Tag: Spotify Sessions

デジタル音声広告のクリエイティブアワードが日本初開催 「Spotify Hits」レポート

20241105 spotifyhits00004

 Spotifyは10月15日、青山のSHARE GREEN MINAMI AOYAMAにて、広告事業者および広告会社向けのイベント『Spotify Sessions: Hits Edition』を開催しました。

20241105 spotifyhits00003

 開演前の会場では、Spotifyのプレイリスト「daylist」のカラーリングに合わせた世界各国のお菓子や淹れたてのコーヒーが参加者に振る舞われたほか、さまざまなクリエイターが自分にとってのSpotify(My Spotify)について語る映像なども上映されていました。

20241105 spotifyhits00006

 イベントは、Spotify グローバル広告営業とパートナーシップ最高責任者のブライアン・バーナーによるスピーチからスタート。「クリエイティビティはSpotifyブランドの中核をなすもの。私たちは、Spotify上でユニークなインサイトや体験を実現するために、ブランドとの提携を続けています」と語り、グローバルで成功した事例として、米国のセブンイレブンと提携した「Slurpee Song of the Summer」を挙げました。このキャンペーンは、セブン-イレブンとSpotifyがすでにZ世代やミレニアル世代と築いている強いつながりを活かし、セブン-イレブン店舗への来店促進を狙ったもの。Maiya The Don, 2Rare & Kari Fauxによるブランド・ソング「Anything Flows」や、店舗で買い物をするとミュージックビデオに出演できるチャンスを作ることで多くの集客を行ったほか、楽曲も数百万回の再生を記録し、Spotifyの主要プレイリスト「RapCaviar」にも収録。Spotifyのユーザーインサイトを活用し、消費者のエンゲージメントと店頭販売を促進すると同時に、ブランドとカルチャーとのつながりを示す素晴らしい例となりました。

20241105 spotifyhits00007

 バーナーはほかにも、Spotifyが日本でのマーケットシェアを拡大し続けていること、消費者が1日に2時間近く利用するプラットフォームであり、絶え間ないニュースフィードに邪魔されることなく、エンゲージされたオーディエンスにブランドストーリーを伝えることのできる場所だと語りました。今年からは「ミュージックビデオ」「ビデオポッドキャスト」などの新機能を導入することで、視覚と聴覚の両方でより楽しめるプラットフォームとしてイノベーションを起こし続けることを約束しました。

 続いての「Award Ceremony (授賞式)」には、Spotify Japan 執行役員 営業本部長の田村 千秋、アワード審査員の株式会社 博報堂 執行役員 嶋浩一郎さん、株式会社 電通 CXCC局 クリエイティブディレクター 田中寿さん、Spotify Japan広告事業部統括 立石 ジョーが登壇し、受賞作品を表彰しました。なお、審査には3名のほかに、Spotify Japan プロデューサーの殿村 博、コンシューマーマーケティング統括の川崎 愛、Spotify アジア太平洋地域 クリエイティブストラテジー統括のヴァネッサ・ゴーも名を連ねています。

 アワードは「グランプリ (Spotify Mic Drop) 」に加え、音声広告を活用し革新的な方法で効果的にブランドのメッセージを届けた「ベストオーディオキャンペーン (Future Sounds)」、そこに動画など複数の広告フォーマットを組み合わせ、Spotifyならではのアプローチで高い成果をもたらした「ベストマルチフォーマットキャンペーン (Sound &Story)」の2部門が設置され、最終審査に残ったのは30作品となりました。

