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How I Podcast:「JAPAN PODCAST AWARDS 2019」W受賞の人気ポッドキャスト『歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)』流、自分のスタイルの貫き方

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2018年11月にスタートした『歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)』。

その名の通り、国内外の歴史の面白さを学びながら、さらには人間や社会構造についてのメタ認知を高めることができるという、新感覚の歴史エンターテインメント番組です。

2020年には「JAPAN PODCAST AWARDS 2019」で大賞とSpotify賞をW受賞。2021年1月よりスピンオフ番組「コテンラジオ Spotifyオリジナル」もスタートし、現在はSeason 2が配信中です。

MCとして聞き役を務めるのは自称・歴史弱者の樋口聖典さん(株式会社BOOK 代表取締役)。語り役は世界史のデータベースを開発する株式会社COTENの代表取締役CEO・深井龍之介さんと広報担当の楊睿之(通称ヤンヤン)さん。

ストイックに歴史の面白さを発信し続ける3人の姿勢に魅了され、COTEN RADIOを応援するリスナーは増え続けています。

今回はメインパーソナリティの3人に、人気の理由やおすすめのシリーズ、ポッドキャストの魅力などについて、お話を伺いました。

▷COTEN RADIOの本編とSpotifyオリジナル版の違いについて教えていただけますか?

深井:最近は本編の長さが12話分ぐらいになっていて、ひとつの歴史について10時間ぐらい喋っています。ただ、すべての歴史に10時間語る量があるわけではないんですよね。Spotifyオリジナルでは、すごく面白いし重要だけど、2話で収まるような歴史を題材にして語っています。

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収録は1日がかり。泊まり込みで収録することも

収録は1日で行われているのでしょうか?

深井:そうですね。

樋口:大変なんですよ。

楊:昨日も夜中の3時までやってましたね。

樋口:長い時は12時間ぐらいかかったりして、それでも終わらない時は泊まり込みでやったりもしてますね。

▷COTEN RADIOはどのような経緯で始まったのでしょうか?

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樋口:福岡県で行われた、あるビジネスコンテストがあって、僕の会社とCOTENさんが受賞をしたんです。その時の打ち上げ会場の居酒屋で、僕ら3人ともう1人の4人で話してたんですけど、そこでめちゃくちゃ盛り上がったんです。「会社が廃れていく状態っていうのは、じつは中国の王朝が廃れていくこういうところと共通点があった…」みたいな話を深井さんたちがたくさんしてくれて、それがめちゃくちゃ面白かったんですよ。

僕はお笑い芸人をやっていた頃からラジオ番組の経験があって、出会った頃もコミュニティFMで番組をやっていました。収録スタジオも持っていましたし、「来て喋ってもらえればすぐにラジオ番組としてYouTubeとかにアップできるので、とりあえず来月ぐらいに来てください!」と、熱烈にオファーをしたんです。

本当に一ヶ月後、深井さんとヤンヤンさんが僕の収録スタジオに来てくれて、打ち合わせも台本もない状態でとりあえず録りました。結構楽しんでもらったと思ってるんですが…。(深井さんに)楽しかったですか?

深井:楽しかったです(笑)。

樋口:それで「次もやりましょう!」となり、そこから継続的にやることになったんです。これがCOTEN RADIOの始まりです。

特に印象に残っているエピソードやおすすめしたいシリーズは何ですか?

樋口:すべてが繋がっているので難しいんですよね…。個人的には「ガンディー」編が好きなんですけど、初めて聴く方には「ヒトラー」編をおすすめします。ヘビーリスナーには「資本主義」編です。

深井:僕は「第一次世界大戦」編ですね。やっぱり“歴史を学ぶ意味”が一番わかりやすいシリーズかなと思います。

楊:個人的に思い出深いのは、一番最初に収録した「韓非子」編です。その場のノリで録ったものですが、僕の中ではメモリアルな作品ですね。これからCOTEN RADIOを聞かれる方におすすめしたいのは、「ヘレンケラーとアン・サリヴァン」編です。とても感動するエモさがあると思います。歴史というと教科書の暗記のように聞こえるかもしれませんが、あのシリーズを聞くと、歴史を血肉が通った物語のように捉えることができるかなと思います。

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準備にかける費用は1シリーズで400万円!? 自分たちが楽しくないと続けられない

常に人気のコンテンツであり続けられる秘訣は?

樋口:まずは続けることじゃないですかね?

深井:僕は運だと思う。

楊:それもたしかにあるね。こうなるとは思わなかった。

深井:運良く、今の時代に合致しているから聞いてもらえているのかなと思います。歴史の勉強をしているからこそ思うのですが、時代が変われば社会のニーズも変わるので、少し時代が違うだけで聞かれなくなると思うんですよね。

樋口:それと、やってる人が楽しんでいることが大事だと思っています。楽しく続けられるためにはどうすればいいかというのを、少なくとも僕らは相当気を使っていると思います。

深井:そうですね。最初からずっと楽しんでます。楽しくないとできないですからね。本当に準備が大変だから。

樋口:費用対効果とか考えてたら、たぶんやってられないんですよ。1個のシリーズを録るために台本を用意するんですけど、多い時はA4用紙にして160ページ分もあるんですよ。それを深井さん、ヤンヤンさんに加えてCOTENの歴史調査チームで作ってるんですけど、時給計算とかやりだすと結構な…。

深井:やばいですよ(笑)。普通に1シリーズで400万円ぐらいかかってます。

樋口:ただ儲けようとだけ思ってやっていたら、絶対に続いていないと思うんですよね。

深井:すごく勉強してますしね。しかも、めっちゃ勉強したうちの6割ぐらいしか喋ってないんですよ(笑)。

樋口:そういった努力も、楽しんでいなかったら絶対にできないんじゃないかなと思います。ただ、僕は収録当日に話を聞くだけなんですけど(笑)。

深井:収録した音源の編集は樋口さんたちのチームが担当してくれていて、そこにも相当パワーを割いてもらってます。

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COTEN RADIOとポッドキャストの親和性の高さが最良のユーザー体験を生み出す

ポッドキャストが動画共有サイトなどのメディアに比べて特に魅力に感じられることは?

