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SpotifyとSUMMER SONICがプロデュースするコラボステージ、2025年『Spotify Stage』DAY1レポート

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 オーディオストリーミングサービス Spotifyは、日本最大級の都市型音楽フェスティバル『SUMMER SONIC(以下、サマソニ)』と今年もタッグを組み、3年連続となるコラボステージをプロデュースしました。今年からはステージ名称を「Spotify Stage」にリニューアルし、Spotifyの2つの人気プレイリスト:「RADAR: Early Noise」、「+81 Connect」の世界観を体現したステージをお届けする形となりました。

 本ステージは、8月16日・17日に幕張メッセで開催されたサマソニ東京にて展開し、Spotifyが注目する次世代アーティストが一堂に集結しました。これまでの「RADAR: Early Noise」選出アーティストからはMega Shinnosuke、レトロリロン、ブランデー戦記、reina <reina (w.a.u BAND Set) x TRIPPYHOUSINGとしての出演>、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、PAS TASTA、Lavt、AKASAKI、Billyrrom、ziproomが出演。さらに、本プレイリストでも選出されリスナーベースを大きく伸ばしているKaneee、 Chilli Beans.、muqueが登場。計13組のアーティストがパフォーマンスを繰り広げました。

 また、17日の終盤には、J-Hip Hopカルチャーの最前線を牽引する人気プレイリスト「+81 Connect」が、昨年に続きステージをジャック。これからのシーンを切り拓くElle Teresa、JP THE WAVY、swettyの3組によるマイクリレーでラストの“81分”を飾りました。

 本稿では、8月16日に行われたLavt、PAS TASTA、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN、reina、ブランデー戦記、レトロリロン、Chilli Beans.の7組によるライブの模様をレポートします。

Lavt

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 今年のSpotify Stageのトップバッターを務めたのは、2002年生まれのシンガーソングライター、Lavt。作詞・作曲・編曲を一人で手がける、大阪出身の注目アーティストです。「皆さん、跳ぶ準備できていますか?」と観客に呼びかけると、自らもステージを軽やかに跳び回りながら「有象無象」でライブをスタート。「アルコール」を経て、台湾のSpotifyバイラルチャート入りも果たした「L4DY」では観客のクラップも加わり、会場の熱気はいっそう高まりました。バンドメンバーの紹介を兼ねたセッションからシームレスに「モルト」に繋げ、ギターを手にして「デイジー」、先月リリースされたばかりのサマーアンセム「涙のスイマー」へ。「HOLD ME」「JOOOOKE」の後、ラストは昨年5月にリリースし、バイラルチャートをにぎわせた代表曲「オレンジ」を披露。「自分も音楽を始める前から知っている大きなフェスに出させていただいて、本当に光栄です!」と、ステージを締めくくりました。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.有象無象/02.アルコール/03.L4DY/04.モルト/05.デイジー/06.涙のスイマー/07.HOLD ME/08.JOOOOKE/09.オレンジ

PAS TASTA

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 続いて登場したのは、ウ山あまね、Kabanagu、hirihiri、phritz、quoree、yuigotといった音楽プロデューサー/シンガーソングライター/ボカロPの6人から成るJ-POPプロジェクト、PAS TASTA。2022年のデビュー以降、感度の高いリスナーを中心に人気を拡大している彼らは、2ndアルバム『GRAND POP』の冒頭を飾る2曲をマッシュアップした「GRAND POP!!!!!! & BULLDOZER+」でライブをスタート。爽やかなダンスチューン「sunameri smoke」では、繰り返される〈もう二度と戻らない〉のフレーズが今日の特別な時間と重なり、切なさを漂わせました。「byun G」の四つ打ちビートでフロアを踊らせると、「B.B.M. (REMIX)」「peanut phenomenon」で強靭なサウンドを届け、「会場全部使って楽しんでいってください!」と新曲を披露。最後は『GRAND POP』のラストに収録された「THE CAR」を力強く演奏してステージを終えました。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.GRAND POP!!!!!! & BULLDOZER+/02.sunameri smoke/03.byun G/04.B.B.M. (REMIX)/05.peanut phenomenon/06.(新曲)/07.THE CAR

CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 3組目に登場したのは、東京発の3人組バンド、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN。メンバーは作曲と映像を手がけるDaido、ベースのYuta、サウンドエンジニア/DJのSo。キューバ民謡の基本的なリズムパターンをバンド名に冠する彼らは、世界各地の民族音楽と電子音楽をミックスした独特のサウンドで話題を集めています。まずは「秩父」でその独創的な世界観に誘い込むと、「空とぶ東京」ではパーカッションを軸に多数の楽器を織り交ぜながら濃厚なセッションを繰り広げました。軽やかなリズムを刻む「ワタツミ」に続き、「花様年華」ではシンセの響きも相まって会場は神秘的な雰囲気に包まれます。「アートマン」を経て、「tradition」は繰り返されるフレーズとともに演奏が徐々に熱を帯びていき、呼応するようにフロアの盛り上がりも最高潮に。2023年リリースの1stアルバム『tradition』からの楽曲で、異国情緒あふれるライブを展開しました。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.秩父/02.空とぶ東京/03.ワタツミ/04.花様年華/05.アートマン/06.tradition

reina (w.a.u Band Set) x TRIPPYHOUSING

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 クリエイティブレーベル・w.a.uのR&Bシンガー、reinaは、Skaai、yuya saito (yonawo)、Alex Stevensによる音楽ユニット、TRIPPYHOUSINGを迎えた特別編成 reina (w.a.u BAND Set) x TRIPPYHOUSINGとしてSpotify Stageに登場。まずはTRIPPYHOUSINGの楽曲「Pussy Girl」「Broken, yes we can」「For a long time」が立て続けに披露され、Skaaiが繊細な歌声を響かせました。フロアの熱気が高まったところで、いよいよreinaがステージへ。Skaaiとともに「Youth」を歌い上げ、伸びやかな歌声で会場を包みました。「Swim」の後、「Risk Your」はBonberoを迎えてのパフォーマンス。reina、Bonbero、Skaaiの鋭いラップが絡み合った「SCENE!」を経て、「まだまだ踊れますか?」と呼びかけたreinaは、2023年にリリースされた1stアルバム『You Were Wrong』よりキラーチューン「Do the Thing」で会場を盛り上げます。さらに、さらさと「Close my eyes」を披露し、ラストを飾ったのは「A Million More」。多彩なコラボレーションを交えて、この日限りの特別なステージを繰り広げました。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.Pussy Girl/02.Broken, yes we can/03.For a long time/04.Youth/05.Swim/06.Risk Your (feat. Bonbero)/07.SCENE! (feat. Bonbero)/08.Do the Thing/09.Close my eyes (feat. さらさ)/10.A Million More

ブランデー戦記

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撮影=Edo Sota

 5番手は、蓮月(Vo/G)、みのり(Ba/Cho)、ボリ(Dr)から成る大阪発の3ピースバンド、ブランデー戦記。2022年に結成した彼女たちは、「RADAR: Early Noise 2025」への選出のほか、12月には韓国にて初の海外ワンマンライブが控えるなど、結成からわずか3年で大きな飛躍を遂げています。ステージ上で拳を突き合わせた3人は、「ストックホルムの箱」でライブをスタート。蓮月の力強いボーカルが、1曲目からフロアに熱気を誘いました。疾走感のあるロックチューン「Kids」を鳴らした後は、一度クールダウンするように「The End of the F***ing World」を軽やかにパフォーマンス。コンガのサウンドが特徴的なクリスマスソング「27:00」を経て、「Coming-of-age Story」で浮遊感のあるサウンドを届けると、自ら撮影・編集を手がけたMVがわずか1カ月で100万回再生を突破し、バンドの名前を広く知らしめた「Musica」を披露。最後は「ラストライブ」で華やかにステージを締めくくりました。

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撮影=Edo Sota
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撮影=Edo Sota
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撮影=Edo Sota

■セットリスト

01.ストックホルムの箱/02.Kids/03.The End of the F***ing World/04.27:00/05.Coming-of-age story/06.Musica/07.ラストライブ