20241105 spotifyhits00001

 「ベストオーディオキャンペーン (Future Sounds)」では、CHOCOLATE Inc.の企画・制作による、アース製薬株式会社の「アースノーマット 小島よしお音声広告」が受賞しました。アース製薬株式会社 コミュニケーションデザイン部 部長の小泉ユミさんは「使用者がやや高齢化しているなかで、若い世代に蚊の不安から家族を護ってくれる製品だということを強く訴えたいと思い、小島さんを軸に様々なタッチポイントを想定した。媒体選定の背景としては ”ながら聴取” できるメディアであること、立体的な音の効果を最大限引き出せることが鍵だった」としたうえで「蚊が飛び回っている音も効果的に表現していただき、数値的な成果においても通常のキャンペーンよりコスト効率が高かった」とし、関係者への感謝を伝えました。

20241105 spotifyhits00002

 また、「ベストマルチフォーマットキャンペーン (Sound &And Story)」の受賞作品は、株式会社電通デジタルと株式会社電通が共同で企画・制作したエスエス製薬株式会社「ドリエル20周年 世界の子守歌キャンペーン」に。作品を手がけた株式会社 電通 CXクリエーティブ・センター クリエーティブ・ディレクターの川田琢磨さんは「ドリエルという睡眠改善薬が2024年で発売20年を迎えるということで、普段と違ったアプローチができないかということで始まったもの。少し前にSpotifyのみなさんに協力いただいて、電通デジタルでワークショップを開催し、クライアントの皆様と音声広告を企画したのですが、さまざまな企画案のうちの一つに”子守唄”企画があり、それがきっかけになりました」と話したあと「子守唄って世界中にあるよねと気づいたこと、どの国でも子守唄に込められたメッセージは「あなたがよく眠れますように」という内容で、世界共通であること、それはドリエルに込められた願いと同じだと気づき、この方法で発信することにしました」と背景を語りました。

20241105 spotifyhits00009

 グランプリの「Spotify Mic Drop」は、株式会社博報堂の企画・制作による日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の「知られざる定番「和カツバーガー」リローンチキャンペーン『Yes! 和カツ食いに行く』」が受賞。企画を担当した株式会社博報堂 関西支社統合プラニング局の原田真由さんは「ケンタッキーに和風チキンカツバーガーという定番商品があるが『好きな人はすごく好きだが知らない人もいる』という状態で『和カツ』と略してリローンチするタイミングでした。知られざる定番をみんなの定番にしたいということで『和カツ』と『高須』で韻が踏める、さらに「クリニック」と「食いに行く」で韻が踏めると思い、そのままキャンペーンワードとして使おうと高須クリニックさんに相談しに行ったところ快諾いただいた。さらに楽曲を作ったアーティストさんにも相談しに行ったら、ぜひやりたいということで活動休止中にも関わらず制作してくださったし、揚げる音を使用して映像のない状態でおいしさを想起させることもできた。Xでも『高須かと思ったら和カツかい!』といったような投稿も散見され、プラットフォームを超えた効果を感じることができた」と喜びを明かした。

 その後、Spotify Japanの田村と審査員の嶋さん、田中さん、そして各受賞作品代表、原田さん、CHOCOLATE Inc. クリエイティブディレクターの市川晴華さん、川田さんの6名によるパネルディスカッションへ。まずは日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の「知られざる定番「和カツバーガー」リローンチキャンペーン『Yes! 和カツ食いに行く』」がグランプリを受賞したことについて、嶋さんは「これ、相当口ずさんじゃいますよね。Spotifyということで音楽を使った広告が多かったけど、これは原曲が全く違う会社のCMソングなのに、リスペクトを払いつつ全く違う世界観で蘇らせたのが大きい。細かく聴いても、ディティールまですごく研究されていた」、田中さんは「一番頭から離れなくて、お風呂の中でも浮かんでくる感じ。プラットフォームとして音楽を大事にしているSpotifyのなかで最高のドアノック。音楽をコンテンツに昇華した感じがすごくフィットしている。これを実現したスタッフさんの各所への交渉をはじめとしたチームワークも含め、羨ましいと思った」とコメント。企画を手掛けた原田さんは「交渉するなかで、アーティストの方は原曲の良さを活かしつつ、Spotifyで流れた時にリスナーに嫌がられないようアレンジしてくださった。原曲が『beautiful smile』という曲なのですが、最初はWeb動画用にアレンジしていたものを、さらに音声用に歌詞を変え、より媒体にマッチするようにしました」と明かしました。

