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Spotify、『JASRAC Creator Seminar』基調講演に参加 「グローバルプラットフォーマーからみた日本の音楽の可能性」について語る

 Spotifyは、2026年6月12日に開催されたJASRAC、CEIPAが共催するセミナー『JASRAC Creator Seminar』にて、「世界から見た日本の音楽の現在地」に関する基調講演に参加しました。

 日本音楽の現在地と世界への広がりをクリエイター視点で考える同セミナーの第1部にSpotify Japan 音楽企画推進統括を務める芦澤紀子が登壇。「グローバルプラットフォーマーからみた日本の音楽の可能性」をテーマに語りました。

Spotifyからみる世界から見た日本の音楽の現在地

 世界全体の音楽マーケットは、2025年に初の300億ドルを突破。その内訳はストリーミングが約7割を占めており、爆発的普及を続けるストリーミングが牽引し、11年連続の成長を記録しています。

 Spotifyはユーザー数が全世界で7億6100万人、そのうち有料会員数が2億9300万人で、世界の180の国と地域でサービスを展開しています。

 世界最大のMAUを誇り、再生単価も非常に高いアメリカ、巨大な人口を抱えており無料プランのユーザー数が多くボリウッドやローカル言語が中心のインド、さらにブラジル、メキシコをはじめとしたレゲトンやファンクがグローバルチャートを席巻しているラテンアメリカは、成長市場として大きな注目を集めています。

 世界第2位の音楽市場となっている日本はフィジカル比率が4割を超え“推し活”大国と呼ばれています。フィジカルとストリーミングの両方で応援するリスナーが多いのが日本の特徴で、ストリーミング消費も年々拡大しており、「伸びしろは日本が一番あると捉えられています」と芦澤は日本のさらなる成長に期待を寄せました。

 2016年に日本でのサービスをローンチしたSpotifyでは現在、“1億再生”が国内楽曲がどれだけ海外も含めて聴かれているかの指標になっています。Spotifyで1億再生を突破した国内楽曲のみを集めたプレイリスト「100 MILLION+」は、260曲を突破。「日本国内だけでは達成できない数字であり、ひいては海外で多く聴かれている楽曲が多く入っているプレイリスト」だと芦澤は話します。

 海外における国内楽曲のストリーム数は、2024年と比べて2025年は20%増。2025年に海外で最も再生された国内アーティストの楽曲はCreepy Nuts「オトノケ」、海外で最も再生された国内アーティストはAdoという結果になりました。アニメ関連の楽曲でなければ海外では聴かれないという通説もいまだに聞かれる中で、「アニメは海外に行くための強力なエンジンであるとは思いますが、そうではない楽曲も増えて多様化が進んでいることが感じ取れます」と芦澤はランキングを分析。アーティスト部門で1位になっているAdoが楽曲部門のトップ10に入っていない現象に対して、「海外ツアーも増え、アーティストの認知が広がることによって、突出したヒットがなくともアーティストとして海外で聴かれるといった現象も起きるようになってきているのは、ポジティブなことだと思っています」と考えを明らかにしました。

グローバルバイラルヒットの事例を紹介

 日本から世界へと進出したケーススタディとして、HALCALIを紹介しました。

 HALCALIは2003年リリースの楽曲「おつかれSUMMER」が2025年に突如起きたSNSバズを起点にしてSpotifyでの総再生数8100万回(セミナー開催日時点)を超えるグローバルバイラルヒットに。アーティスト本人の活動がない中で、リリックビデオやリミックス楽曲、グッズ展開、アナログ版のリリースなど、非常にアクションが速く、そしてメンバー本人が不在でもできることをいくつも積み重ねていく中で、Spotifyのほか各種音楽ストリーミングサービス全体で1.5億回という数字を記録しました。海外シェアが約9割を占めていたところから、逆輸入的に日本にフィードバックしてきた珍しい事例だと芦澤は語ります。なお、HALCALIは世界的バイラルヒットを受け、14年ぶりに活動を再開し、『SUMMER SONIC 2026』の「Spotify Stage」枠内「Gacha Pop Live」への出演も決定しています。

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 最後に、音楽クリエイターにとって特にグローバルな成功に向けてSpotifyをどのように活用していけばいいのかという問いかけに対し、芦澤は楽曲を配信するアーティスト向けの無料分析・管理ツール「Spotify for Artists」、さらに楽曲のクリエイターや制作の裏側、サンプリング元、カバー曲などの関連情報をインタラクティブに探索できる「SongDNA」を紹介しました。2025年に買収したWhoSampledのノウハウを生かした「SongDNA」は、Premiumユーザー向けの機能です。「たとえば、藤井 風さんの『死ぬのがいいわ』から、プロデューサーのYaffleさんとのコラボ楽曲をワンタップでプレイリスト化できます」と具体例を挙げながら解説しました。さらに、日本ではローンチされていない楽曲の背景や制作秘話をカード形式で表示する新機能「About the Song」についても紹介しました。

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(C)DTMステーション

リスニングデータをきっかけに海外展開に挑む例も

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 第2部ではLAを拠点に活動する音楽プロデューサー・ヒロイズム氏、『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』などの劇伴を手掛ける音楽作家・林ゆうき氏、JASRACで理事も務めるボカロP・ねじ式氏が登壇し、「クリエイター視点で考える日本音楽の海外展開」について話し合われました。

 それぞれが海外展開に踏み出した経緯について語るなか、林氏は「自分の曲が海外で聴かれているということをひょんなことから知ったのがきっかけ」とし、2020年のSpotify年間ランキング「海外で最も再生された国内アーティスト」の6位にランクインした際のエピソードに言及。そこから「Spotify for Artists」で自身のリスナーの8割がアメリカを中心とした海外であることに気づき、アニメコンテンツの世界的影響力を実感。海外を強く意識するようになったと明かされました。

 その他にも、日本と海外の制作環境やカルチャーの違い、音楽を海外に届けるための具体的な工夫と戦略、海外展開するうえで必要な契約・権利の実態など、実践的な話題が多く語られる機会となりました。