サウジアラビア、韓国でJ-POPはどのように聴かれている? Spotify現地エディターが魅力を語るビデオポッドキャスト『J-POP PASSPORT』を紹介(後編)
音楽ストリーミングサービスの普及によって国境を越えた音楽体験がより身近になった今、日本の音楽は海外でどのように受け取られ、どんな魅力が見出されているのでしょうか。Spotifyのオリジナルビデオポッドキャスト『J-POP PASSPORT』は、そんな問いをきっかけに生まれた全5回のコンテンツです。
本番組では、Spotifyオリジナルキャラクターである音楽生命体「スポッティ」がインタビュアーとなり、世界各地で音楽カルチャーと向き合うSpotify社員たちのリアルな声を引き出します。ゲストとして登場するのは、各国·地域の音楽シーンを深く理解したエディターたち。それぞれの国のJ-POPチャートを切り口に、現地でどのような楽曲が聴かれているのか、なぜその楽曲が支持されているのかを解説していきます。
第4回:サウジアラビア編
第4回の舞台はサウジアラビア。音楽エディターのSalihは、現地のJ-POPチャートをもとに、多様な日本の音楽がどのように受け入れられているのかを語りました。
サウジアラビアのJ-POPチャートでは、King Gnuの「AIZO」や米津玄師の「IRIS OUT」といったアニメ関連楽曲が存在感を放ちます。現地では、約20年間制限されていた映画館の営業が2018年に解禁。日本の映画やアニメもより身近な存在となり、作品を入り口にJ-POPへ興味を持つリスナーも増えているようです。
トップ10には、XGの「HYPNOTIZE」や藤井 風の「死ぬのがいいわ」など、『J-POP PASSPORT』の中でここまで紹介されてきた他国のチャートでは見られなかった楽曲もランクインしていました。Salihは「どんなジャンルも完璧」と、日本の音楽が持つ幅広さに魅了されている様子を示します。さらに、彼はサウジアラビアのリスナーについて、話題曲だけではなく自分の好みに合う音楽を掘り下げて聴く人が多いと分析。そのため、「ディープな曲がチャートインしていても驚かない」と話します。探求心が強く、世界中のカルチャーへ積極的に触れようとする姿勢が、現在のJ-POP人気に繋がっているのかもしれません。
そんなSalihがお気に入りのJ-POPとして挙げたのが、松原みきの「真夜中のドア~Stay With Me」でした。この楽曲をきっかけに1980年代のシティポップを深く掘り下げていったそうです。また、過去にドラマーとして活動していた際には、ジャズピアニスト·福居良の『Early Summer』から大きな影響を受けたといい、プレイヤーとしての視点から語られたジャズトークも印象的でした。
第5回:韓国編
第5回の舞台は韓国です。韓国のJ-POPチャートでも、上位を占めるのはアニメタイアップ曲。韓国で音楽エディターを務めるIltaekは、自身も『鋼の錬金術師』が好きだといい、『鬼滅の刃』や『チェンソーマン』といったアニメ作品が現地でも高い人気を誇っていることを明かしました。
一方で、チャートにはback numberの「ヒロイン」や、Official髭男dismの「Pretender」といったリリースから数年が経つ楽曲も見られました。これらの楽曲がランクインした背景には、現地アーティストによるカバーや、現地で放送された音楽番組の影響があるようです。tuki.の「晩餐歌」がヒットしたエピソードからも、SNSが浸透した現代ならではの音楽の広がり方が感じられました。
Iltaekは「韓国のリスナーは日本の曲を完全な別物として捉えていない」と語り、日本語が分からなくても曲の雰囲気を掴んで楽しんでいると分析します。彼自身もKing Gnuや羊文学のライブに足を運んでおり、実際に観て感じたそれぞれのバンドサウンドの魅力も語られました。
さらに、韓国におけるJ-POP市場の成長にも触れられます。2023年以降、韓国でのJ-POP人気は大きく拡大し、現地チャートのトップ400の約10%をJ-POPが占めるまでになったそうです。驚くのは、その内訳には26組もの多彩なアーティストが含まれていること。韓国リスナーがトップアーティストだけでなく、インディーシーンまで関心を寄せていることが読み取れます。
番組内では、「2025年のSpotify KoreaではJ-POPとアニメが一番成長したジャンルだった」という発言も飛び出しました。米津玄師やAdoによる大規模ライブ、ZICOと幾田りらによる「DUET」といった日韓アーティスト同士のコラボレーションなど、J-POPを取り巻く景色は今後さらに広がっていきそうです。「まだこれからだと思うよ」というIltaekの言葉は、その未来を象徴しているようにも感じられました。
各国のエディターのトークからは、言語の壁を越え、日本の音楽がたしかに世界のリスナーへ届いていることが伝わってきます。海外から見たJ-POPの現在地を知るだけでなく、私たち自身がJ-POPの魅力を再発見できる『J-POP PASSPORT』。各地のSpotifyエディターだからこそ語れるリアルな視点と熱量を、ぜひ本編で体感してみてください。