 続いて「ベストオーディオキャンペーン (Future Sounds)」を受賞したアース製薬株式会社の「アースノーマット 小島よしお音声広告」について、嶋さんは「Spotifyのユーザーは8割がイヤホンで聴いているというのを意識して作られた蚊の羽音のインパクトがすごい。サウンドエフェクトと声の組み合わせ方も含め、パッケージングの作り方がすごいなと思った。メロディと言葉の相性なども考え尽くされていた」、田中さんは「広告に留まるか、音楽になっているかの差は大きい。先ほどのケンタッキーのクリエイティブがそうだったように、韻まで計算していているか。それらの足し算がうまくいって絶妙なバランスになっているんだなと思った」とコメント。市川さんは「こんな会場で流していただいて嬉しい。改めて効果的な演出だなと思った。最初はもっとラジオCM的なアプローチ、ストーリーがあるものを考えていたが、アース製薬さんに相談したときに小泉さんから『もっと音楽的なアプローチがあった方がいい』とリクエストいただいてこの形になった。蚊の音はSpotifyの殿村さんが実際に蚊を採取してその音を録音したものを使っている」と裏側を語りました。

 最後に「ベストマルチフォーマットキャンペーン (Sound &And Story)」受賞作品のエスエス製薬株式会社「ドリエル20周年 世界の子守歌キャンペーン」について、嶋さんは「寝落ちしそうになるくらい優しい。この部門の作品って、体験設計に近い。このシチュエーションでどう聞いてどう体験するのかというのが考えられているし、商品広告の枠を超えてブランド広告として出来上がっている。ある意味エスエス製薬のオウンドメディアとしても機能している気がする」と語ると、田中さんは「ドリエルって睡眠導入剤で、それって困っている人が飲むもの。困っている人が求めるものって優しさとかそういうものだと思うし、そこから外れていない感じがいい。デザインも長さもいいし、クライアントが持っている良さをちゃんと落とし込めている」とコメント。川田さんは「この企画をいいねと言ってくださったクライアントの皆様の選球眼がすごいなと思いましたし、最初は音声広告の提案から始まって、スペシャルサイトを作るパッケージがSpotifyにあるというところから、プレイリストとの連動、動画の制作まで行って、施策を広げていくことができた。それに協力してくれたクライアントの皆様とSpotifyのみなさんのおかげで作り上げることができたと思う」と喜びを伝えました。

20241105 spotifyhits00010

 その後、審査員のお二人から受賞者のみなさんへの質問タイムを挟み、再び田村・嶋さん・田中さんの3人で受賞作品以外で印象に残った作品を、Spotify広告において重要な3つのキーワード「ファンダム」「リズム」「パーソナライゼーション」に沿って紹介していきました。

 まずは「ファンダム」の文脈で印象に残っているキャンペーンについて、嶋さんはアサヒビール株式会社の“マルエフ”こと『アサヒ生ビール』の施策であるSpotifyのプレイリストシリーズ「RADER:Early Noise」とタイアップしたキャンペーンを紹介。「Spotifyの世界観とミュージシャンの世界観、ブランドの世界観が三方良しで合致しつつ、うまく消費者のツボを押さえている広告だと思います」と評価しました。

 続いて、「リズム」の文脈で印象に残っているキャンペーンについて、田中さんはサントリーホールディングス株式会社の『金麦』の広告を挙げ、「1日のリズムのなかでもコンパクトなところに当たるように設計されている。タイミングが設計された広告はもはやシズル広告になっているし、それがピタッとハマるとすごく飲みたくなる」とコメント。田村が「通勤の帰り道の時間帯をジャックするように、月曜から日曜まで毎日違うクリエイティブが出るようにしていて、個人的にも刺さった」と補足した。

