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進化を続ける音声広告の現在地と未来 広告事業者向けイベント『Spotify Sessions』レポート【前編】

 Spotifyは5月23日、恵比寿のBLUE NOTE PLACEにて、広告事業者向けのイベント『Spotify Sessions』を行いました。前編では、Spotifyのスタッフたちが音声広告のこれまでや現状、そして未来について語った内容をお届けします。

 この日の会場には、ステージ上の看板や階段、DJブースのレコードジャケットなど至る所にSpotifyコードが隠されており、宝探しのようにプレイリストを探して音楽との出会いを楽しむという体験もお届けしました。

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 イベントはSpotify Japan 上級執行役員 広告事業部統括の立石 ジョーによる挨拶からスタート。「The Force Of Fandom」「The Power of Spotify」「Creativity Beyond Audio」をテーマに、推し活の一環としてSpotifyでお気に入りのアーティストの音楽を楽しんでいるユーザーへ向けた効果的な広告手法、Spotifyが広告主の皆様のビジネスに提供できる価値、Spotifyの媒体特性を活かしたクリエイティブでユーザーの心を動かす方法をそれぞれこの日のイベントで紹介すると述べ、各セッションへと入っていきます。

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Spotify Japan 上級執行役員 広告事業部統括 立石 ジョー

アーティストやクリエイターが持続的に創作を続けるための環境づくりとは? 音楽業界におけるSpotifyのミッション

 「音楽業界におけるSpotifyのミッション」をテーマにしたセッションには、Spotify Japan 音楽部門 企画推進統括の芦澤紀子が登壇。プレイリストブランドの価値向上や、アーティストの楽曲の海外への輸出促進、新進気鋭のアーティストのサポートや、熱心なファンに向けた付加価値コンテンツの提供を通じたアーティストとのエンゲージメント強化などに注力し、アーティストやクリエイターが持続的に創作を続けられる環境づくりに取り組んでいることを説明しました。

 またリスナーとアーティストの出会いを創出するプレイリストについても、リスナーの聴取行動などを踏まえてAIがパーソナライズして生成する「アルゴリズムプレイリスト」や、Spotifyのエディターがテーマごとにキュレーションする「エディトリアルプレイリスト」、さらにその両方の要素をかけわせた「パーソナライズドエディトリアルプレイリスト」とさまざまな形態があり、個々のリスナーの好みやニーズ、モーメントにあった音楽との出会いをお届けしていることを紹介。こうしたSpotifyの特徴を活かし、新進アーティストのリスナー獲得を後押しをするために2017年にスタートした『RADAR:Early Noise 2024』や、瞬間的な楽曲のバズをヒットにしていくお手伝いをするために作られた『Buzz Tracker』、女性アーティストの更なる活躍をサポートする『EQUAL』など、多様なアーティストやクリエイターがリスナーを広げる取り組みをプレイリストを軸に積極的に展開していることも紹介されました。

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Spotify Japan 音楽部門 企画推進統括 芦澤紀子

 ほかにも、多様なアーティストの考えや視点を届ける活動の一環として、LGBTQ+コミュニティのアンセムとして愛されるRINA SAWAYAMAの「This Hell」に、ちゃんみなが新たにリリックを書き下ろしてリミックスした「Spotify Singles」を先月Spotify限定で配信したことや、Kan Sano、FURUI RIHO、imase、Michael Kanekoなどのアーティストたちが「ストリーミングに助けられている」とコメントした映像などもあわせて紹介しました。

Why Spotify in Japan 2024

 続いてのセッション「Why Spotify in Japan 2024」には、Spotify Japan 執行役員 営業本部長の田村千秋が登壇。Spotifyが愛されている理由のひとつに「アルゴリズム」を挙げ、「それぞれ全く違うレコメンドがされるのだが、ユーザーはパーソナルな瞬間をSpotifyと共有するから、パーソナライゼーションがエモーショナルなつながりを生んでいる」とコメント。1日あたりの平均利用時間は2.4時間にのぼり、大抵のSNSは夜がアクティブな時間だが、Spotifyはそうではなく、1日を通してあらゆる場面で利用されていることを明かしました。

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Spotify Japan 執行役員 営業本部長 田村千秋