レトロリロン

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 涼音(Vo/Ag)、miri(Key)、飯沼一暁(Ba)、永山タイキ(Dr)によるポップスバンド、レトロリロンのライブは、8月6日にリリースされたばかりの新曲「ラストハンチ」で幕を開けました。「やっと来れたよ!」と告げ、ステージ前面まで歩み寄って歌を届ける涼音。「ワンタイムエピローグ」では、彼が曲中で頭上高くマイクを掲げると観客のシンガロングも響きわたりました。涼音のソウルフルな歌声、4人が紡ぐカラフルなバンドアンサンブルがレトロリロンの魅力。「カテゴライズ」では飯沼がお立ち台に登ってベースを弾き倒し、miriの軽やかなピアノソロも会場を盛り上げます。コールアンドレスポンスから「ヘッドライナー」に繋げた後、ラストはSpotifyバイラルチャート入りを果たした人気曲「アンバランスブレンド」。「1番でかいステージに立つまでやめないんで!」という言葉とともに、今後の躍進を期待させるステージでした。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.ラストハンチ/02.ワンタイムエピローグ/03.カテゴライズ/04.ヘッドライナー/05.アンバランスブレンド

Chilli Beans.

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撮影=石原汰一、瀬能啓太

 8月16日のSpotify Stageは、Moto(Vo)、Maika(Ba/Vo)、Lily(Gt/Vo)による3ピースバンド、Chilli Beans.がトリを飾りました。大勢の歓声に迎えられた彼女たちは、TVアニメ『ONE PIECE』のエンディングテーマとして人気を集めた「Raise」でライブをスタート。3人の美しいハーモニーが響いた「just try it」、カラフルな照明も相まってポップな世界観を作り上げた「シェキララ」の後、サマーチューン「pineapple!」ではフロアとの一体感を楽しみながら持ち前の自由なライブパフォーマンスを発揮。さらに、Spotifyバイラルチャートでデイリー1位を獲得した「lemonade」が奏でられると、サビではフロアからのシンガロングも起きて大きな盛り上がりを見せました。「tragedy」、「pain」と5th EP『the outside wind』からの楽曲を立て続けに披露した後は、7月にリリースされた最新曲「ひまわり」をパフォーマンス。夏の夕暮れを感じさせる楽曲が、ライブを終えた後も余韻を残していました。

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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太
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撮影=石原汰一、瀬能啓太

■セットリスト

01.Raise/02.just try it/03.シェキララ/04.pineapple!/05.lemonade/06.tragedy/07.pain/08.ひまわり

 Spotify Stage 1日目は、新進気鋭のアーティストが集結し、各々の個性が光るステージが繰り広げられました。なお、出演アーティストのセットリストは、Spotify公式プレイリストにて終演後もお楽しみいただけます。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 2025年3月19日、Spotify O-EASTにて行われた『Spotify Early Noise Night #17』。次の時代の足音をいち早く聴くこのイベントのステージを飾ったのは、reina、Billyrrom、AKASAKI、ブランデー戦記、レトロリロン。この1〜2年で頭角を現してきた、異なる出自と音楽性を持つ新鋭5組である。昨年出演したFurui Rihoやjo0jiをはじめ、過去にはあいみょんやSTUTS、Omoinotakeや羊文学などが登場するなど、2017年の立ち上げ以降積極的に若い才能をフックアップしてきたSpotify主催のイベントだ。

reina

『Spotify Early Noise Night #17』レポート


 この日のトップバッターとして登場したのは、気鋭のクリエイティブレーベル/コレクティブ・w.a.u所属のR&Bシンガー・reinaだ。ひんやりとした音色が心地良いラップ調の「Dogs」から始まり、ベースの存在感がグッと高まるグルーヴィな「Good to me」へと繋がっていく。繊細ながら腹の底に響くような低音が素晴らしく、体の内側から熱が込み上げてくるのを感じる。技術と品格を兼ね備えたアンサンブルだ。バンドメンバーはreinaと同じくw.a.uからGai Seki(Per)、Koki Furukawa(Key)、Kota Matsukawa(Ba)、Kazuho Otsuka(Gt)、Reo Anzai(Manipulator)、Ryuju Tanoue(Dr)の6人が参加。黒で統一された衣装がシックなイメージを印象付ける。

