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SpotifyとSUMMER SONICがプロデュースするスペシャルステージ「Spotify RADAR: Early Noise Stage」DAY2レポート

 オーディオストリーミングサービス Spotifyは、日本最大級の都市型音楽フェスティバル『SUMMER SONIC(以下、サマソニ)』とのコラボレーションにより、毎年期待の新進アーティストを選出していち早くリスナーに紹介するSpotifyのプログラムおよび人気プレイリストブランド「RADAR: Early Noise」を体現するスペシャルステージ「Spotify RADAR: Early Noise Stage」を昨年に続きプロデュースしました。

 本ステージは、8月17日・18日に幕張メッセで開催されたサマソニ東京にて展開し、Spotifyが注目する次世代アーティストが一堂に集結しました。今年の「RADAR: Early Noise」選出アーティストからはMFS、サバシスター、JUMADIBA、jo0ji、離婚伝説の5組に加え、a子、乃紫といった「RADAR: Early Noise」プレイリストでも支持を集めるフレッシュなアーティスト、さらにはこれまでに「RADAR: Early Noise」への選出や関連イベントへの出演などを経て飛躍を遂げたアーティストとして、Omoinotake、Tele、TOMOO、なとり、Yo-Seaが出演。計12組のアーティストがパフォーマンスを繰り広げました。

 さらに、17日のステージ終了後には、日本のヒップホップカルチャーを発信するプレイリスト「+81 Connect」から派生した特別企画「+81 Connect Live: after hours」を初の試みとして実施。kZm、LEX、JJJの3組が約90分にわたって「+81 Connect」を体現するステージを展開しました。

 本稿では、8月18日に行われたなとり、Omoinotake、TOMOO、Tele、jo0ji、サバシスター、乃紫の7組によるライブの模様をレポートします。

乃紫

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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一

 『Spotify RADAR: Early Noise Stage』2日目のトップバッターを飾ったのは乃紫。2023年から本格的な音楽活動開始以降、TikTokに投稿した楽曲が軒並み話題を集めている、今注目のシンガーソングライターです。バンドメンバーがクラップを煽るなか、着物風の和テイストな衣装で登場した乃紫は「夏にぴったりな今年の最新曲から始めます!」と宣言し、7月にリリースしたロックチューン「ハニートラップ」でライブをスタート。「ヘントウタイ」でギターをかき鳴らし、再びハンドマイクで届けた「接吻の手引き」では曲中に学生、社会人などと分けたコール&レスポンスを取り入れて盛り上げていきます。力強いラップも光る「初恋キラー」に続き、「先輩」「A8番出口」を熱量たっぷりのバンドサウンドとともに届けると、『TikTok上半期トレンド大賞2024』でミュージック部門賞を受賞した「全方向美少女」へ。終始アップテンポなナンバーと力強いボーカルで、フロアのテンションを高めたアクトとなりました。

■セットリスト

1.ハニートラップ/2.ヘントウタイ/3.接吻の手引き/4.初恋キラー/5.先輩/6.A8番出口/7.全方向美少女

サバシスター

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撮影=shima
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撮影=shima
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撮影=shima
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撮影=shima

 2番手は、PIZZA OF DEATH所属、今年1月にメジャーデビューを果たしたスリーピースバンド・サバシスター。彼女たちの代表曲「ジャージ」からライブをスタートさせて勢いをつけると、「リバーサイドナイト」のサビでは観客が大きくジャンプ。四つ打ちのビートが高揚感を誘うロックナンバー「覚悟を決めろ!」、なち(Vo/Gt)が感情豊かな歌声を響かせた「タイムセール逃してくれ」から、来月リリースの2nd EP『あの夜のはなし』からの先行配信曲「ハイエースナンバー」へ。その後も「ミュージック・プリズナー」「ナイスなガール」「サバシスター’s THEME」と軽快なロックンロールを響かせました。結成からわずか5カ月の2022年、オーディションを勝ち抜いてサマソニのステージに立った彼女たち。当時を振り返りながら、なちは「自分たちがやってきたことが報われたような気がします」とコメント。一回りも二回りも大きくなった姿で2年ぶりのサマソニのステージを飾りました。

■セットリスト

1.ジャージ/2.リバーサイドナイト/3.覚悟を決めろ!/4.タイムセール逃してくれ/5.ハイエースナンバー/6.ミュージック・プリズナー/7.ナイスなガール/8.サバシスター’s THEME

jo0ji

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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一

 3月に行われたイベント『Spotify Early Noise Night #16』にも出演した、鳥取県出身のシンガーソングライター・jo0ji。音楽活動と並行して漁港で働くという異色の経歴を持つ彼が、サマソニのステージに登場。キーボードの前に座るjo0jiにスポットライトが当たり、冒頭は弾き語り、途中からハンドマイクで新曲を歌い上げると、ギターを抱えて「明見」へ。8月7日にリリースされた新曲「Nukui」では、ピアノの音色や美しいコーラスワークが感動的なムードを誘うなか、「もっといけるね!」と煽るjo0jiにフロアからはクラップが送られました。「サマソニに出るの夢だったんですよ」と語りつつ、あたたかみのあるバンドサウンドが響いた「ランタン」、音楽活動を始めるきっかけとなった「不屈に花」を届け、ラストは「≒」でフェイクを織り交ぜた表情豊かな歌声を披露。11月に控える自身初のワンマンライブへの期待も高まる渾身のパフォーマンスを届けました。