樋口:映像があると、映像を見ないともったいない気持ちになると思うんです。例えば、家事や散歩しながらYouTubeを流していると映像が見れないので、僕はこのコンテンツを100%楽しめてないんじゃないか?という気持ちになるんですよ。でも、ポッドキャストは音声だけなので、これが100%のコンテンツだという前提で聞けるじゃないですか。それがYouTubeに比べて良いところだなって。

あとは、プラットフォームとかユーザーインターフェースの質も違うと思います。ポッドキャストは番組が好きだったらフォローして、初めから順番に聞いていく人が多いと思うんですよ。YouTubeは単発で見てほしいコンテンツがどんどん表示されるので、特定の人のコンテンツを順番にもれなく見ていくというような使い方ってあまりしないと思うんですけど、ポッドキャストの場合はインターフェース的にいち番組を連続して聞くのに適している。だから、僕らみたいに10話ぐらいのシリーズものを連続で配信する番組は、ポッドキャストの方がユーザーが聞きやすいのかなと思います。

自分の好きなスタイルを貫けるのがポッドキャストの良いところ

リスナーさんとのコミュニケーションはどうやってとられているんですか?

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深井:歴史をわかりやすく説明しようというのはすごく思っていますが、好きなことを好きなように発信しているだけで、リスナーとはあまりコミュニケーションしてないですね…。有名になろうとかも全く思っていないです。

楊:知名度を上げたいっていうのは全くないですね。

深井:ポッドキャストはマス向けに作らなくていいと思っていて。たくさん再生してもらうために、内容を簡略化したりセンセーショナルなことを言う、といったことはせず、リスナー数も気にせず、自分がいいと思ったことをやる。ポッドキャストにはそういう文化があるかなと思います。突き抜けている番組が多いですよね。一部の人が聞いてくれればいいぐらいの感じでできるのが、ポッドキャストの良いところなんじゃないかなと思います。

楊:リスナーと交流をすることが大事なコンテンツもたくさんあると思うんですけど、我々はいろいろ試行錯誤したなかで、今のスタイルが自分たちのエネルギーを出せるなというところに落ち着きました。

樋口:ポッドキャストって、メディア、コンテンツ、コミュニケーションっていう3つの役割があって、番組によって、そのバランスが違うと思うんですよ。たぶん、僕らはコンテンツが10割ですね。

楊:そうですね。一方通行の発信があってもいいかなと思いますね。

深井:自分の好きなスタイルで作れるところが良いところかもしれないですね。

ポッドキャストを始めてみたいと思っている方に向けて、アドバイスをいただけますか?

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樋口:「今始めてください」っていうことですね。これが最大のアドバイスです。スマホで「Anchor(アンカー)」と検索して、アプリをインストールして、録音ボタンを押して、アップしたらいいと思います。例えば、映像を撮ろうとなったら、撮影場所や服装、お化粧、カメラなど、準備が色々大変じゃないですか。でも、音声コンテンツなら、まずは録って上げてみる、というハードルがとても低いと思うんですよ。スマホのマイクも今は非常に性能がいいので、机の上にスマホを置いて喋るだけで、プロと遜色ないようなクオリティで録れます。しっかり編集するとなるとハードルは高くなりますが、1人で自分の思いを発信するぐらいであれば、10分もあれば配信できますから。まずは一回やってみて、どういう気持ちになるか、どういう面白さがあるのか、を体感してみたらいいと思います。もっと広めたい、クオリティ上げたい、というのはその後に考えればいいと思うので。なので、この記事を読んで、今すぐに始めることをおすすめします。

Anchorの手軽さについても触れていただきましたが、Anchorの機能でお気に入りのものは?

樋口:ユーザー属性が分かるので、分析するのにはすごくいいと思います。

深井:そうですね。

樋口:自分でサーバーを立ち上げて、そこにWordPressを入れて自前で配信すると、そこまでの細かいユーザー属性を取れないと思うんです。他に気に入っているのは、ボイスメッセージ機能ですね。COTEN RADIOでは使っていないですけど、僕が配信している他の番組では結構使っていて、リスナーさんからのお便り募集みたいな感じでボイスメッセージを送ってもらって、僕らパーソナリティがコメントしているんですけど、それがめちゃくちゃ簡単です。

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最後に、リスナーの皆さんにメッセージをいただけますか?

深井:COTEN RADIOをきっかけに、たくさんの方が株式会社COTENや僕たちが取り組んでいる世界史データベースに興味を持ってくださり、非常にありがたいです。COTEN RADIOが皆さんがメタ認知をするきっかけになったら良いなと思っています。

楊:僕たちが好きで発信していることを多くの方々に聴いてもらえているのは、本当にありがたいですね。これからも楽しんで続けていこうと思いますので、リスナーさんたちにも楽しんでもらえたら嬉しいです。

樋口:僕が経営している施設「いいかねPalette」にも足を運んでくださるリスナーさんもいらっしゃったりして、本当に感謝しています。ぜひ皆さんも気軽に発信してみてくださいね。これからもCOTEN RADIOをよろしくお願いいたします!

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