 短いMCを挟んで歌われたのは、reinaが「初めて書いた曲」だという「my apologiesss」。優しく身体を解きほぐすようなネオソウル風の曲調で、音の波に揺られながらゆったりと踊らせてくれる。それから「Do The Thing」を挟み、この日がバンド演奏での初披露だという新曲「Burn」へ。細やかなタッチのドラムと強烈にうねりを上げるベース、多彩なパーカッションが音楽の厚みを生み出していた。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 ここでライブの雰囲気は一変。タイトなドラムと全体的にソリッドな演奏で、「RADAR: Early Noise 2023」にも選出されたヒップホップアーティストのSkaaiを客演に迎えた「Youth」をプレイ。中盤に差し込まれるアフロ風のパーカッションも印象的で、このステージのハイライトと言える演奏だったのではないだろうか。最後は「A Million More」を歌い終演。「今年は曲もアルバムも沢山リリース予定」とのことで、2025年も引き続き注目していきたい。

Billyrrom

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 2番手は東京・町田出身、2020年に友人同士で結成された6人組・Billyrrom。先日にはZepp Shinjukuで行われたツアーファイナルを盛況で終えるなど、まさに加熱する勢いを感じている最中だろう。

 ダイナミックなドラムと強いアンサンブルが広い舞台を想起させるロックナンバー「DUNE」からスタート。早くも火がついたフロアに一層炎を投げ込むように、Mol(Vo)の「自由に踊れー!」という叫びから「Once Upon a Night」へと接続。ファンキーなギターカッティングと挑発的なベースが腰を揺らす中、Yuta Hara(DJ / VJ)が差し込むスクラッチが一層気分を上げていく。

 「Soulbloom」では、空間を活かした抑制の効いた演奏とサイケデリックな映像演出が融合し、没入感のある世界観を展開。「Apollo」ではステージLEDに銀河を駆け抜けていくような映像が映し出され、加速していくドラムとベースが聴き手の身体を軽くしていく。フロアから巻き起こるクラップが一層この曲のスピード感を引き立てる中、ボーカルと共に主役を張るようなRinのギターも爽快に響きわたり、その勢いに身を任せるように歌われる《このスピードに乗って》のフレーズが印象的に響いた。タフなライブバンドへと成長を遂げてきた、今のBillyrromを象徴するような演奏である。

 最後は「Time is Over」をプレイ。Billyrromらしいカッティングギターとアグレッシブなベースが牽引する中、どことなくジャズからの影響を感じる鍵盤も良いアクセントを生み出していたように思う。なんとも開放的なムードを演出し、ステージを去っていった。

AKASAKI

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

「最高の夜にしようね」――AKASAKIのステージはハツラツとしていた。
1曲目は《真面目ぶった音楽に嫌気が差してんだ》というフレーズが強烈なデビュー曲「弾きこもり」。
ざらついた声質はこの曲にピッタリで、クールな気分のまま踊らせるビートが気持ちいい。
そこから「踊れ渋谷!」という叫びと共に「ルーツ」へ突入。
ネオンライトの華やかな光を想起させる鍵盤が、ノスタルジーを刺激していく。

 MCでは先日、高校を卒業したAKASAKIにフロアから「卒業おめでとう!」という声が上がり、
「留年を回避して卒業しました〜!」と返す微笑ましい一幕も。とにかく飾らないステージングが印象的だ。

続いてこの日リリースされたばかりの「爆速論理ness」を披露。
タイトル通り速いテンポのドラムに、歪な音色のギターとベースが覆い被さっていく。
吐き捨てるような声色で歌うボーカルもバッチリはまっており、フロアの熱気も一層高まっていった。

「Spotifyに人生を変えてもらったと言っても過言ではないので、この場で歌うことができて嬉しい」というMCを挟み、ラストスパートは80’sを彷彿とさせるアニメーション映像と共に演奏された「夏実」、そして自身の存在を世に知らしめた「Bunny Girl」だ。
前者は甘酸っぱいメロディとほろ苦い歌詞のコントラストが秀逸な1曲で、後半に進むにつれて豪快さを増していくドラムが気持ちいい。