 続いて「パーソナライゼーション」の文脈で印象に残っているキャンペーンについて、嶋さんは「アニソンもヒップホップも好きな人がいるなかで、三井住友カード株式会社さんのナンバーレスカードを広める音声広告施策が面白いと思った。それぞれのジャンルのファンを狙って、アニメ好きの人には声優さんの声が、ヒップホップ好きの人にはラップの音声が流れるようにしたというのもすごいなと」と、セグメントをしっかりと絞ってそれに対するクリエイティブを作った事例を評価していただきました。

 最後に、今回のアワードを通して考える「音声広告の価値」について、嶋さんは「音声広告は“ながら”でも聴けるところがすばらしい。そのうえでSpotifyはユーザーが能動的に聴く気満々な感じもあるので、ポジティブなリスナーに対してリーチできる。ただ、アーティストやミュージシャンの世界にお邪魔する形なので、そこをうまく汲み取ることが重要」と語ると、田中さんは「音声広告の良さって“余白”だなと思います。『初恋の人を思い浮かべてください』というとそれぞれが別の方を思い浮かべるように、余白を残していることが究極のパーソナライゼーションになる。それが聞き手のクリエイティビティを発動させる」とそれぞれの音声広告論について述べ、トークが終了しました。

20241105 spotifyhits00005

 広告に関するセッションの後には、Michael Kanekoによるライブパフォーマンスも。「Daydreams」や「Strangers In The Night」などの 人気楽曲で会場を盛り上げました。また、イベントの最後にはネットワーキングの時間も設け、広告主とSpotifyメンバーとで交流を深めたのち、この日のイベントは終了しました。

20241105 spotifyhits00008

音声広告を出稿する企業たちが感じた“手応えと課題”とは? 『Spotify Sessions』レポート【後編】

20240605 kouhen 99

 Spotifyは5月23日、恵比寿のBLUE NOTE PLACEにて、広告事業者向けのイベント『Spotify Sessions』を行いました。後編では、実際にSpotify広告を活用いただいている企業の担当者様をゲストにお招きしたトークセッションの様子を中心にお届けします。

前編はこちら

Spotify広告でのコミュニケーション設計。Spotify専用クリエイティブによる効果とクロスメディアでの相乗効果

 「Spotify広告でのコミュニケーション設計。Spotify専用クリエイティブによる効果とクロスメディアでの相乗効果」では、三井住友カード株式会社 専務執行役員 マーケティング本部長の佐々木 丈也さんをゲストにお迎えし、Spotify Japan 執行役員 営業本部長の黒川 佳則とのトークセッションが行われました。

20240605 kouhen 01
三井住友カード株式会社 専務執行役員 マーケティング本部長 佐々木 丈也さん

 まずは佐々木さんが三井住友カードのコミュニケーション戦略について説明。「大事にしていることは『お客様をよく知る・理解する』、『ニーズややりたいことを顧客側の観点で見る』、『我々のサービスがお客さんに伝わる』の3つ。1つ目と2つ目については、カード会社として利用状況がよくわかるので、そこからお客様について理解をするべき、ということ。最後はどんなにいいものを作っても使われなければ意味がないので、伝える力を突き詰めていくべきという意味です」と語ったあと、音声広告については「数年前にコンビニの店内放送を使って広告を打った時、ブランドリフトなどで良い数値が出たため、音声広告に対しては好ましいイメージがあった。視覚メディアにはできない通勤・通学の移動時やトレーニング中、車の中など、生活シーンの中で広告でアプローチできるのは魅力で、Z世代やミレニアル世代がよく利用しているSpotifyさんだからやってみたいと思った」と、Spotify広告出稿の背景について明かしてくれました。