■セットリスト

1.新曲/2.明見/3.Nukui/4.駄叉/5.ランタン/6.不屈に花/7.≒

Tele

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撮影=shima
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撮影=shima
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撮影=shima

 6月に自身初の武道館ワンマンライブを成功させたことも記憶に新しい、谷口喜多朗によるソロプロジェクト・Tele。登場するとともに「遊ぼうぜ! サマーソニック東京!」と高らかに叫び、疾走感たっぷりな「ホムンクルス」でライブをスタート。ハンドマイクに切り替え、小気味いいビートの「ロックスター」でフロアを揺らした後は、再びギターを抱えて「金星」「私小説」といったロックナンバーを投下。会場のギアを一段と引き上げると、まくし立てるようなボーカルも特徴の「バースデイ」では「ジャンプ! ジャンプ!」とフロアを煽りながら、バンドメンバーのソロも織り交ぜて賑やかにパフォーマンス。さらに「歌わない?」と呼びかけて始まった「花瓶」では、観客のシンガロングが会場を包みました。ラストは「ことほぎ」で透明感のある歌声と爽快なサウンドを響かせたTele。観客を積極的に巻き込み、終始会場が一体となったステージを創り上げました。

■セットリスト

1.ホムンクルス/2.ロックスター/3.金星/4.私小説/5.バースデイ/6.花瓶/7.ことほぎ

TOMOO

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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一

 昨年1stアルバム『TWO MOON』をリリース、自身最大規模の全国ツアーを成功させるなど精力的な活動を続けるTOMOOは、2023年「RADAR:Early Noise」選出アーティストからの登場。メジャーデビュー曲「オセロ」でライブをスタートさせた後、軽やかなピアノの音色を奏でるとポップチューン「Ginger」へ。「会えて嬉しいです!」とオーディエンスに笑顔を向けながら楽しそうに歌を届けていきます。スタンドマイクで感情たっぷりに歌い上げた「Grapefruit Moon」、バラードナンバー「Cinderella」では、彼女の魅力である優しくも深みのあるボーカルが響きわたりました。MCでは「私人生初の夏フェスなんですよ」「自分が出られる日が来るというのは、嬉しいものですね」と語ると、その喜びを表すように、カラフルな照明と豊かなバンドサウンドが彩った「Present」を披露。ラストは「Super Ball」をパワフルに歌い上げ、幸福感に満ちたステージを終えました。

■セットリスト

1.オセロ/2.Ginger/3.Grapefruit Moon/4.Cinderella/5.Present/6.Super Ball

Omoinotake

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撮影=shima
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撮影=shima

 続いて登場したのは、島根県出身の3人組バンド・Omoinotake。人気ドラマの主題歌を中心にここ数年でヒットナンバーを連発、9月からは自身初の海外公演を含むツアーが控えるなどキャリアのなかで今もっとも勢いに乗る彼ら。下積み時代の苦悩や未来への希望が込められたメジャーデビュー曲「EVERBLUE」では、疾走感のある演奏に加え、青色から虹色に変化する照明が曲への没入感を高めました。「2年前にBEACHステージに立たせてもらって、2年ぶり2度目」と、出演の喜びを語った藤井怜央/レオ(Vo/Key)。その後は「蕾」「One Day」「渦幕」と、重厚なバンドアンサンブルで観客を圧倒させました。「僕たちにとっても大切な曲だし、みんなにとっても大切な曲になりますように」と告げ、ロングヒットを記録中の「幾億光年」で会場をあたたかく包むと、ラストを飾ったのはブラックミュージックのルーツを感じさせる「トニカ」。集まった多くの人たちの胸を打つ音を響かせました。

■セットリスト

1.EVERBLUE/2.蕾/3.One Day/4.渦幕/5.幾億光年/6.トニカ

なとり

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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一
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撮影=石原 汰一

 2日間にわたった『Spotify RADAR: Early Noise Stage』、最終アクトは音楽クリエイターのなとり。夜の街並みを思わせる映像をバックに、SpotifyのブランドTVCMに起用された「フライデー・ナイト」でライブを始めると、「今日は全員踊らせて帰りたいと思います!」と強く宣言。攻撃的なバンドサウンドに乗せて「Catherine」を歌い上げた後は、「金木犀」で低音ボーカルを響かせました。「いけるよね、サマソニ?」と呼びかけ、会場をダンスフロアへと変えたのは、Spotifyのバイラルチャート5カ国で1位を獲得した「Overdose」。四つ打ちのビートに体を揺らす観客たちに「いいね、サマソニ!」とうなずき、自身も大きく跳びはねながらシャウト。一転、9月公開の映画『傲慢と善良』の主題歌に決定している「糸電話」で優しいファルセットを聴かせると、ラストは「全部燃やし尽くして帰るぞ!」と歌詞にちなんで煽り、「絶対零度」のアグレッシブな演奏でステージを締めくくりました。

■セットリスト

1.フライデー・ナイト/2.Sleepwalk/3.Catherine/4.金木犀/5.ラブソング/6.Overdose/7.糸電話/8.絶対零度

 2日間あわせて計12組のパフォーマンスが繰り広げられた『Spotify RADAR: Early Noise Stage』。なお、「Spotify RADAR: Early Noise Stage」出演アーティストの楽曲は、Spotify公式プレイリスト「RADAR: Early Noise Stage in SUMMER SONIC 2024」でお楽しみいただけます。