Spotifyは先日、メディア向けに『デジタル音声広告事業 メディアラウンドテーブル』を開催しました。
まずはじめに、ゲストスピーカーとしてお迎えした株式会社オトナル 代表取締役の八木太亮さんに音声メディア市場の成長についてご説明いただきました。音声メディアのフォーマットが、ラジオからインターネットラジオ、音声配信サービス、オーディオブック、ポッドキャスト、音声SNSと多様化し利用者が広がってきたことや、2022年にはアメリカのインターネット広告におけるジャンル別成長率でデジタル音声広告が1位になったことなどを紹介し、いまや“第5のデジタル広告”として注目されているとコメント。
続いて、デジタル音声広告が持つ可能性について、他のデジタル広告との比較検証を行いながら、その強みや活用メリットを挙げていきました。
次にSpotifyで国内広告事業部門を統括する立石ジョーが登場し、Spotifyのブランド特性やユーザー特性などを紹介しました。
Spotifyは朝起きてから就寝前まで様々な場面で一日中利用されており、リスナーの気分やシチュエーションに合う多様なプレイリストがあること。またリスナーの聴取行動を学習してパーソナライズされたレコメンデーションやリスニング体験を提供してくれるので、リスナーのエンゲージメントが高く、常に生活に寄り添う存在になっていることを、データなどを交えてお話ししました。またユーザー調査の結果から、Spotifyリスナーは自分の価値観を大切にする傾向が高く、中でも急増しているZ世代のリスナーは好きなことに対する探究心が強いことも紹介しました。
さらに立石は実際に脳科学の視点からSpotifyの広告効果を分析した調査レポート「Sonic Sciense」を引用し、96%のユーザーがSpotifyで音楽を聴くと気分が高揚し、ポジティブな気持ちになっており、こうしたポジティブな受容態度があるために、音楽の合間に流れる広告に対しても好意的に受け止め、高いエンゲージメントに繋がることを説明しました。またファーストパーティデータとリスニングデータを掛け合わせ、年齢や性別はもちろん、地域や言語、時間帯、デバイスなどの聴取環境、興味や関心、聴いているい音楽やプレイリストから読み取れる気分や心理状況まで、デバイスの向こうにいるリスナーの人物像をより鮮明に把握してターゲティングすることが可能なため、適切なオーディエンスに正しいコンテキストで広告メッセージを訴求することができることなども紹介し、こうしたプラットフォームの特性を活かした実際の成功事例としてアース製薬様、ならびにアサヒビール様とのお取り組みをハイライトしました。
まず、アース製薬様との取り組みでは、洗口液の使用シーンを訴求する「お口、クチュ、クチュ。モンダミン」という印象的なサウンドロゴを活用したオリジナル楽曲をSpotify広告として展開し、メッセージをリスナーの記憶に刷り込みました。結果として聴取完了率や広告想起ともにベンチマークよりも高い結果となりました。
また、アサヒビール様の『アサヒ生ビール』(通称:マルエフ)広告キャンペーンでは、Spotifyを通じて若年層に対し、年末のモーメントをフックに訴求することを目的に実施され、Spotifyが『RADAR:Early Noise』などのプログラムでサポートしてきたTOMOOやBialystocks、マルシィといった新進アーティストに一年を振り返ってもらい、「おつかれ生です」いうメッセージを語りかけてもらう設計にすることで、結果的に認知、理解度、好感度、購入意向など幅広い指標でアップリフトが見られました。アーティストとのコラボレーションということもあり、それぞれのアーティストの熱心なファンの好意的な反応がSNS上でも多く見られました。
さらに後半では「イノベーション」と「エデュケーション」の2つの軸で、現在注力している取り組みを紹介。国内でも企業が運営するポッドキャスト番組に対し広告を配信できるようになったことや、海外ではすでに一部の地域で実装されている革新的なアドテクプロダクトをローカライズする計画なども紹介しました。
加えて、デジタル音声広告に適したクリエイティブの開発に関する関心の高まりを受けて、Spotify広告のクリエイティブアワード「Spotify Hits」を今年日本でも初めて開催することをアナウンスしました。
日本でも急成長が予想されるデジタル音声広告市場を牽引するSpotifyの今後の取り組みにぜひご注目ください。
(写真=林直幸)