そのテンションを倍にしてフィナーレへと突き進んでいくのが後者である。
《夜の始まりさ》という冒頭のフレーズが歌われた瞬間にフロアが沸き立ち、軽快なドラミングがフロアをダンスホールに変えていく。
「毎月新曲を出す」という彼はこの自然体な姿のまま2025年も飛んでいくのだろう。

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ブランデー戦記

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 4組目はヒリヒリと肌を焼き付けるようなロックサウンドを聴かせるブランデー戦記である。

 浮遊感のあるサウンドの「悪夢のような」でライブは始まり、気怠そうな発声で歌う《悪夢のような1週間だったわ》というフレーズがいつまでも頭の中を漂っていく。蓮月(Gt/Vo)のボーカルはスッと染み渡るような透明感があり、この声で歌われることでリリックが一層鼓膜の奥へと突き刺さっていく。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 2曲目はバンドを一躍シーンの注目株へと引き上げた「Musica」。歌謡曲の「憂い」とオルタナティブロックの「激しさ」が同居したようなサウンドには抗い難い魅力があり、ここからライブは鋭さを増していく。軽やかに疾駆していくボリ(Dr)のビートと、重力を無視して暴れ回るようなみのり(Ba/Cho)のベースが爽快な「coming-of-age story」から、短いMCを挟んでリリース直後の「The End of the F***ing World」へ。ファンクロック的なニュアンスを感じる新曲で、どことなくメランコリックなメロディと無愛想なカッティング、そして存在感抜群のうねるベースに惹きつけられる。

 スリーピースらしい引き締まったアンサンブルはもちろん魅力的で、MCも最小限。演出や映像もないステージは潔く、どこまでも力強い。最後は「ラストライブ」を歌い、そして重厚なビートで疾走していく「ストックホルムの箱」を披露して終演。フロアから上がる拳やクラップが爽快で、バンドのさらなる飛躍を予感せずにはいられない。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

レトロリロン

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 ポップでカラフルな音楽がフロアを眩しくさせる。四者四様のステージを見せた『Spotify Early Noise Night #17』の最後を締めくくるのは、レトロリロンのライブである。2020年に音楽大学の同級生たちで結成、高らかと歌い上げるようなボーカルと、確かな演奏力が魅力的な彼らのステージは清々しいくらい晴れやかだ。楽曲のドラマチックな側面を引き立てる鍵盤、華やかな上音の下からブイブイと腰を揺らしてくるベース、何よりも活力のあるドラムはライブが終わってからもずっと心に残るようなインパクトがある。また、「ヘッドライナー」から「ワンタイムエピローグ」へ移る際に告げた「自由に、好きなように、ありのままの自分で楽しんで帰ってください」というメッセージは、彼らの創作に通底するテーマであるように思う。涼音(Vo/Ag)のボーカルは楽曲に込めた想いを力強く投げかけるように情熱的だ。

 ファンクやソウルミュージックからの影響を感じる洒脱な「DND」、エネルギッシュなドラムに引っ張られていく「カテゴライズ」と爽快なステージが続いていく。パッと花が咲くようなサビのメロディと、鍵盤の踊るようなフレーズが気持ちいいカテゴライズはとりわけ耳に残る演奏で、フロアからも大きなコーラスが聴こえてきた「アンバランスブレンド」へと繋がっていく。「アンバランスブレンド」はリズミカルだが切なさを含んだ歌で胸を締めつけてくる、ドラマチックな展開など、このバンドの魅力が詰まった楽曲だった。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 アンコールも沸き起こり、涼音が「楽しくやって終わりましょうか」と告げて「TOMODACHI」を披露。のっけから起こるクラップやコーラスがバンドの支持の高さを感じさせる。なんともポジティブな余韻を抱かせるライブだった。

『Spotify Early Noise Night #17』レポート

 この日出演した5組の新鋭は、いずれも今後の音楽シーンを大いに彩っていくのだろう。次代の担い手が生まれることを期待しながら、それぞれの活躍を見守りたい。