20240605 kouhen 02

 今回同社が出稿したのは「三井住友カード(NL)」の広告で、ゴールは同サービスの理解促進。佐々木さんいわく「以前Spotifyに広告を出稿した際は動画広告から音声を引っ張ってきていましたが、非常に違和感がある広告になってしまった」そうで、「生活シーンにしっかり入り込めるクリエイティブを3パターンほど作ってチャレンジしたところ、高い水準の結果が出た」とコメント。実際に制作した音声広告は「音楽調」「ラジオ調」「声優による朗読調」の3パターン。「普段から音楽をよく聴く『流行り物に敏感なトレンドパーソン』を想定し、ターゲット世代の方が良く聴くプレイリストを研究し、サウンドと歌詞の部分を工夫した」という音楽調のもの、「『普段からSpotifyのポッドキャストを聴いているようなナレッジパーソン』を想定して、キーワードも検索行動時のアクションを想定して作った」というラジオ調、「Spotifyユーザーに女性が多いことを踏まえ、弊社の若手のなかで人気の声優さんである諏訪部順一さんを起用し『恋愛と推し活をしているトキメキパーソン』を想定した」という声優調の音声広告という作り分けまで明かしていただきました。実際に「この広告を聴きたい」というXの投稿も多かったようです。

20240605 kouhen 03
Spotify Japan 執行役員 営業本部長 黒川 佳則

 また、黒川が「音声広告単体で成果を求めるべきか?」というテーマについて触れ、ユーザーの利用率・利用時間を考慮してYouTube広告とSpotifyの音声広告を併用した三井住友カードの調査データを提示すると、佐々木さんは「当たり前ですけど、複数回リーチを取ることは広告手法として重要。動画広告と音声広告を組み合わせてフリークエンシーを高めながら、YouTubeで見た方に音声広告を重ねて聴いてもらい、次のレイヤーに上がっていただくことで認知や利用意向が上昇するというのは、結果として見えている」と、広告の使い分け、出しわけの重要性について、重要なコメントを残してくださいました。

お客様の心を動かすマーケティング。Spotify上のファンダムを捉えて新規顧客獲得につなげたキャンペーン

 最後のセッション「お客様の心を動かすマーケティング。Spotify上のファンダムを捉えて新規顧客獲得につなげたキャンペーン」には、アサヒビール株式会社  理事 マーケティング本部長の梶浦 瑞穂さんと、Spotify Japan クライアントパートナーの麓 裕介が登場。アサヒ生ビール 通称マルエフの事例をもとに、Spotify広告の成功事例についてトークを繰り広げました。

20240605 kouhen 05
アサヒビール株式会社  理事 マーケティング本部長 梶浦 瑞穂さん

 まずは梶浦さんが「『マルエフ』は1986年、『アサヒスーパードライ』の1年前に出た商品でした。缶ビール自体は終売していたのですが、2021年のコロナ禍で外に出れなくて日本中がモヤモヤしている時代に『Heart Warming Beer』として、改めて発売しました。弊社の商品はこれだけ美味しい、これだけの機能があるというものが多いのですが、珍しく心に訴えかけるものとして『おつかれ生です』というメッセージと共に発信しました」とメッセージ性の強い商品であることを解説。そのうえで、2023年に阪神タイガースがプロ野球で日本一に輝いた際に平田勝男ヘッドコーチがビールかけ会場で「おつかれ生です」と同製品のキャッチフレーズを引用して見せたことに言及し「私も阪神ファンなのですぐにやろうと動き、実際に平田ヘッドにアンバサダーになっていただくと、売り上げが瞬間的に1.5倍になった」と舞台裏を明かしてくださいました。