 そのうえで、「自分の好きなことを追求するSpotifyユーザーのマインドセット」がSpotifyをマーケティングに活用する際にベネフィットをもたらすとし、Spotify上での広告に対するユーザーのエンゲージメントの高さをアピール。アース製薬社の『モンダミン』などの事例をもとに、聴取完了率や広告想起などブランドリフトのデータを活用しながら、オンスクリーン(画面を見ているとき)とオフスクリーン(画面を見ていないとき)の両方でターゲット層へリーチできるSpotify広告の強みなどを語り、「生活のサウンドトラックであるSpotifyで、お客様とのエモーショナルなつながりをサポートしていただければと思います」と締めた。

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​​Innovation & Future: 進化を続けるSpotify広告の今とこれから

 4番目のセッション「Innovation & Future: 進化を続けるSpotify広告の今とこれから」では、Spotify プロダクトマーケティング アジア太平洋地域統括の犬飼 裕一が登場。「プロダクトの目指す方向性は大きく分けて2つある」とし、現在のSpotifyは音声広告だけでなく、動画なども使ったマルチフォーマットでの訴求が可能である点や、今後は自社配信のテクノロジーの活用により、広告の最適化やタイムリーな運用を実現していく点などを紹介しました。その後は「モバイルホームページテイクオーバー」や「The Stage」などの新機能を紹介。The Stageについては実際の広告事例をもとに「ユーザーのリスニングデータをもとに、個々にパーソナライズされたプレイリストを生成するするという体験をアプリ内で実現した」と他国での活用事例について語ったほか、曲間で広告がでるだけでなく、ポッドキャスト番組にも広告を配信できる「Spotify オーディエンスネットワーク(SPAN)」などを紹介しました。

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Spotify プロダクトマーケティング アジア太平洋地域統括 犬飼 裕一

 今後広告配信については、「インプレション」「リーチ」「ビデオビュー(3秒以上)」、「クリック」の一つから運用目的を選び、最適化することが可能になること、「キャンバス」「オプトインビデオ」などの新商品、などを発表しました。

音声+ 動画で生まれるイマーシブな広告体験。Spotifyリスナーの心を動かすクリエイティブの作り方

 続いてのセッション「音声+ 動画で生まれるイマーシブな広告体験。Spotifyリスナーの心を動かすクリエイティブの作り方」にはSpotify Japan クリエイティブ ストラテジストの殿村 博が登壇。社内でクリエイティブを制作するにあたって大事にしていることは「イマジネーション」「コンテキスト」「エクスペリエンス」だと述べ、「情報を伝えるだけでなく、状況全てが想像できるような音声広告を作れたら」と語ったのち、これまでの事例を紹介。たとえばマウスウォッシュの『NONIO』では、クライアントであるライオン社と相談のうえ、3Dオーディオを活用した音声広告を平日、休日で使い分けられるよう2パターン開発したことを紹介。リスナーの状況にあった文脈で、『NONIO』の価値を訴求したことでアテンションを引くことができたと明かしました。

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Spotify Japan クリエイティブ ストラテジスト 殿村 博

 さらに、3Dオーディオなどの特殊効果の他にも、Optimization (最適化) によっても聴き手のイマジネーションを刺激することができるとし、ブリヂズトン社の事例を紹介。独自機能である「In-Carターゲティング」を活用し、車内のオーディオでSpotifyを聴いているユーザーを狙い撃ちしたことや、地域別の音声広告を作り、各地域の名前を入れることで自分ごとのように感じさせる仕掛けを施したことを明かしました。

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 また、曜日・場所・天気・ムード・ジャンルといった音声を用意して、リアルタイムでカスタマイズする機能「ダイナミックオーディオ」とともに、リスナーの状況にあわせた音声広告を作るとよりエンゲージメントが高まるという点に言及。、季節やイベントのプレイリストのスポンサーとして広告を出稿し、プレイリストのテーマに沿う形でメッセージを訴求する方法も効果的であると紹介しました。

 セッションの最後には、日本初開催のSpotify主催のクリエイティブアワード「Spotify Hits」を発表。ブラジルのジョンソン・エンド・ジョンソン社の「Jonsons Blackinho Poderoso」などいくつかの受賞作を解説し、日本でも優れた広告クリエイティブを評価していく姿勢を見せました。

 イベントレポート後編では、三井住友カード株式会社やアサヒビール株式会社よりお招きしたゲストと共に実施したトークセッションの様子をご紹介します。

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