ウルヴァリン』があるというのを知っていて。この流れの中でそういうものを作りたいと思ってたんですよ。そういう文脈で社内で説明していったらすごく可能性が感じられるものとして社内で受け止められていますね。それと、Facebookで自分の仕事として紹介したんですが、面白いくらいに自分の業界から反応がなかったので、みなさん悔しかったのかなと思っています(笑)。

Z世代はどのようにオーディオを活用しているのか?

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 文化や消費において、Z世代の影響力が急速に高まっていることは疑いようのない事実で、最新のSNSトレンドや、注目のアーティストもZ世代によって生み出されています。Spotifyでは、毎年「Culture Next」レポートを発表しており、Z世代のオーディオストリーミングとの関わり方や文化トレンド、そしてそれがSpotifyの広告主にとってどのような意味を持つのかを紹介しています。

 2022年度のレポートでは、世界中のZ世代の若者に対しインタビューを行い、注目すべき世界的なオーディオトレンドをいくつかのトピックにまとめました。本レポートを通じて、Z世代は、創造と消費の境界線を曖昧にしているのがお分かりになるかと思います。

※フルレポートはこちら

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創造の境界線を再定義する

 この傾向は、特にクリエイターとファンの関係性に大きく関わっています。かつては一方向からのコンテンツの配信で成立していた関係性ですが、今では双方向のインタラクティブなやりとりに変化しています。

 例えば、AnchorでSpotifyに配信されるポッドキャストでは、新たに投票やQAを行うことができるようになり、クリエイターとリスナーがインタラクティブにコミュニケーションを図ることができるようになりました。また、DiscordやTwitch、TikTokといったプラットフォームの出現により、Z世代のクリエイターは、ファンに語りかけるだけではなく、ファンからの話も聞けるようになりました。 実際にZ世代の47%が、特定のクリエイターのサブレディット(Reddit内のフォーラム)やDiscordなどのデジタル・コミュニティに参加したことがあると回答しています。

 Z世代がこうしたデジタルスペースを利用しているのは、自分たちのお気に入りのスターの最新情報を得るためだけではありません。特に新進気鋭のスターのファンコミュニティにおいては、他のファンやクリエイター本人と交流するためにこうしたプラットフォームを利用しています。

 この傾向について、21歳のシンガーソングライター、Dreamer Isiomaは「私たちはみんな仲間なんです」と述べています。

 日本でも、日本に住むZ世代の約3分の1 (29%) が、特定のクリエイターのファンが集うデジタルコミュニティに参加したことがあると回答しています。

 東京に住む18歳のSAKAIもクリエイターとリスナーの関係について以下のように語っています。「SNSが台頭する前は、クリエイターに関して得られる情報は限られていました。 私たちが見聞きするものは、メディアに管理されていたのです。今では誰もが好きなコンテンツを拡散できるため、アーティストやクリエイターについても以前より多様な情報をチェックすることができます。これによって、クリエイターとの関係も近くなったんです」

心の支えとなるポッドキャスト

 ファンと親密な関係を築いているのは、Z世代のミュージシャンだけではありません。ポッドキャストの世界では、有名人がホストを務め、熱心なファンを中心としたコミュニティが形成されています。このようなインタラクティブ性は、クリエイターが視聴者に効果的にアプローチする方法だけでなく、リスナーが消費するコンテンツとの関わり方を根本的に変えているのです。2022年第1四半期を前年と比較すると、Spotify上のZ世代におけるポッドキャストのリスナー数は平均して40%ほど増加しています。

 また、日本に住むZ世代のSpotifyでのポッドキャストの平均リスナー数も、2022年第1四半期と前年の比較で91%増加しており、現在、日本に住む18〜24歳の3分の1以上 (37%) が少なくとも毎週ポッドキャストを再生しています (15〜17歳では28%)。 

 ポッドキャストはZ世代にとって単なるエンタテインメントではなく、Z世代が生活の中で直面する複雑化した問題に取り組む際に、視点や理解を得るためのコンテンツとなっています。

 Z世代のクリエイターは、ポッドキャストを「自分たちをサポートしてくれるもの」と認識しており、コンテンツを利用する熱心なファンたちに囲まれていると感じています。なお、Z世代が最も聴いているポッドキャストジャンルであるメンタルヘルスは、2022年第1四半期には世界のZ世代における再生回数が前年比で約62%増加しました。

 メンタルヘルス関連のポッドキャストの再生回数は、日本のZ世代の間でも、2022年第1四半期に前年比400%も増加しました。ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」のホストを務めるゆとたわは、ポッドキャストはリスナーにとって、自分のなかのリアルな感情と向き合う​​ための大きな支えになっていると指摘しています。

「リスナーによると、私のポッドキャストは『友達と話している感覚』なんだそうです。専門知識やトーク力がなくても、皆が何となく思っていることを言葉にすることで、『あ、わかる!』と共感してもらえるんだと思います」 

自分自身であれ

 For the Recordでは、Z世代が議論を呼ぶ(あるいはタブーとされる)可能性のあるアイデアや話題について取り上げる際に、ポッドキャストが魅力的な媒体であるという理由を深く理解するために、人気ポッドキャスト番組『Teenager Therapy』の共同ホストを務めるKayla Suarezにインタビューを実施しました。Z世代リスナーの間で長期的なコミュニティを構築する際に、誠実さや信頼性、傷つきやすさといったものが果たす役割について、彼女の意見を伺いました。

ーーZ世代のコンテンツ制作者の特徴の1つは、以前の世代に比べて、コミュニティとの対話が多いことだと思います。このような傾向は、どのような理由から生まれたのでしょうか?