20240605 kouhen 04
Spotify Japan クライアントパートナー 麓 裕介

 話はSpotityとの取り組みへと移り、代表的なプレイリストである『RADAR:Early Noise』『Buzz Tracker』とのタイアップで、TOMOO、Bialystocks、マルシィの3組に参加いただいた音声広告クリエイティブを展開した年末キャンペーンを紹介。麓は「アーティストの皆さんが年末のライブで1年を振り返って、SpotifyのRADAR:Early Noiseに選ばれてよかったと言ってくださっていたことからアーティストとマルエフの年末施策の親和性を感じて、ご提案をさせていただいた。Spotifyはその年に最も聞いた音楽やポッドキャストを振り返る『Spotifyまとめ』を展開していて、3組のアーティストのファンとマルエフをうまく絡ませることができた」とコメント。梶浦さんも「ファンとアーティスト、我々の全員がハッピーになる方法を考えていたときに今回の企画を提案していただいた。これはアーティストのファンの方々にも喜んでいただけると思うし、買ってくださいともいわずに『おつかれ生です』と言ってるだけの広告なんですけど、好きなアーティストとファンの方が繋がって、みんながハッピーになれるというものでした」と満足いただけたようでした。これに対し、麓は「ユーザーのみなさんはアーティストやその楽曲と出会うことを楽しみにSpotifyを使っているし、そこに入っていくのは難しいのですが、こうした取り組みを評価いただけたのは、とてもありがたいです。実際に広告についてSNSに投稿されている方もいらっしゃいましたし、文章だけではなく商品の写真を添えている方もいました」と効果の高さ・反響の大きさを明かしました。

20240605 kouhen 08

 最後に梶浦さんから「音というのは五感の一つに対して訴えかけるものでしかなくて、じっくり聴いている瞬間もあれば、色んなものに触れているなかで耳にすることもある。そのアクションのなかでどれだけ気持ちよく入っていけるかを考えなければならない。4月には『アサヒスーパードライ』のコンセプトショップをオープンさせたが、これもとあるアーティストとコラボしたら3時間の行列ができました。ファンも喜び、アーティストの方の露出も増える、そういう座組みをどんどん作って、みんながハッピーになる企画ができれば嬉しいです」というコメントをいただき、同セッションは終了しました。

 閉会の挨拶として、黒川が再び登壇。「Spotifyは単なるプラットフォームではなく、クリエイターの創作活動をサポートしています。生活の一部としてSpotifyを使っていただき、その方々のポジティブな感情が広告効果に直結している。みなさんとオーディエンスの関係を良くするよう引き続きサポートさせていただけますと嬉しいです」と全てのセッションを締め括りました。

20240605 kouhen 09
Billyrrom

 広告に関するセッションの後には、町田発・新進気鋭の6人組バンド・Billyrromによるライブパフォーマンスも行われ、会場を盛り上げました。また、イベントの最後にはネットワーキングの時間も。DJプレイによる軽快な音楽で演出された和やかなムードの中、広告主とSpotifyメンバーとで交流を深め、この日のイベントは終了しました。

進化を続ける音声広告の現在地と未来 広告事業者向けイベント『Spotify Sessions』レポート【前編】

20240605 zenpen 95

 Spotifyは5月23日、恵比寿のBLUE NOTE PLACEにて、広告事業者向けのイベント『Spotify Sessions』を行いました。前編では、Spotifyのスタッフたちが音声広告のこれまでや現状、そして未来について語った内容をお届けします。

 この日の会場には、ステージ上の看板や階段、DJブースのレコードジャケットなど至る所にSpotifyコードが隠されており、宝探しのようにプレイリストを探して音楽との出会いを楽しむという体験もお届けしました。

20240605 zenpen 96
20240605 zenpen 97
20240605 zenpen 94

 イベントはSpotify Japan 上級執行役員 広告事業部統括の立石 ジョーによる挨拶からスタート。「The Force Of Fandom」「The Power of Spotify」「Creativity Beyond Audio」をテーマに、推し活の一環としてSpotifyでお気に入りのアーティストの音楽を楽しんでいるユーザーへ向けた効果的な広告手法、Spotifyが広告主の皆様のビジネスに提供できる価値、Spotifyの媒体特性を活かしたクリエイティブでユーザーの心を動かす方法をそれぞれこの日のイベントで紹介すると述べ、各セッションへと入っていきます。

20240605 zenpen 01
Spotify Japan 上級執行役員 広告事業部統括 立石 ジョー

アーティストやクリエイターが持続的に創作を続けるための環境づくりとは? 音楽業界におけるSpotifyのミッション

 「音楽業界におけるSpotifyのミッション」をテーマにしたセッションには、Spotify Japan 音楽部門 企画推進統括の芦澤紀子が登壇。プレイリストブランドの価値向上や、アーティストの楽曲の海外への輸出促進、新進気鋭のアーティストのサポートや、熱心なファンに向けた付加価値コンテンツの提供を通じたアーティストとのエンゲージメント強化などに注力し、アーティストやクリエイターが持続的に創作を続けられる環境づくりに取り組んでいることを説明しました。

 またリスナーとアーティストの出会いを創出するプレイリストについても、リスナーの聴取行動などを踏まえてAIがパーソナライズして生成する「アルゴリズムプレイリスト」や、Spotifyのエディターがテーマごとにキュレーションする「エディトリアルプレイリスト」、さらにその両方の要素をかけわせた「パーソナライズドエディトリアルプレイリスト」とさまざまな形態があり、個々のリスナーの好みやニーズ、モーメントにあった音楽との出会いをお届けしていることを紹介。こうしたSpotifyの特徴を活かし、新進アーティストのリスナー獲得を後押しをするために2017年にスタートした『RADAR:Early Noise 2024』や、瞬間的な楽曲のバズをヒットにしていくお手伝いをするために作られた『Buzz Tracker』、女性アーティストの更なる活躍をサポートする『EQUAL』など、多様なアーティストやクリエイターがリスナーを広げる取り組みをプレイリストを軸に積極的に展開していることも紹介されました。

20240605 zenpen 03
Spotify Japan 音楽部門 企画推進統括 芦澤紀子

 ほかにも、多様なアーティストの考えや視点を届ける活動の一環として、LGBTQ+コミュニティのアンセムとして愛されるRINA SAWAYAMAの「This Hell」に、ちゃんみなが新たにリリックを書き下ろしてリミックスした「Spotify Singles」を先月Spotify限定で配信したことや、Kan Sano、FURUI RIHO、imase、Michael Kanekoなどのアーティストたちが「ストリーミングに助けられている」とコメントした映像などもあわせて紹介しました。

Why Spotify in Japan 2024

 続いてのセッション「Why Spotify in Japan 2024」には、Spotify Japan 執行役員 営業本部長の田村千秋が登壇。Spotifyが愛されている理由のひとつに「アルゴリズム」を挙げ、「それぞれ全く違うレコメンドがされるのだが、ユーザーはパーソナルな瞬間をSpotifyと共有するから、パーソナライゼーションがエモーショナルなつながりを生んでいる」とコメント。1日あたりの平均利用時間は2.4時間にのぼり、大抵のSNSは夜がアクティブな時間だが、Spotifyはそうではなく、1日を通してあらゆる場面で利用されていることを明かしました。

20240605 zenpen 05
Spotify Japan 執行役員 営業本部長 田村千秋

 そのうえで、「自分の好きなことを追求するSpotifyユーザーのマインドセット」がSpotifyをマーケティングに活用する際にベネフィットをもたらすとし、Spotify上での広告に対するユーザーのエンゲージメントの高さをアピール。アース製薬社の『モンダミン』などの事例をもとに、聴取完了率や広告想起などブランドリフトのデータを活用しながら、オンスクリーン(画面を見ているとき)とオフスクリーン(画面を見ていないとき)の両方でターゲット層へリーチできるSpotify広告の強みなどを語り、「生活のサウンドトラックであるSpotifyで、お客様とのエモーショナルなつながりをサポートしていただければと思います」と締めた。