Kayla Suarez:Z世代は、特にオンライン上において強いコミュニティ意識を持っていると思います。その理由は、同じような興味を持つ人たちのグループやポッドキャスト、あるいはブランドを見つけることができるからです。『Teenager Therapy』では、心の健康を提唱するとともに、私たち自身が偽りなく自分らしく、そして傷つきやすいことも伝えています。それゆえに、視聴者に対して正直であり、信頼と誠実さの基盤を確立できるのです。つまり、視聴者のことを知ると共に、リスナーにも私たちを信用してもらい、私たちが専門家でもセラピストでもなく、視聴者と同じ経験をしていることを知ってもらいたいんです。

 Z世代は、そういう姿勢をとても大切にしています。なぜなら現代は、ブランドが見せかけだけのことをしているのか、それとも本当に正直なのかを簡単に見分けることができるからです。だからこそブランドや企業が透明性をもって取り組むことが、とても有効になると思います。

ーー『Teenager Therapy』は、Anchorで制作されているそうですね。Anchorの魅力や、Anchorを使ったファンとの関わり方について教えてください。

Kayla Suarez:元々Anchorを使うというのは共同ホストのGaelのアイデアです。彼がポッドキャストを配信するのにAnchorが最も効率的な方法だと言っていたのを覚えています。それとコストがかからないこともAnchorを使う大きな理由でした。あと最近Anchor経由でSpotifyに配信する番組では、最後にリスナーに質問をしたり、投票してもらうことができるようになったので、その機能を利用しています。例えば、前回は恋愛における浮気について話していたのですが、その時にこう質問しました。「これは浮気だと思いますか、それとも浮気ではないと思いますか?」こんな感じのちょっとした工夫でリスナーを惹きつけることができるんです。

ーーポッドキャストがこうした会話を率直に展開できるのはなぜだと思いますか?

Kayla Suarez:私たちのリスナーは、とてもオープンマインドだから、仮に不快な話題であっても、議論すべき話題を話すために快適な空間を作り上げることができます。私たちは常に、見解が違っても互いに敬意を払うことを提唱しています。誰もが正しいわけではないことを認め、オープンマインドになることを奨励することが、大きな役割を担っていると思います。

 また、ポッドキャストは、ファンにとって非常に居心地がいいものだと思っています。司会者が耳元にいて、安全な環境で一緒に会話をしているような感覚を覚えます。こうした側面がZ世代に響く理由は、私たちの多くは孤独やストレスを感じることがあり、そのようなときにも誰か特定の人に相談できるとは限らないからです。

ーーZ世代のクリエイターがコミュニティとどのように関係を築いているかという話に戻りますが、お気に入りのリスナーとの交流方法はありますか?

Kayla Suarez:InstagramやDiscordといったプラットフォームを使って、リスナーに質問をしています。それとSpotify Liveは、リスナーを一つの場所に集めることができるので、個人的に気に入っている交流方法の一つです。とても親密で、基本的に何でも言える雰囲気があります。ステージに上がって悩みを打ち明けてくれるのは、いつも聴いてくれているリスナーたちです。リスナーの名前を呼んで、声をかけられるのは、本当にうれしいことですね。

ーーこれまでの『Teenager Therapy』で、特に印象的だったエピソードや瞬間はありますか?

Kayla Suarez:覚えている中で最も印象的だった出来事の一つは、私が大学に入学しようとしていたときでした。私自身は、特に日系移民一世の家系であることから、家を出ることに罪悪感を感じていたことを話していました。その時点ではこの気持ちを分かち合える仲間をまだ見つけていなかったので、みんながどう反応するかわからなかったんです。でも、ポッドキャストを通じて同じような思いをしている人たちがたくさんいたことで、大学への進学に悩んでいるのは自分だけではないことがわかり気持ちが楽になりました。アドバイスをしてくれる人もいたし、私にとっては本当にインパクトのある出来事でしたね。というのも、私はそのことについて、長い間悩んできたし、未だに少し悩んでいるからです。

より深く掘り下げる

 クリエイターと消費者の境界線の進化は、Z世代に関する注目すべきテーマであることは間違いありませんが、これはCulture Next 2022レポートの一部分に過ぎません。

 レポートでは、どのようにZ世代がオーディオストリーミングを利用して、アイデンティティを形成しているか、ノスタルジアを独自の方法で受け入れているか、Spotifyを利用して自分を表現しているか、といった洞察や調査結果も掘り起こしています。

 このレポートは広告主を念頭に置いて作成されましたが、Spotifyはこれらのトレンドから誰もが学びを得ることができると考えています。

 この新しい世代がどのように文化を変革しているのか、その全貌を知りたい方は、ぜひCulture Nextの全レポートをご覧ください。