20240605 zenpen 06

​​Innovation & Future: 進化を続けるSpotify広告の今とこれから

 4番目のセッション「Innovation & Future: 進化を続けるSpotify広告の今とこれから」では、Spotify プロダクトマーケティング アジア太平洋地域統括の犬飼 裕一が登場。「プロダクトの目指す方向性は大きく分けて2つある」とし、現在のSpotifyは音声広告だけでなく、動画なども使ったマルチフォーマットでの訴求が可能である点や、今後は自社配信のテクノロジーの活用により、広告の最適化やタイムリーな運用を実現していく点などを紹介しました。その後は「モバイルホームページテイクオーバー」や「The Stage」などの新機能を紹介。The Stageについては実際の広告事例をもとに「ユーザーのリスニングデータをもとに、個々にパーソナライズされたプレイリストを生成するするという体験をアプリ内で実現した」と他国での活用事例について語ったほか、曲間で広告がでるだけでなく、ポッドキャスト番組にも広告を配信できる「Spotify オーディエンスネットワーク(SPAN)」などを紹介しました。

20240605 zenpen 08
Spotify プロダクトマーケティング アジア太平洋地域統括 犬飼 裕一

 今後広告配信については、「インプレション」「リーチ」「ビデオビュー(3秒以上)」、「クリック」の一つから運用目的を選び、最適化することが可能になること、「キャンバス」「オプトインビデオ」などの新商品、などを発表しました。

音声+ 動画で生まれるイマーシブな広告体験。Spotifyリスナーの心を動かすクリエイティブの作り方

 続いてのセッション「音声+ 動画で生まれるイマーシブな広告体験。Spotifyリスナーの心を動かすクリエイティブの作り方」にはSpotify Japan クリエイティブ ストラテジストの殿村 博が登壇。社内でクリエイティブを制作するにあたって大事にしていることは「イマジネーション」「コンテキスト」「エクスペリエンス」だと述べ、「情報を伝えるだけでなく、状況全てが想像できるような音声広告を作れたら」と語ったのち、これまでの事例を紹介。たとえばマウスウォッシュの『NONIO』では、クライアントであるライオン社と相談のうえ、3Dオーディオを活用した音声広告を平日、休日で使い分けられるよう2パターン開発したことを紹介。リスナーの状況にあった文脈で、『NONIO』の価値を訴求したことでアテンションを引くことができたと明かしました。

20240605 zenpen 09
Spotify Japan クリエイティブ ストラテジスト 殿村 博

 さらに、3Dオーディオなどの特殊効果の他にも、Optimization (最適化) によっても聴き手のイマジネーションを刺激することができるとし、ブリヂズトン社の事例を紹介。独自機能である「In-Carターゲティング」を活用し、車内のオーディオでSpotifyを聴いているユーザーを狙い撃ちしたことや、地域別の音声広告を作り、各地域の名前を入れることで自分ごとのように感じさせる仕掛けを施したことを明かしました。

254

 また、曜日・場所・天気・ムード・ジャンルといった音声を用意して、リアルタイムでカスタマイズする機能「ダイナミックオーディオ」とともに、リスナーの状況にあわせた音声広告を作るとよりエンゲージメントが高まるという点に言及。、季節やイベントのプレイリストのスポンサーとして広告を出稿し、プレイリストのテーマに沿う形でメッセージを訴求する方法も効果的であると紹介しました。

 セッションの最後には、日本初開催のSpotify主催のクリエイティブアワード「Spotify Hits」を発表。ブラジルのジョンソン・エンド・ジョンソン社の「Jonsons Blackinho Poderoso」などいくつかの受賞作を解説し、日本でも優れた広告クリエイティブを評価していく姿勢を見せました。

 イベントレポート後編では、三井住友カード株式会社やアサヒビール株式会社よりお招きしたゲストと共に実施したトークセッションの様子をご紹介します。

後編はこちら